12 / 33
サマワ王国上陸作戦
しおりを挟む
サマワ王国より北20km
「全ミサイルの命中を確認。全ての脅威、消失しました。」
「ふぅ。当たると分かっていても、緊張するものだな。」司令が疲れ混じりで言う。
「間もなく、潜水艦より報告にあった島が見えてくるはずです。」
「しかし、ドローンの画像を見てみてもやはり敵は帆船に見える。竜といい帆船といいどうなっているんだ?」司令の問に答えられる者は、この場にはいなかった。
------------------------
サマワ王国 駐留軍 司令部
「艦隊が連絡を絶っただと!ありえん。40隻だぞ。40隻も差し向けたのだぞ!」司令は吠える。
「いえ、それが本当に連絡を絶っていまして…。魔導探知機からの反応も、竜母から発艦したと思われる白竜も含めて消失しました。」司令は顔面蒼白になっている。
「これから、艦隊がここに集結するというのに、私の顔が立たないではないか!大陸軍高官に返り咲く夢が…」
「司令、軍港の見張りより連絡です。灰色の巨船10隻を確認したとのことです。」追い討ちをかけるように報告が舞い込む。
「残存艦も白竜も全て出せ!なんとしてでも、あいつらを沈めろ。」鬼のような形相で、自らの出世の道を閉ざした敵に攻撃命令を出すのだった。
------------------------
「何だあれは!」
「キャー」
「逃げろ!海から離れるんだ。」
サマワ王国、王都は大混乱に陥っていた。馬は暴れ、人は川へ落ち、子供の泣き叫ぶ声がこだまする。そんな街を見下ろすところに、単調なデザインながらも荘厳な白い城が建っている。その城の一室にて
「駐留軍から返答は来ないのか?」サマワ王国の王である、サマワ・ラ・マタワは問いかける。
「はい。あの巨船に関して未だに情報はありません。ただ、今朝40隻の帝国軍船が港を出航しました。関連があるかもしれません。」外務相が答える。
「引き続き、情報収集にあたってくれ。これは国の運命を左右する大事件になるやもしれん。」サマワ・ラ・マタワは、国の将来を憂うのだった。
------------------------
サマワ王国 トランスト軍港
それは、塊だった。島のように巨大で、ゴーレムより重厚な鋼鉄の塊。アンゴラス帝国が何年かかろうと作り出せないような巨船。
「ファイヤーボール撃て」船長が号令をかけ赤い球が4つ羽の小さな竜へ向かう。そのうち幾つかが当たり竜は海へと沈む。
「速くロープを切れ!出航させるんだ。」副船長が怒鳴る。
「まだ風魔法の充電率は20%です。不可能です。」操舵長が答える。
「敵艦より、煙があがりました!」8隻の巨船から白い煙が立ち昇る。
「魔導砲か?いや、そんなはずない。魔法も使えぬ野蛮人どもが魔導砲を持っているはずが…。」船長が言い終わるより前に衝撃が来た。すぐ隣の戦列艦が爆沈したのだ。
「そんな馬鹿な!何だあの命中率と威力は。」船長は恐怖する。上を向けば白竜が光の矢に撃ち落とされている。私は悪夢でも見ているのだろうか。
「敵の砲身と思われるものが、こちらに向きます!」
「こんなことがあってたまるかー!」敵弾が着弾し、船は真っ二つに折れた。こうして、サマワ王国駐留軍はすべての船と竜を失ったのだった。
「全ミサイルの命中を確認。全ての脅威、消失しました。」
「ふぅ。当たると分かっていても、緊張するものだな。」司令が疲れ混じりで言う。
「間もなく、潜水艦より報告にあった島が見えてくるはずです。」
「しかし、ドローンの画像を見てみてもやはり敵は帆船に見える。竜といい帆船といいどうなっているんだ?」司令の問に答えられる者は、この場にはいなかった。
------------------------
サマワ王国 駐留軍 司令部
「艦隊が連絡を絶っただと!ありえん。40隻だぞ。40隻も差し向けたのだぞ!」司令は吠える。
「いえ、それが本当に連絡を絶っていまして…。魔導探知機からの反応も、竜母から発艦したと思われる白竜も含めて消失しました。」司令は顔面蒼白になっている。
「これから、艦隊がここに集結するというのに、私の顔が立たないではないか!大陸軍高官に返り咲く夢が…」
「司令、軍港の見張りより連絡です。灰色の巨船10隻を確認したとのことです。」追い討ちをかけるように報告が舞い込む。
「残存艦も白竜も全て出せ!なんとしてでも、あいつらを沈めろ。」鬼のような形相で、自らの出世の道を閉ざした敵に攻撃命令を出すのだった。
------------------------
「何だあれは!」
「キャー」
「逃げろ!海から離れるんだ。」
サマワ王国、王都は大混乱に陥っていた。馬は暴れ、人は川へ落ち、子供の泣き叫ぶ声がこだまする。そんな街を見下ろすところに、単調なデザインながらも荘厳な白い城が建っている。その城の一室にて
「駐留軍から返答は来ないのか?」サマワ王国の王である、サマワ・ラ・マタワは問いかける。
「はい。あの巨船に関して未だに情報はありません。ただ、今朝40隻の帝国軍船が港を出航しました。関連があるかもしれません。」外務相が答える。
