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出港
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サマワ王国 トランスト軍港沖
「皆さんにはこの小型船に乗って、あの客船まで移動していただきます。」使節団が不安げにざわめく。
「乗組員が少ないようですが…。我々も櫂を漕がねばなりませんか?」外交使節団団長ルタが言う。
「まさか、お客様にそんな事させませんよ。」
「それでは出発いたします。揺れにご注意ください。」乗組員が言う。船は加速する。
「なんと!漕がずにこれほどの早さが出せるとは!日本国もアンゴラス帝国同様に風魔法を充電できるのですか?」ルタが訪ねる。
「我が国に魔法はありません。」使節団がざわめく。
「なら、これは一体?」
「エンジンという物です。国交を結んだ後は、エンジンの付いた車を食料の対価として輸出させていただくつもりです。」
「それは楽しみです。ちなみにあの灰色の船は軍艦ですか?」
「我が国では護衛艦と呼んでいます。2隻が皆さんの護衛、もう2隻がこのままサマワ王国に駐在します。港の改修が終わるまでは沖に停泊する予定です。」巨大な雄々しい姿に頼もしさを感じながらもルタは不安を口にする。
「しかし、2隻で大丈夫なのでしょうか?」
「私は軍の専門家ではありませんから詳しいことは分かりませんが、アンゴラス帝国と我が国の一隻当たりの強さはかなり違いますのでご安心いただいてよろしいかと。」
「間もなく到着いたします。御忘れ物にご注意ください。」乗組員の声に一同会話を止め、荷物をまとめるのだった。
----------------------
トランスト軍港沖 飛鳥Ⅱ
「なんと豪華な。まるで城だ。城が海に浮かんでいるようだ。」 ルタが興奮混じりに言う。
「本当に素晴らしいですね。船内がこんなに明るいとは。」
「気に入っていただけましたでしょうか?」
「はい。とてもいい船ですね。」
「レストラン、プール、浴場など色々な施設がありますので是非お楽しみください。」
「そんな物まであるのですか?」
「はい。日本での交渉の前におくつろぎください。」
「それではお部屋にご案内いたします。」乗組員が使節団員をそれぞれの部屋に連れていく。汽笛が響き、飛鳥Ⅱと護衛艦2隻は日本に向け出港した。
------------------------
サマワ王国より南150km
飛鳥出港の数時間後。洋上で合流を果たし、大海原を進む475隻の大艦隊。
「司令、サマワ王国が白竜の攻撃範囲に入りました。」
「ようやくか。」司令は苛立ちを隠さずに言う。
「ようやく野蛮人どもに鉄槌を与える時がやって来た!直掩に8騎を残し、それ以外の全ての白竜を発艦させる。準備に入れ!」司令は魔信を介し、指示を出す。
「側面展開、白竜全騎発艦せよ。」船の両側面が開く。
「了解。発艦します。」暴風が船内より吹き出し、白竜が空へ打ち出される。風魔法のお陰で、滑走しなくても離陸に十分な速度を得られるのだ。空には既に100を越える白竜が上がっている。その威容は幻想的ですらあった。
「皆さんにはこの小型船に乗って、あの客船まで移動していただきます。」使節団が不安げにざわめく。
「乗組員が少ないようですが…。我々も櫂を漕がねばなりませんか?」外交使節団団長ルタが言う。
「まさか、お客様にそんな事させませんよ。」
「それでは出発いたします。揺れにご注意ください。」乗組員が言う。船は加速する。
「なんと!漕がずにこれほどの早さが出せるとは!日本国もアンゴラス帝国同様に風魔法を充電できるのですか?」ルタが訪ねる。
「我が国に魔法はありません。」使節団がざわめく。
「なら、これは一体?」
「エンジンという物です。国交を結んだ後は、エンジンの付いた車を食料の対価として輸出させていただくつもりです。」
「それは楽しみです。ちなみにあの灰色の船は軍艦ですか?」
「我が国では護衛艦と呼んでいます。2隻が皆さんの護衛、もう2隻がこのままサマワ王国に駐在します。港の改修が終わるまでは沖に停泊する予定です。」巨大な雄々しい姿に頼もしさを感じながらもルタは不安を口にする。
「しかし、2隻で大丈夫なのでしょうか?」
「私は軍の専門家ではありませんから詳しいことは分かりませんが、アンゴラス帝国と我が国の一隻当たりの強さはかなり違いますのでご安心いただいてよろしいかと。」
「間もなく到着いたします。御忘れ物にご注意ください。」乗組員の声に一同会話を止め、荷物をまとめるのだった。
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トランスト軍港沖 飛鳥Ⅱ
「なんと豪華な。まるで城だ。城が海に浮かんでいるようだ。」 ルタが興奮混じりに言う。
「本当に素晴らしいですね。船内がこんなに明るいとは。」
「気に入っていただけましたでしょうか?」
「はい。とてもいい船ですね。」
「レストラン、プール、浴場など色々な施設がありますので是非お楽しみください。」
「そんな物まであるのですか?」
「はい。日本での交渉の前におくつろぎください。」
「それではお部屋にご案内いたします。」乗組員が使節団員をそれぞれの部屋に連れていく。汽笛が響き、飛鳥Ⅱと護衛艦2隻は日本に向け出港した。
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サマワ王国より南150km
飛鳥出港の数時間後。洋上で合流を果たし、大海原を進む475隻の大艦隊。
「司令、サマワ王国が白竜の攻撃範囲に入りました。」
「ようやくか。」司令は苛立ちを隠さずに言う。
「ようやく野蛮人どもに鉄槌を与える時がやって来た!直掩に8騎を残し、それ以外の全ての白竜を発艦させる。準備に入れ!」司令は魔信を介し、指示を出す。
「側面展開、白竜全騎発艦せよ。」船の両側面が開く。
「了解。発艦します。」暴風が船内より吹き出し、白竜が空へ打ち出される。風魔法のお陰で、滑走しなくても離陸に十分な速度を得られるのだ。空には既に100を越える白竜が上がっている。その威容は幻想的ですらあった。
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