日本異世界召喚

Alice In

文字の大きさ
上 下
23 / 33

サマワ王国空中戦 下

しおりを挟む
客船 飛鳥Ⅱ

「アンゴラス帝国を名乗る武装集団がサマワ王国へ攻撃を開始いたしました。それにより飛鳥Ⅱの護衛についていた護衛艦2隻は応援に向かうため、その任を解かれました。現在、巡視船という海の警察のような組織の船が護衛の引き継ぎのため向かっております。」外務省の天田が使節団のルタに言う。

「そんな、もう攻撃を仕掛けてくるだなんて。」ルタが愕然とする。

「状況はどのようになっているのですか?」使節団員が聞く。

「およそ200匹の竜と交戦中とのことです。」

「200だと!そんな…」

「たった2隻で相手するなんて不可能だ。」

「ご安心ください。自衛隊が守りきってくれますとも。皆様はは予定通り日本をお楽しみください。」

「天田さん、我々もサマワ王国へ引き返すことはできますか?私は軍が解体されるまでは騎士隊長でした。年はとりましたがまだ戦えるはずです。それにあの灰色の船がどのように戦うか見たいのです。」ルタは決意を持って言う。

「しかし、予定を変更するわけには…」

「お願いします!」他の使節団員も頭を下げる。

しばらく押し問答が続いたが、結局飛鳥Ⅱはサマワ王国へ引き返すことになった。足の遅い客船に速度を合わせられないということで、護衛艦は先行する形となった。



-----------------------

護衛艦 いかづち

暗いCICの中、焦った声が響く。

「敵機接近!」

「近接戦闘用意!」

「間もなく、ファランクス有効射程距離内に入ります。」

「敵騎、未だ100以上健在!」

「ファランクス撃て!」艦の前と中部構造物の上に設置されたファランクスが光の束を、撃ち放つ。しかし、敵の数は一向に減る気配はない。

「回避行動を取れ!面舵一杯。」

「了解。」

「敵騎発砲!」竜の口放たれた赤い炎の玉が護衛艦へと吸い込まれていく。そして船は衝撃に襲われる。

「被害状況を報告せよ!」

「救命艇破損!」

「通信アンテナ破損しました。」

「後部甲板にて火災発生!ヘリコプター発艦不可能です。」

「消火班を直ちに向かわせろ!」足音が艦内に響き渡る。少しの損害はあったものの、戦闘、航行に支障がでない程度であったことに艦長は安堵するのだった。



-----------------------

「そんな、確かに当たったはずなのに!」

「なんで沈まないんだ!」竜騎士たちの混乱は絶頂に達する。その間にも一匹、また一匹と竜は墜ちていく。そんな中、隊長はどのように戦うか思案に暮れていた。そして一つの答えを導きだす。

