14 / 80
第14話:揺れる心、進む決意
しおりを挟む
リリアナが守護者たちと共に村を守り、共存の道を選ぶという決意を村人たちに伝えてから、数週間が経った。村の雰囲気は徐々に変わりつつあった。かつては不安と恐怖に包まれていた村人たちの間にも、少しずつだが穏やかさが戻り始めていた。リリアナはその変化を感じ取りながらも、心のどこかに消えない緊張を抱えていた。
朝早く、リリアナは村の外れにある草原を歩いていた。広がる緑と澄み切った青空は、どこか心を落ち着かせてくれるものがあった。しかし、彼女の心の中にはまだ解決していない問題がいくつも渦巻いていた。
(このまま順調に進むわけではないだろう……)
守護者たちとの共存が進み、村が平穏を取り戻しつつある一方で、リリアナの心の中には、まだ解決できていない疑念があった。彼女がこの村に来ることになった追放の原因――それが、どこかに潜んでいるという感覚が消えないのだ。
その日の午後、リリアナは村の集会所で村人たちと一緒に、今後の村の発展について話し合っていた。守護者たちとの協力が軌道に乗り始め、村の生活に少しずつ新しい風が吹き込んでいた。農業や狩猟、医療の分野でも守護者たちの力が役立ち、村全体が活気づいていた。
「リリアナ様のおかげで、私たちも守護者たちのことを信じられるようになりました。少しずつですが、彼らと協力し合えるようになってきましたね」
村の長老が穏やかな笑顔でそう言った。その言葉に、リリアナは小さく微笑み返しながらも、心の中で警戒心を解くことはできなかった。彼女には、まだやるべきことが残っていることを強く感じていたからだ。
「ありがとうございます。皆さんの協力があってこそ、ここまで来られました。でも、これからが本当の勝負だと思っています。私たちが築いたこの関係を、しっかりと守り続けるためには、さらに努力が必要です」
リリアナの言葉に、村人たちは真剣な表情で頷いた。守護者たちとの共存は始まったばかりであり、まだ信頼関係が完全に築かれたわけではない。どちらかの側が一度でも間違いを犯せば、その関係は崩れ去ってしまうかもしれない――リリアナはその危うさを痛感していた。
夕方、リリアナは一人で森へと足を運んでいた。守護者たちと再び対話をするためだ。彼女は、守護者たちのリーダーともう一度話し合いをする必要があると感じていた。彼らの本当の願いをもっと深く理解し、村との関係をより強固なものにするためだ。
森の中は静かで、木々の間から差し込む光がリリアナの足元を照らしていた。彼女はその静けさの中で、自分自身の不安を感じ取っていた。
(私が村を守れるのだろうか? 彼らとの共存を、本当にうまく続けていけるのか?)
その疑念が頭をよぎるたびに、リリアナは胸の奥が締め付けられるような感覚を覚えた。彼女が背負っている責任はあまりにも大きく、それが時折彼女を押しつぶしそうになる。
森の奥にたどり着くと、リーダーがリリアナを待っていた。彼の瞳は相変わらず冷静で、しかしその奥にはかすかな疑念が見え隠れしているように感じられた。リリアナは深く息を吸い込み、彼に向かって歩み寄った。
「リーダー、今日はもう一度あなたにお聞きしたいことがあって来ました。私たちが共存するために、これから何が必要だと思いますか?」
リーダーはしばらくの間、リリアナをじっと見つめていた。彼の目には静かな思考が流れているようだったが、やがて彼はゆっくりと口を開いた。
「私たちがこの村で再び生きるためには、私たちが信じられる存在であることを証明し続けることだ。それは、私たちだけではできない。村の人々が私たちを本当に信頼し、受け入れるようになるまで、我々は努力し続けるしかない」
その言葉に、リリアナは静かに頷いた。彼の言葉は重いが、それ以上に真実を突いていた。守護者たちが完全に受け入れられるためには、彼ら自身が信頼を積み重ねていく必要がある。そして、それは時間のかかるものだということを、リリアナも理解していた。
「あなたたちの力が、村の発展にとって欠かせないものだということを、村の皆さんも少しずつ感じ始めています。だからこそ、私たちは協力して、この関係を続けていきたいのです」
リーダーはリリアナの言葉を静かに聞き、少しだけ微笑んだ。それは、これまで彼女が見たことのない表情だった。彼もまた、彼女の努力を感じ取り、共存の道を信じ始めているのだろう。
「我々も、あなたの誠意を信じている。だが、まだ試されることがあるかもしれない。それがどんな形であれ、私たちはあなたと共にこの村を守る覚悟だ」
その言葉に、リリアナは心からの安堵を感じた。守護者たちが自分たちと同じ方向を見ている――その確信が、彼女に大きな力を与えてくれたのだ。
リリアナが村に戻ったのは夜遅くだった。空には無数の星が輝き、静かな村の中を歩く彼女の心は少しだけ軽くなっていた。守護者たちとの共存が進むにつれ、村の未来が少しずつ見えてきたような気がした。
