日本異世界召喚

Alice In

文字の大きさ
上 下
8 / 33

両国の動き

しおりを挟む
日本国 首相官邸

暗い部屋で、プロジェクターにより動画が投影される。

「敵発砲、火炎放射かナパームかと思われます。」声は焦りに溢れている。

「正当防衛射撃を実施せよ。」タタタタタタと軽い音が響く。

「敵、再度発砲。雷のようなものが前方の車両に命中。」

「先頭車両停止しました。」

「何が起こったんだ!」

「感電したのかもしれません。」

「車の中で感電するわけが…」

「敵発砲!」

そして映像が途切れた。

「以上が回収できた戦闘記録となります。」防衛省幹部が言う。

「車の中は雷が落ちても安全だと聞いたことがあるのだがな。あの光は本当に電気の類いなのかね?」と環境相。

「現在調査中であります。」

「調査中とはなんだ!調査…」

「敵兵は、年老いた訳でもないのに白い髪をしているようだが、それについて情報は?」総理が割り込む。

「捕虜は、自身をアンゴラス帝国兵と名乗っております。」

「あいつら、ふざけているのか!」総理は叫ぶ。

「それについてなのですが、敵船団を追跡していた潜水艦よりの情報で気になる情報があるのです。」

「もったいぶらずに早く言え!」と環境相。

「敵船団は八丈島より約380km南の島へ入港した模様とのことです」

「日本の領海内に基地を建設されていたということか?」総理は苦虫を噛み締めたような表情を浮かべる。

「いえ、基地というよりは島がまるごと現れたという大きさとのことです。海底の地形も含めてですがまるっきり地形が変わっていたとの報告があります。」

「どういうことだ?」

「調査中です。」

「また、自衛隊を派遣しなくてはな。」総理は呟く。

「文部科学省よりお伝えしたいことがあります。各地の大学、研究機関よりの報告なのですが、天体がおかしいとのことです。」

「具体的には?」総理が促す。

「電波障害が起こってから、違う星が違うところにあるとのことです」

「地形といい、天体といいどうなっているんだ?」と国土交通相。

--------------------------

アンゴラス帝国 首都キャルツ 皇居

「植民地制圧軍残存艦隊がサマワ王国へ到着したようです。乗員は、輸送船にて、聴取のため本国へ送還の予定です。」軍務相アイルが言う。

「いつも生意気な口を聞いている割に、ミールも大したことないわね。」と魔導相のアルク。

「それで、植民地制圧軍の敗因はなんなのだね?」皇帝、バリルが睨み付ける。

「制圧軍残存部隊によりますと、魔導生物の攻撃とのことです。」植民地制圧軍は上陸作戦が始まる前に撤退したため、未だに敵は魔法生物であると思っている。

「魔法の存在せぬ蛮地に魔法生物が出たとでも言うのか!」ますます眉間に皺がよる。

「こちら側より迷い行ったのかもや知れません。」アイルは今にも失神しそうだ。

「で、どうするつもりだ。」

「大陸軍の動員は他の大国を刺激することになるやも知れませんので、駐留軍より戦力を抽出する予定です。」

「具体的にはどうするつもりだ?」皇帝が問う。

「新召喚地周辺の20の植民地、衛星国の駐留軍より25隻ずつ戦列艦を、1隻ずつ竜母を抽出します。」とアイル。

「植民地制圧軍を壊滅させたような魔法生物だぞ。その戦力で足りるのか?」

「まず、白竜にて偵察を行い、魔法生物の分析を行った後攻撃を仕掛けます。情報が判明するまではなんとも…」

「まぁ、よい!必ずや魔法生物を打ち倒し、新たなる召喚地を手に入れるのだ。」

「御意!」

--------------------------

日本国 首相官邸 プレスルーム

「総理、八丈島の島民のほとんどが武装集団に殺害されたようですが、そうなる前に救出出来なかったのはなぜだとお考えですか?」

「電波障害により哨戒を縮小していたためと考えます」総理は答える。

「しかし総理それは…」

「質問は1人1つとさせて頂いております。次の方、どうぞ。」進行役が割り込む。

「日本の領海内に基地を作られていたとのことですが、基地は電波障害の前からあったと考えることが妥当でしょう。敵の基地建設については、電波障害のせいではないのでしょうか?」