「竜を敵艦に体当たりさせる。当たる直前で脱出しろ!」

「無茶です!」ジラートが異を唱える。

「ならば、どうしろと言うのだ!このまま黙って全滅しろというのか!戦列艦隊がこちらへ向かっている。救助をしてくれるはずだ。」隊長は一呼吸置いて声を張り上げる。

「突撃!」



------------------------

「敵騎、再び接近してきます。」

「ファランクス有効射程距離に到達、射撃開始します。」

「しかし艦長。同じ事を繰り返すなんて何考えてるんでしょうかね。同じ結果になるに決まっているのに。」レーダー管制員が言う。

「気を抜くな!油断大敵だぞ。」艦長が叱咤する。

「申し訳ありませんでした。」緊張感はあるものの1度目の突撃ほど張りつめた空気はない。

「ん?敵発砲してきません。」

「引き付けて撃つんじゃないのか?」

「敵騎、依然として接近中」

「ぶつかります!」先程とは比べ物にならない衝撃が響く。

「被害状況を知らせ!」

「艦左舷中央部に浸水!」

「火器管制レーダー破損。」

「ヘリコプター格納庫全損!煙突破損。ガスが逆流してきます。」

「艦、傾いてきています。」

「機関停止。隔壁を閉鎖しろ!右舷に注水開始。」

「艦長、ありあけが!」

洋上には大きな炎をあげ、異様なほど傾いた護衛艦ありあけの姿があった。もう姿勢を戻すことは不可能だろう。

白竜74騎の体当たりのうち、いかづちに7騎が、ありあけに12騎が命中。数時間後、ありあけは完全に海の下へ沈むこととなる。

しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

1001部隊 ~幻の最強部隊、異世界にて~

鮪鱚鰈
ファンタジー
昭和22年 ロサンゼルス沖合 戦艦大和の艦上にて日本とアメリカの講和がなる 事実上勝利した日本はハワイ自治権・グアム・ミッドウエー統治権・ラバウル直轄権利を得て事実上太平洋の覇者となる その戦争を日本の勝利に導いた男と男が率いる小隊は1001部隊 中国戦線で無類の活躍を見せ、1001小隊の参戦が噂されるだけで敵が逃げ出すほどであった。 終戦時1001小隊に参加して最後まで生き残った兵は11人 小隊長である男『瀬能勝則』含めると12人の男達である 劣戦の戦場でその男達が現れると瞬く間に戦局が逆転し気が付けば日本軍が勝っていた。 しかし日本陸軍上層部はその男達を快くは思っていなかった。 上官の命令には従わず自由気ままに戦場を行き来する男達。 ゆえに彼らは最前線に配備された しかし、彼等は死なず、最前線においても無類の戦火を上げていった。 しかし、彼らがもたらした日本の勝利は彼らが望んだ日本を作り上げたわけではなかった。 瀬能が死を迎えるとき とある世界の神が彼と彼の部下を新天地へと導くのであった

ボッチの少女は、精霊の加護をもらいました

星名 七緒
ファンタジー
身寄りのない少女が、異世界に飛ばされてしまいます。異世界でいろいろな人と出会い、料理を通して交流していくお話です。異世界で幸せを探して、がんばって生きていきます。

異世界でホワイトな飲食店経営を

視世陽木
ファンタジー
 定食屋チェーン店で雇われ店長をしていた飯田譲治(イイダ ジョウジ)は、気がついたら真っ白な世界に立っていた。  彼の最後の記憶は、連勤に連勤を重ねてふらふらになりながら帰宅し、赤信号に気づかずに道路に飛び出し、トラックに轢かれて亡くなったというもの。  彼が置かれた状況を説明するためにスタンバイしていた女神様を思いっきり無視しながら、1人考察を進める譲治。 しまいには女神様を泣かせてしまい、十分な説明もないままに異世界に転移させられてしまった!  ブラック企業で酷使されながら、それでも料理が大好きでいつかは自分の店を開きたいと夢見ていた彼は、はたして異世界でどんな生活を送るのか!?  異世界物のテンプレと超ご都合主義を盛り沢山に、ちょいちょい社会風刺を入れながらお送りする異世界定食屋経営物語。はたしてジョージはホワイトな飲食店を経営できるのか!? ● 異世界テンプレと超ご都合主義で話が進むので、苦手な方や飽きてきた方には合わないかもしれません。 ● かつて作者もブラック飲食店で店長をしていました。 ● 基本的にはおふざけ多め、たまにシリアス。 ● 残酷な描写や性的な描写はほとんどありませんが、後々死者は出ます。

幼い公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~

朱色の谷
ファンタジー
公爵家の末娘として生まれた6歳のティアナ お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。 お父様やお兄様は私に関心がないみたい。愛されたいと願い、愛想よく振る舞っていたが一向に興味を示してくれない… そんな中、夢の中の本を読むと、、、

乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?

シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。 ……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

烙印騎士と四十四番目の神

赤星 治
ファンタジー
生前、神官の策に嵌り王命で処刑された第三騎士団長・ジェイク=シュバルトは、意図せず転生してしまう。 ジェイクを転生させた女神・ベルメアから、神昇格試練の話を聞かされるのだが、理解の追いつかない状況でベルメアが絶望してしまう蛮行を繰り広げる。 神官への恨みを晴らす事を目的とするジェイクと、試練達成を決意するベルメア。 一人と一柱の前途多難、堅忍不抜の物語。 【【低閲覧数覚悟の報告!!!】】 本作は、異世界転生ものではありますが、 ・転生先で順風満帆ライフ ・楽々難所攻略 ・主人公ハーレム展開 ・序盤から最強設定 ・RPGで登場する定番モンスターはいない  といった上記の異世界転生モノ設定はございませんのでご了承ください。 ※【訂正】二週間に数話投稿に変更致しましたm(_ _)m

引きこもり転生エルフ、仕方なく旅に出る

Greis
ファンタジー
旧題:引きこもり転生エルフ、強制的に旅に出される ・2021/10/29 第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞 こちらの賞をアルファポリス様から頂く事が出来ました。 実家暮らし、25歳のぽっちゃり会社員の俺は、日ごろの不摂生がたたり、読書中に死亡。転生先は、剣と魔法の世界の一種族、エルフだ。一分一秒も無駄にできない前世に比べると、だいぶのんびりしている今世の生活の方が、自分に合っていた。次第に、兄や姉、友人などが、見分のために外に出ていくのを見送る俺を、心配しだす両親や師匠たち。そしてついに、(強制的に)旅に出ることになりました。 ※のんびり進むので、戦闘に関しては、話数が進んでからになりますので、ご注意ください。

処理中です...