日本異世界召喚

Alice In

文字の大きさ
上 下
25 / 33

懲罰攻撃 中

しおりを挟む
護衛艦 いかづち

いかづちの甲板はアンゴラス兵で溢れていた。

「くそっ!なんて硬い扉だ。」

「話してないで真面目にやれ!」何人もの兵が、杖から出た炎を鋼鉄製の扉へ向ける。今や扉は真っ赤に染まっていた。数分後、扉が溶け落ちる。

「よし、突撃!」意気揚々と扉より兵達が入って行く。しかし

「うわっ!また扉かよ。」すぐに足止めを食らうこととなった。



--------------------------

いかづち 艦橋

「艦長、全ての銃が乗組員に行き渡りましたが十分な数とは言えません。」

「せめて機関を動かせられたらな…。いや、そんな事言っても無駄だな。」艦長は呟く。

「現在、緊急用の斧や金槌を艦内からかき集めています。同時に机などでバリケードの構築しております。」

「入口近くの乗組員、配置に着きました。」

「頼んだぞ。」



------------------------

真っ赤な扉が溶け、大きな穴が空く。

「よしっ!」ようやく穴が空いたことに喜ぶ兵士達。しかしそれはぬか喜びになる。

「ズダダダダダダダタ」耳をつんざくような轟音が艦内に響き渡る。

「なんだ!」

「光魔法だ!逃げグギッ」

「逃げるな!応戦しヒギャッ」

「くそっ!」

「何をやってるんだ!突撃しろ。」

「だめです。扉に入った瞬間やられます。」

「ん?魔法が弱まってきたのか?」

「あれほどの光の嵐です。連続使用ができないのでは?」

「突撃!敵は魔力切れだ!一気に畳み掛けるぞ。」

「ファイヤーボール撃て!」机や椅子を溶解させながら炎の弾のいくつかは自衛官に命中する。小銃の連射力に一時アンゴラス帝国兵を圧倒したが、あっという間に弾が切れてしまい艦内への侵入を許してしまうのだった。



------------------------

「司令、敵艦の制圧は犠牲を出しながらも順調に進んでいるようです。溺れていた竜騎士の回収も間もなく終わりそうです。」

「そうか。それは良かった。謎の鋼鉄の巨大艦。これを持ち帰れば大陸軍への栄転間違えなしだな。」機嫌よく笑う司令。しかしその夢は儚く打ち砕かれることとなる。

「司令!白竜より報告です。何本もの光が艦隊へ向かっているとのことです。」

「白竜、通信途絶しました!」

「見張りが光を確認。こちらに向かってきます!」

細長い矢のような物が船体に突き刺さり、マストを超えるほどの爆炎を生み出す。

「何が起こってるんだ!」司令は部下に問うが答は返ってこない。

「司令!上空を!」副官が呆然としながら空に指を指している。そこには白竜と比べ物にならないほどの速さを持つ何十もの異形の竜がいた。

「何だあの竜は…。蛮族はどうやってあんなものを手懐けたと言うのだ。」

「異形の竜がまた光を撃ってきました!この艦に向かってきます!」

「回避行動を…」ミサイルはとうとう旗艦ダルケミスに命中し、帝国の誇る竜母はただの木片へと帰した。



------------------------

「入口扉、突破されました。」

「隔壁また破られました!」乗組員の焦りが増す。

「艦下層へ続く通路の隔壁を開けろ。」艦長が指示を出す。

「よろしいのですか?」

「構わん。」艦長は自信を持って言うが、その他の乗組員は艦長の判断に疑問を覚えるのだった。



------------------------

艦内のアンゴラス帝国兵は、外の混乱など知るよしもなく艦の制圧を続ける。

「んっ?扉が空いたぞ。」

「ようやく観念したみたいだな。」ニヤリと兵の一人は笑う。

「突撃だ!」

「おーっ!」雪崩のように帝国兵は進んでいく。

「また、いきどまりか。」呆れたように帝国兵は言う。

「ファイヤーボール撃て。」

「兵長!後ろの扉が…」さっき空いた扉が固く閉ざされていく。

「小癪な。これで閉じ込めたつもりか?さっさと扉をぶち破れ!」

「兵長、前の扉が開きます。」兵長が敵の行動に疑問を覚えた次の瞬間、前方より勢いよく水が飛び出してくる。

「ヌァ!」

「ゴポゴポゴポコ」帝国兵は懸命にもがいたが、結局溺れ死んだ。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

家ごと異世界ライフ

ねむたん
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

この争いの絶えない世界で ~魔王になって平和の為に戦いますR

ばたっちゅ
ファンタジー
相和義輝(あいわよしき)は新たな魔王として現代から召喚される。 だがその世界は、世界の殆どを支配した人類が、僅かに残る魔族を滅ぼす戦いを始めていた。 無為に死に逝く人間達、荒廃する自然……こんな無駄な争いは止めなければいけない。だが人類にもまた、戦うべき理由と、戦いを止められない事情があった。 人類を会話のテーブルまで引っ張り出すには、結局戦争に勝利するしかない。 だが魔王として用意された力は、死を予感する力と全ての文字と言葉を理解する力のみ。 自分一人の力で戦う事は出来ないが、強力な魔人や個性豊かな魔族たちの力を借りて戦う事を決意する。 殺戮の果てに、互いが共存する未来があると信じて。