「現在調査中です。」質問が次の記者へ移る。

「八丈島上陸作戦では、多数の死者が自衛隊に出ましたが、今回の基地制圧作戦でも死者が多数出るのではないですか?」

「そうならないよう善処させていただきます。」

「全ての方の質問が終わりましたので、以上で記者会見を終了させていただきます。」進行役が終わりを告げ、記者たちは不満げな顔で帰って行った。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

四代目 豊臣秀勝

克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。 読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。 史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。 秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。 小牧長久手で秀吉は勝てるのか? 朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか? 朝鮮征伐は行われるのか? 秀頼は生まれるのか。 秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?

―異質― 邂逅の編/日本国の〝隊〟、その異世界を巡る叙事詩――《第一部完結》

EPIC
SF
日本国の混成1個中隊、そして超常的存在。異世界へ―― とある別の歴史を歩んだ世界。 その世界の日本には、日本軍とも自衛隊とも似て非なる、〝日本国隊〟という名の有事組織が存在した。 第二次世界大戦以降も幾度もの戦いを潜り抜けて来た〝日本国隊〟は、異質な未知の世界を新たな戦いの場とする事になる―― 日本国陸隊の有事官、――〝制刻 自由(ぜいこく じゆう)〟。 歪で醜く禍々しい容姿と、常識外れの身体能力、そしてスタンスを持つ、隊員として非常に異質な存在である彼。 そんな隊員である制刻は、陸隊の行う大規模な演習に参加中であったが、その最中に取った一時的な休眠の途中で、不可解な空間へと導かれる。そして、そこで会った作業服と白衣姿の謎の人物からこう告げられた。 「異なる世界から我々の世界に、殴り込みを掛けようとしている奴らがいる。先手を打ちその世界に踏み込み、この企みを潰せ」――と。 そして再び目を覚ました時、制刻は――そして制刻の所属する普通科小隊を始めとする、各職種混成の約一個中隊は。剣と魔法が力の象徴とされ、モンスターが跋扈する未知の世界へと降り立っていた――。 制刻を始めとする異質な隊員等。 そして問題部隊、〝第54普通科連隊〟を始めとする各部隊。 元居た世界の常識が通用しないその異世界を、それを越える常識外れな存在が、掻き乱し始める。 〇案内と注意 1) このお話には、オリジナル及び架空設定を多数含みます。 2) 部隊規模(始めは中隊規模)での転移物となります。 3) チャプター3くらいまでは単一事件をいくつか描き、チャプター4くらいから単一事件を混ぜつつ、一つの大筋にだんだん乗っていく流れになっています。 4) 主人公を始めとする一部隊員キャラクターが、超常的な行動を取ります。ぶっ飛んでます。かなりなんでも有りです。 5) 小説家になろう、カクヨムにてすでに投稿済のものになりますが、そちらより一話当たり分量を多くして話数を減らす整理のし直しを行っています。

実家から追放されたが、狐耳の嫁がいるのでどうでも良い

竹桜
ファンタジー
 主人公は職業料理人が原因でアナリア侯爵家を追い出されてしまった。  追い出された後、3番目に大きい都市で働いていると主人公のことを番だという銀狐族の少女に出会った。  その少女と同棲した主人公はある日、頭を強く打ち、自身の前世を思い出した。  料理人の職を失い、軍隊に入ったら、軍団長まで登り詰めた記憶を。  それから主人公は軍団長という職業を得て、緑色の霧で体が構成された兵士達を呼び出すことが出来るようになった。  これは銀狐族の少女を守るために戦う男の物語だ。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?

シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。 ……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

処理中です...