「引き続き、情報収集にあたってくれ。これは国の運命を左右する大事件になるやもしれん。」サマワ・ラ・マタワは、国の将来を憂うのだった。
------------------------
サマワ王国 トランスト軍港
それは、塊だった。島のように巨大で、ゴーレムより重厚な鋼鉄の塊。アンゴラス帝国が何年かかろうと作り出せないような巨船。
「ファイヤーボール撃て」船長が号令をかけ赤い球が4つ羽の小さな竜へ向かう。そのうち幾つかが当たり竜は海へと沈む。
「速くロープを切れ!出航させるんだ。」副船長が怒鳴る。
「まだ風魔法の充電率は20%です。不可能です。」操舵長が答える。
「敵艦より、煙があがりました!」8隻の巨船から白い煙が立ち昇る。
「魔導砲か?いや、そんなはずない。魔法も使えぬ野蛮人どもが魔導砲を持っているはずが…。」船長が言い終わるより前に衝撃が来た。すぐ隣の戦列艦が爆沈したのだ。
「そんな馬鹿な!何だあの命中率と威力は。」船長は恐怖する。上を向けば白竜が光の矢に撃ち落とされている。私は悪夢でも見ているのだろうか。
「敵の砲身と思われるものが、こちらに向きます!」
「こんなことがあってたまるかー!」敵弾が着弾し、船は真っ二つに折れた。こうして、サマワ王国駐留軍はすべての船と竜を失ったのだった。
0
お気に入りに追加
40
あなたにおすすめの小説
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?
―異質― 邂逅の編/日本国の〝隊〟、その異世界を巡る叙事詩――《第一部完結》
EPIC
SF
日本国の混成1個中隊、そして超常的存在。異世界へ――
とある別の歴史を歩んだ世界。
その世界の日本には、日本軍とも自衛隊とも似て非なる、〝日本国隊〟という名の有事組織が存在した。
第二次世界大戦以降も幾度もの戦いを潜り抜けて来た〝日本国隊〟は、異質な未知の世界を新たな戦いの場とする事になる――
日本国陸隊の有事官、――〝制刻 自由(ぜいこく じゆう)〟。
歪で醜く禍々しい容姿と、常識外れの身体能力、そしてスタンスを持つ、隊員として非常に異質な存在である彼。
そんな隊員である制刻は、陸隊の行う大規模な演習に参加中であったが、その最中に取った一時的な休眠の途中で、不可解な空間へと導かれる。そして、そこで会った作業服と白衣姿の謎の人物からこう告げられた。
「異なる世界から我々の世界に、殴り込みを掛けようとしている奴らがいる。先手を打ちその世界に踏み込み、この企みを潰せ」――と。
そして再び目を覚ました時、制刻は――そして制刻の所属する普通科小隊を始めとする、各職種混成の約一個中隊は。剣と魔法が力の象徴とされ、モンスターが跋扈する未知の世界へと降り立っていた――。
制刻を始めとする異質な隊員等。
そして問題部隊、〝第54普通科連隊〟を始めとする各部隊。
元居た世界の常識が通用しないその異世界を、それを越える常識外れな存在が、掻き乱し始める。
〇案内と注意
1) このお話には、オリジナル及び架空設定を多数含みます。
2) 部隊規模(始めは中隊規模)での転移物となります。
3) チャプター3くらいまでは単一事件をいくつか描き、チャプター4くらいから単一事件を混ぜつつ、一つの大筋にだんだん乗っていく流れになっています。
4) 主人公を始めとする一部隊員キャラクターが、超常的な行動を取ります。ぶっ飛んでます。かなりなんでも有りです。
5) 小説家になろう、カクヨムにてすでに投稿済のものになりますが、そちらより一話当たり分量を多くして話数を減らす整理のし直しを行っています。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?
シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。
……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

私は聖女(ヒロイン)のおまけ
音無砂月
ファンタジー
ある日突然、異世界に召喚された二人の少女
100年前、異世界に召喚された聖女の手によって魔王を封印し、アルガシュカル国の危機は救われたが100年経った今、再び魔王の封印が解かれかけている。その為に呼ばれた二人の少女
しかし、聖女は一人。聖女と同じ色彩を持つヒナコ・ハヤカワを聖女候補として考えるアルガシュカルだが念のため、ミズキ・カナエも聖女として扱う。内気で何も自分で決められないヒナコを支えながらミズキは何とか元の世界に帰れないか方法を探す。

だいたい全部、聖女のせい。
荒瀬ヤヒロ
恋愛
「どうして、こんなことに……」
異世界よりやってきた聖女と出会い、王太子は変わってしまった。
いや、王太子の側近の令息達まで、変わってしまったのだ。
すでに彼らには、婚約者である令嬢達の声も届かない。
これはとある王国に降り立った聖女との出会いで見る影もなく変わってしまった男達に苦しめられる少女達の、嘆きの物語。

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる