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サマワ王国
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サマワ王国
白い壁、青い屋根の建物が並ぶサマワ王国、王都ナサル。その一角に景観を壊すようにそびえるそれが、サマワ王国駐留軍司令部である。
「司令、本国より魔信です。召喚地制圧のため、周辺の駐留軍より475隻の船がサマワ王国に向かう。補給の手筈を整えるように、またサマワ王国駐留軍より25隻を抽出するとのことです。」
「サマワ王国に命令して食料を差し出させるか。通達を出せ。」
サマワ王国はアンゴラス帝国の衛星国である。ある程度の大きさがあるため植民地化は免れたが、厳しい統治がなされている。
「しかし、制圧軍が敗れるとはな。」司令は呟く。
「今回の被害は迷い込んだ魔法生物によるものとのことです。魔法生物は、魔石のない蛮地では長く行動できませんので心配は無用かと…」
「分かっている。しかし、技術は進めど魔法生物には打つ手なしか。」嘆く司令。
「万一、魔法生物が出て来てもこれだけの数です。70年ほど前にも北部の植民地に襲来した炎竜を、白竜100騎で討ち取った例もあります。」
「まぁ、今心配すべきは補給物品を確保できずにどやされることを、なんとか回避することだな。475隻分の補給とは、お偉方も簡単に言ってくれる。」
--------------------------
サマワ王国 王城
「この量は本当なのか!」陰鬱な雰囲気の会議室にサマワ王国の王であるサマワ・ラ・マタワの怒号が響く。
「はい。艦隊の集結におよそ20000人分の兵糧が追加で必要と言ってきています。」外務相が言う。
「ただでさえ、男手の徴発で収穫量が落ち込んでいるというのにまた徴発とは。」
「去年の凶作のため、備蓄もほとんど残っておりません。」農業相が言う。
「だからといって、出さないわけにはいきません。」と外務相。
「分かっている。農業相、申し訳ないが頑張ってくれ。そうでなければ国が滅ぶ。国民も分かってくれるはずだ。」王はしみじみと言う。
「かしこまりました。」
-------------------------
サマワ王国 とある酒場
12年前、召喚され、侵略される前までは人の溢れんばかりだった酒場も今やその面影はなく、数人の客がいるだけだ。
「鉱物、働き手の次ぎは、今度は食料と来た。一体この国からどんだけ物を奪えば気がすむんだ。」怒り混じりに酔っぱらいが言う。
「全くだ。エリックの奴、今頃なにしてるだろーな?」
「帝国の奴らめ!好き勝手しやがって。」
「そーいや、植民地制圧軍ってあるだろ。」
「ああ。あいつらが来たときにも、食料をぶん取られたな。」
「俺、喫茶店の給仕やってるだろ。それで帝国兵の会話を盗み聞いたんだが、植民地制圧軍が壊滅したらしい。」男が声を潜めて言う。
「そんなわけないだろ。帝国には魔導砲があるんだ。その力は俺たちがよく知ってるだろ。」
「だがな、実際…」
「待て、帝国兵だ。」ちょうど帝国兵が数人入って来て、会話が打ち切られる。酔っぱらい2人はとっとと会計を済ませ、店を出た。
白い壁、青い屋根の建物が並ぶサマワ王国、王都ナサル。その一角に景観を壊すようにそびえるそれが、サマワ王国駐留軍司令部である。
「司令、本国より魔信です。召喚地制圧のため、周辺の駐留軍より475隻の船がサマワ王国に向かう。補給の手筈を整えるように、またサマワ王国駐留軍より25隻を抽出するとのことです。」
「サマワ王国に命令して食料を差し出させるか。通達を出せ。」
サマワ王国はアンゴラス帝国の衛星国である。ある程度の大きさがあるため植民地化は免れたが、厳しい統治がなされている。
「しかし、制圧軍が敗れるとはな。」司令は呟く。
「今回の被害は迷い込んだ魔法生物によるものとのことです。魔法生物は、魔石のない蛮地では長く行動できませんので心配は無用かと…」
「分かっている。しかし、技術は進めど魔法生物には打つ手なしか。」嘆く司令。
「万一、魔法生物が出て来てもこれだけの数です。70年ほど前にも北部の植民地に襲来した炎竜を、白竜100騎で討ち取った例もあります。」
「まぁ、今心配すべきは補給物品を確保できずにどやされることを、なんとか回避することだな。475隻分の補給とは、お偉方も簡単に言ってくれる。」
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サマワ王国 王城
「この量は本当なのか!」陰鬱な雰囲気の会議室にサマワ王国の王であるサマワ・ラ・マタワの怒号が響く。
「はい。艦隊の集結におよそ20000人分の兵糧が追加で必要と言ってきています。」外務相が言う。
「ただでさえ、男手の徴発で収穫量が落ち込んでいるというのにまた徴発とは。」
「去年の凶作のため、備蓄もほとんど残っておりません。」農業相が言う。
「だからといって、出さないわけにはいきません。」と外務相。
「分かっている。農業相、申し訳ないが頑張ってくれ。そうでなければ国が滅ぶ。国民も分かってくれるはずだ。」王はしみじみと言う。
「かしこまりました。」
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サマワ王国 とある酒場
12年前、召喚され、侵略される前までは人の溢れんばかりだった酒場も今やその面影はなく、数人の客がいるだけだ。
「鉱物、働き手の次ぎは、今度は食料と来た。一体この国からどんだけ物を奪えば気がすむんだ。」怒り混じりに酔っぱらいが言う。
「全くだ。エリックの奴、今頃なにしてるだろーな?」
「帝国の奴らめ!好き勝手しやがって。」
「そーいや、植民地制圧軍ってあるだろ。」
「ああ。あいつらが来たときにも、食料をぶん取られたな。」
「俺、喫茶店の給仕やってるだろ。それで帝国兵の会話を盗み聞いたんだが、植民地制圧軍が壊滅したらしい。」男が声を潜めて言う。
「そんなわけないだろ。帝国には魔導砲があるんだ。その力は俺たちがよく知ってるだろ。」
「だがな、実際…」
「待て、帝国兵だ。」ちょうど帝国兵が数人入って来て、会話が打ち切られる。酔っぱらい2人はとっとと会計を済ませ、店を出た。
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