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第一章「代償」
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しおりを挟むまだ体が重だるいが、さっきよりも全然マシである事は間違いない。
「ありがとう……たすかっ――」
神近くんにお礼を言おうと顔を上げるや否や、腕を掴まれ頭を抱え込まれる。柔らかい感触が唇に触れ、僕は抵抗する事も忘れて固まってしまう。
すぐ近くに神近くんの顔があり、キスしているのだと思考がやっと追いついた頃には、柔らかな舌が潜り込んでくる。
「んんっ……」
生々しい感触に、僕はどうしたら良いのかも分からず頭が真っ白になってしまう。されるがままになっていると、神近くんがやっと唇を離す。
「終わりましたよ」
呆然として俯く僕に、神近くんが笑い混じりに声をかけてくる。
「おい。それもワンセットなのか?」
低い声音の泰明は明らかに怒っていた。声に凄みがあり、呆然としていた僕も思わず顔を上げて視線を向ける。
「そんなに怒らないでくださいよ。ちゃんと祓いましたから」
神近くんは立ち上がると、僕の腕を引く。引かれるようにして少しふらつく足で立ち上がると、体の軽さが明確に感じられた。
「……本当だ。体が軽い」
僕が驚いて目を見開くと、神近くんはほら見たことかとばかりに泰明を見やる。泰明は口を噤んでバツが悪そうに俯いていた。
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