しかし、リリアナはまだ解決しなければならない問題を抱えていた。彼女が追放された理由――その真相を突き止めることが、彼女自身にとっても重要な課題だった。そして、その真相が明らかになったとき、村に何が起こるのかは誰にもわからなかった。
(私はこの村を守るために来た。そして、それを最後まで全うするつもりよ)
リリアナはそう心に決め、静かに夜空を見上げた。村と守護者たちとの共存、そして彼女自身の運命。そのすべてが、これからどう動いていくのかはまだわからない。だが、彼女はもう一度強く思った。自分にはこの村を守る責任があり、そしてそれを乗り越える力があるのだと。
朝早く、リリアナは村の外れにある草原を歩いていた。広がる緑と澄み切った青空は、どこか心を落ち着かせてくれるものがあった。しかし、彼女の心の中にはまだ解決していない問題がいくつも渦巻いていた。
(このまま順調に進むわけではないだろう……)
守護者たちとの共存が進み、村が平穏を取り戻しつつある一方で、リリアナの心の中には、まだ解決できていない疑念があった。彼女がこの村に来ることになった追放の原因――それが、どこかに潜んでいるという感覚が消えないのだ。
その日の午後、リリアナは村の集会所で村人たちと一緒に、今後の村の発展について話し合っていた。守護者たちとの協力が軌道に乗り始め、村の生活に少しずつ新しい風が吹き込んでいた。農業や狩猟、医療の分野でも守護者たちの力が役立ち、村全体が活気づいていた。
「リリアナ様のおかげで、私たちも守護者たちのことを信じられるようになりました。少しずつですが、彼らと協力し合えるようになってきましたね」
村の長老が穏やかな笑顔でそう言った。その言葉に、リリアナは小さく微笑み返しながらも、心の中で警戒心を解くことはできなかった。彼女には、まだやるべきことが残っていることを強く感じていたからだ。
「ありがとうございます。皆さんの協力があってこそ、ここまで来られました。でも、これからが本当の勝負だと思っています。私たちが築いたこの関係を、しっかりと守り続けるためには、さらに努力が必要です」
リリアナの言葉に、村人たちは真剣な表情で頷いた。守護者たちとの共存は始まったばかりであり、まだ信頼関係が完全に築かれたわけではない。どちらかの側が一度でも間違いを犯せば、その関係は崩れ去ってしまうかもしれない――リリアナはその危うさを痛感していた。
夕方、リリアナは一人で森へと足を運んでいた。守護者たちと再び対話をするためだ。彼女は、守護者たちのリーダーともう一度話し合いをする必要があると感じていた。彼らの本当の願いをもっと深く理解し、村との関係をより強固なものにするためだ。
森の中は静かで、木々の間から差し込む光がリリアナの足元を照らしていた。彼女はその静けさの中で、自分自身の不安を感じ取っていた。
(私が村を守れるのだろうか? 彼らとの共存を、本当にうまく続けていけるのか?)
その疑念が頭をよぎるたびに、リリアナは胸の奥が締め付けられるような感覚を覚えた。彼女が背負っている責任はあまりにも大きく、それが時折彼女を押しつぶしそうになる。
森の奥にたどり着くと、リーダーがリリアナを待っていた。彼の瞳は相変わらず冷静で、しかしその奥にはかすかな疑念が見え隠れしているように感じられた。リリアナは深く息を吸い込み、彼に向かって歩み寄った。
「リーダー、今日はもう一度あなたにお聞きしたいことがあって来ました。私たちが共存するために、これから何が必要だと思いますか?」
リーダーはしばらくの間、リリアナをじっと見つめていた。彼の目には静かな思考が流れているようだったが、やがて彼はゆっくりと口を開いた。
「私たちがこの村で再び生きるためには、私たちが信じられる存在であることを証明し続けることだ。それは、私たちだけではできない。村の人々が私たちを本当に信頼し、受け入れるようになるまで、我々は努力し続けるしかない」
その言葉に、リリアナは静かに頷いた。彼の言葉は重いが、それ以上に真実を突いていた。守護者たちが完全に受け入れられるためには、彼ら自身が信頼を積み重ねていく必要がある。そして、それは時間のかかるものだということを、リリアナも理解していた。
「あなたたちの力が、村の発展にとって欠かせないものだということを、村の皆さんも少しずつ感じ始めています。だからこそ、私たちは協力して、この関係を続けていきたいのです」
リーダーはリリアナの言葉を静かに聞き、少しだけ微笑んだ。それは、これまで彼女が見たことのない表情だった。彼もまた、彼女の努力を感じ取り、共存の道を信じ始めているのだろう。
「我々も、あなたの誠意を信じている。だが、まだ試されることがあるかもしれない。それがどんな形であれ、私たちはあなたと共にこの村を守る覚悟だ」
その言葉に、リリアナは心からの安堵を感じた。守護者たちが自分たちと同じ方向を見ている――その確信が、彼女に大きな力を与えてくれたのだ。