異世界災派 ~1514億4000万円を失った自衛隊、海外に災害派遣す~

ス々月帶爲
ファンタジー
元号が令和となり一年。自衛隊に数々の災難が、襲い掛かっていた。 対戦闘機訓練の為、東北沖を飛行していた航空自衛隊のF-35A戦闘機が何の前触れもなく消失。そのF-35Aを捜索していた海上自衛隊護衛艦のありあけも、同じく捜索活動を行っていた、いずも型護衛艦2番艦かがの目の前で消えた。約一週間後、厄災は東北沖だけにとどまらなかった事を知らされた。陸上自衛隊の車両を積載しアメリカ合衆国に向かっていたC-2が津軽海峡上空で消失したのだ。 これまでの損失を計ると、1514億4000万円。過去に類をみない、恐ろしい損害を負った防衛省・自衛隊。 防衛省は、対策本部を設置し陸上自衛隊の東部方面隊、陸上総隊より選抜された部隊で混成団を編成。 損失を取り返すため、何より一緒に消えてしまった自衛官を見つけ出す為、混成団を災害派遣する決定を下したのだった。 派遣を任されたのは、陸上自衛隊のプロフェッショナル集団、陸上総隊の隷下に入る中央即応連隊。彼等は、国際平和協力活動等に尽力する為、先遣部隊等として主力部隊到着迄活動基盤を準備する事等を主任務とし、日々訓練に励んでいる。 其の第一中隊長を任されているのは、暗い過去を持つ新渡戸愛桜。彼女は、この派遣に於て、指揮官としての特殊な苦悩を味い、高みを目指す。 海上自衛隊版、出しました →https://ncode.syosetu.com/n3744fn/ ※作中で、F-35A ライトニングⅡが墜落したことを示唆する表現がございます。ですが、実際に墜落した時より前に書かれた表現ということをご理解いただければ幸いです。捜索が打ち切りとなったことにつきまして、本心から残念に思います。搭乗員の方、戦闘機にご冥福をお祈り申し上げます。 「小説家になろう」に於ても投稿させて頂いております。 →https://ncode.syosetu.com/n3570fj/ 「カクヨム」に於ても投稿させて頂いております。 →https://kakuyomu.jp/works/1177354054889229369

―異質― 邂逅の編/日本国の〝隊〟、その異世界を巡る叙事詩――《第一部完結》

EPIC
SF
日本国の混成1個中隊、そして超常的存在。異世界へ―― とある別の歴史を歩んだ世界。 その世界の日本には、日本軍とも自衛隊とも似て非なる、〝日本国隊〟という名の有事組織が存在した。 第二次世界大戦以降も幾度もの戦いを潜り抜けて来た〝日本国隊〟は、異質な未知の世界を新たな戦いの場とする事になる―― 日本国陸隊の有事官、――〝制刻 自由(ぜいこく じゆう)〟。 歪で醜く禍々しい容姿と、常識外れの身体能力、そしてスタンスを持つ、隊員として非常に異質な存在である彼。 そんな隊員である制刻は、陸隊の行う大規模な演習に参加中であったが、その最中に取った一時的な休眠の途中で、不可解な空間へと導かれる。そして、そこで会った作業服と白衣姿の謎の人物からこう告げられた。 「異なる世界から我々の世界に、殴り込みを掛けようとしている奴らがいる。先手を打ちその世界に踏み込み、この企みを潰せ」――と。 そして再び目を覚ました時、制刻は――そして制刻の所属する普通科小隊を始めとする、各職種混成の約一個中隊は。剣と魔法が力の象徴とされ、モンスターが跋扈する未知の世界へと降り立っていた――。 制刻を始めとする異質な隊員等。 そして問題部隊、〝第54普通科連隊〟を始めとする各部隊。 元居た世界の常識が通用しないその異世界を、それを越える常識外れな存在が、掻き乱し始める。 〇案内と注意 1) このお話には、オリジナル及び架空設定を多数含みます。 2) 部隊規模(始めは中隊規模)での転移物となります。 3) チャプター3くらいまでは単一事件をいくつか描き、チャプター4くらいから単一事件を混ぜつつ、一つの大筋にだんだん乗っていく流れになっています。 4) 主人公を始めとする一部隊員キャラクターが、超常的な行動を取ります。ぶっ飛んでます。かなりなんでも有りです。 5) 小説家になろう、カクヨムにてすでに投稿済のものになりますが、そちらより一話当たり分量を多くして話数を減らす整理のし直しを行っています。

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~

雪月 夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。 他作品の詳細はこちら: 『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】 『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】 『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

処理中です...