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第三章
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しおりを挟む「こんな事したところで、お前は此処に残らない事ぐらい分かってる。お前はこうと決めたら曲げるような奴じゃないしな……それでもお前が少しでも、躊躇してくれれば……俺と一緒にいたいと思ってくれればなんて望んじまう」
なんか乙女みたいだよなと、恭治は困ったように笑う。何度も見てきたその表情に、グッと喉が詰まったように感じてしまう。
今まで、恭治をそういう目で見てきたことはない。でも今は、少しだけ意識してしまう自分がいた。
「恭治……」
天野が囁くように名を呼ぶと、恭治が少し泣きそうな顔で頬に手を伸ばしてくる。
「蓮介……」
恭治の精悍で男らしい顔つきが近づき、天野は静かに目を閉じた。優しい口づけを受け、体が微かに震える。
慣れない行為に戸惑うも、恭治は優しい手付きで天野の体を擦っていく。次第に啄むような口づけに変わっていき、天野は微かに甘い吐息を零す。
ゆっくりと畳に押し倒され、恭治が覆い被さった。唇が離れ薄く目を開くと、ぼんやりとした月明かりに微かに照らされている恭治の顔が目の前にあった。
「良いか?」
その意味が何を示すのか、女性経験の少ない天野にも意図が分かった。天野が頷くと、恭治の唇が首元に落とされる。
「んっ……」
恭治の指先が天野のシャツのボタンを外していく。羞恥に身を捩るも、恭治が上に乗っていて身動きが取れない。
「はぁっ……あっ……」
首筋に舌が伝っていき、かつて無い悦楽が背筋を駆け上がった。シャツの前が開けると、滑らすように恭治の大きな掌が這っていく。
「っ……なんだか、恥ずかしい」
ポツリと天野が呟くと、恭治は「そんなもんだろ」と言って微かに笑った。
「なんか……変な感じだ。まさか、恭治が僕を好いているなんて思ってもみなかった」
「お前は違うんだろ?」
その言葉に胸が痛みだす。もちろん嫌いではない。でも、恋愛として好いているかと聞かれれば意識したことがなかった。
黙っている天野に恭治はそれ以上は聞いてこず、愛撫を続けていく。
恭治の舌先が胸の突起に触れ、あっと天野が声を漏らせば執拗に攻め立てられてしまう。
「んっ、あっ、恭治っ」
手で押しやろうと恭治の頭に手をやるも強く吸われ、呆気なく力が抜け落ちた。軽く歯を立てられ、痺れるような腰の疼きに小さく悶える。
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