リリアナが村に戻ったのは夜遅くだった。空には無数の星が輝き、静かな村の中を歩く彼女の心は少しだけ軽くなっていた。守護者たちとの共存が進むにつれ、村の未来が少しずつ見えてきたような気がした。
しかし、リリアナはまだ解決しなければならない問題を抱えていた。彼女が追放された理由――その真相を突き止めることが、彼女自身にとっても重要な課題だった。そして、その真相が明らかになったとき、村に何が起こるのかは誰にもわからなかった。
(私はこの村を守るために来た。そして、それを最後まで全うするつもりよ)
リリアナはそう心に決め、静かに夜空を見上げた。村と守護者たちとの共存、そして彼女自身の運命。そのすべてが、これからどう動いていくのかはまだわからない。だが、彼女はもう一度強く思った。自分にはこの村を守る責任があり、そしてそれを乗り越える力があるのだと。
1
お気に入りに追加
95
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
君は妾の子だから、次男がちょうどいい
月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、彼女は片田舎で遠いため会ったことはなかった。でもある時、マリアは妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。
僕は君を思うと吐き気がする
月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。

お飾り公爵夫人の憂鬱
初瀬 叶
恋愛
空は澄み渡った雲1つない快晴。まるで今の私の心のようだわ。空を見上げた私はそう思った。
私の名前はステラ。ステラ・オーネット。夫の名前はディーン・オーネット……いえ、夫だった?と言った方が良いのかしら?だって、その夫だった人はたった今、私の足元に埋葬されようとしているのだから。
やっと!やっと私は自由よ!叫び出したい気分をグッと堪え、私は沈痛な面持ちで、黒い棺を見つめた。
そう自由……自由になるはずだったのに……
※ 中世ヨーロッパ風ですが、私の頭の中の架空の異世界のお話です
※相変わらずのゆるふわ設定です。細かい事は気にしないよ!という読者の方向けかもしれません
※直接的な描写はありませんが、性的な表現が出てくる可能性があります
廃妃の再婚
束原ミヤコ
恋愛
伯爵家の令嬢としてうまれたフィアナは、母を亡くしてからというもの
父にも第二夫人にも、そして腹違いの妹にも邪険に扱われていた。
ある日フィアナは、川で倒れている青年を助ける。
それから四年後、フィアナの元に国王から結婚の申し込みがくる。
身分差を気にしながらも断ることができず、フィアナは王妃となった。
あの時助けた青年は、国王になっていたのである。
「君を永遠に愛する」と約束をした国王カトル・エスタニアは
結婚してすぐに辺境にて部族の反乱が起こり、平定戦に向かう。
帰還したカトルは、族長の娘であり『精霊の愛し子』と呼ばれている美しい女性イルサナを連れていた。
カトルはイルサナを寵愛しはじめる。
王城にて居場所を失ったフィアナは、聖騎士ユリシアスに下賜されることになる。
ユリシアスは先の戦いで怪我を負い、顔の半分を包帯で覆っている寡黙な男だった。
引け目を感じながらフィアナはユリシアスと過ごすことになる。
ユリシアスと過ごすうち、フィアナは彼と惹かれ合っていく。
だがユリシアスは何かを隠しているようだ。
それはカトルの抱える、真実だった──。
いつか彼女を手に入れる日まで
月山 歩
恋愛
伯爵令嬢の私は、婚約者の邸に馬車で向かっている途中で、馬車が転倒する事故に遭い、治療院に運ばれる。医師に良くなったとしても、足を引きずるようになると言われてしまい、傷物になったからと、格下の私は一方的に婚約破棄される。私はこの先誰かと結婚できるのだろうか?

別に要りませんけど?
ユウキ
恋愛
「お前を愛することは無い!」
そう言ったのは、今日結婚して私の夫となったネイサンだ。夫婦の寝室、これから初夜をという時に投げつけられた言葉に、私は素直に返事をした。
「……別に要りませんけど?」
※Rに触れる様な部分は有りませんが、情事を指す言葉が出ますので念のため。
※なろうでも掲載中

〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった……
結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。
ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。
愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
*全16話で完結になります。
*番外編、追加しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる