7 / 33
八丈島上陸作戦(下)
しおりを挟む
八丈島
「司令!異様な形をした物体、多数を発見。」猛烈な速さで近づく鉄の馬車のようなものを認めて言う。
「使える者はファイアーボールを、できぬ者は爆裂魔法を撃ち込め!」
「全隊員に告ぐ。魔方陣展開、一斉射。敵を攻撃せよ。」
赤い炎の玉と衝撃波が敵を襲う。敵の居た場所には砂埃が立ち込め姿が見えなくなった。
「我がアンゴラス帝国の力を思い知ったか、蛮地の異形ども!」
「帝国万歳!」
「帝国万歳!」
司令の言葉に追随するように声が響く。
味方に置いていかれたこともあり、崩壊しかけていた士気が、目の前の敵を片付けたことにより、少し回復し始めたように見えたが…
「土埃の中から敵出現!ダメージがあるように見えません。」
「敵、発砲!」
敵は信じられないような連射速度で味方を凪ぎ払う。そして、司令は異形の馬車の中に、人が乗っていることに気付く。
「まさか、蛮族がこのような魔法生物を手懐けているのか!くっ!一体どうすれば…」司令が自問している間にも仲間は減っていく。しかし、前進基地とは言え司令に任命されるような人物である。すぐに次の命令を出す。
「属性変更。撃てる奴はサンダーストームを撃て!」
「全軍に伝達。攻撃方法をファイアーボールからサンダーストームへ」
迸る幾筋もの光が車列へと吸い込まれていく。再び土煙に包まれる。
一度目の失敗もあり、歓喜の声は響かず、静寂が辺りを支配する。そして…
「敵健在です。」煙が晴れ、現れた傷一つない敵に部隊は絶望に陥ると思われたが…
「敵、動きません。停止したままです。」
「やったのか?」
「そうだ。俺たちはやったんだ!」
響く部下の声に、司令は自身の策がうまくいったことを実感する。
鋼鉄の装甲は衝撃をも無効化するだろう。しかし電気は通すはず。ならば中にいる敵兵には有効だ。
先頭車が止まったことで、後続車まで動けなくなっているようだ。
「敵の動けん今がチャンスだ!敵に集中攻撃せよ。」
再び幾筋もの光が車列へ向かう。今回は観測のために射撃を中断することなく、光は絶え間なく放たれる。
「後続の敵兵が鉄の馬車より降車し、こちらへ向かってきております。」
「目標を馬車より敵兵へ変更。我々に土を塗ったことを後悔させてやれ!」
「敵兵発砲!我が方の連射性能を遥かに凌駕しています。」
先程と変わらず次々と倒されていく友軍。馬車さえなんとかすればいいと思っていたが、そうも甘くはないようだ。900ほど居た兵はもう200も残っていない。
「後続の敵兵が何か細い筒をこちらへ向けています。司令、念のため退避を!」前方から何か飛んできたかと思うと、次の瞬間、爆音と衝撃波に襲われ、司令の意識は失われたのだった。
司令を失ったアンゴラス帝国軍は、とうとう戦意を喪失し、降伏した。そして137人の兵が捕虜となった。
自衛隊側の死者は陸上、海上併せて243人。
山に避難した住民1956人の生存は確認されたが、捕虜となった住民は慰み者となった後、殺されていた。その事が反アンゴラス帝国感情に、さらに油を注ぐことになった。
「司令!異様な形をした物体、多数を発見。」猛烈な速さで近づく鉄の馬車のようなものを認めて言う。
「使える者はファイアーボールを、できぬ者は爆裂魔法を撃ち込め!」
「全隊員に告ぐ。魔方陣展開、一斉射。敵を攻撃せよ。」
赤い炎の玉と衝撃波が敵を襲う。敵の居た場所には砂埃が立ち込め姿が見えなくなった。
「我がアンゴラス帝国の力を思い知ったか、蛮地の異形ども!」
「帝国万歳!」
「帝国万歳!」
司令の言葉に追随するように声が響く。
味方に置いていかれたこともあり、崩壊しかけていた士気が、目の前の敵を片付けたことにより、少し回復し始めたように見えたが…
「土埃の中から敵出現!ダメージがあるように見えません。」
「敵、発砲!」
敵は信じられないような連射速度で味方を凪ぎ払う。そして、司令は異形の馬車の中に、人が乗っていることに気付く。
「まさか、蛮族がこのような魔法生物を手懐けているのか!くっ!一体どうすれば…」司令が自問している間にも仲間は減っていく。しかし、前進基地とは言え司令に任命されるような人物である。すぐに次の命令を出す。
「属性変更。撃てる奴はサンダーストームを撃て!」
「全軍に伝達。攻撃方法をファイアーボールからサンダーストームへ」
迸る幾筋もの光が車列へと吸い込まれていく。再び土煙に包まれる。
一度目の失敗もあり、歓喜の声は響かず、静寂が辺りを支配する。そして…
「敵健在です。」煙が晴れ、現れた傷一つない敵に部隊は絶望に陥ると思われたが…
「敵、動きません。停止したままです。」
「やったのか?」
「そうだ。俺たちはやったんだ!」
響く部下の声に、司令は自身の策がうまくいったことを実感する。
鋼鉄の装甲は衝撃をも無効化するだろう。しかし電気は通すはず。ならば中にいる敵兵には有効だ。
先頭車が止まったことで、後続車まで動けなくなっているようだ。
「敵の動けん今がチャンスだ!敵に集中攻撃せよ。」
再び幾筋もの光が車列へ向かう。今回は観測のために射撃を中断することなく、光は絶え間なく放たれる。
「後続の敵兵が鉄の馬車より降車し、こちらへ向かってきております。」
「目標を馬車より敵兵へ変更。我々に土を塗ったことを後悔させてやれ!」
「敵兵発砲!我が方の連射性能を遥かに凌駕しています。」
先程と変わらず次々と倒されていく友軍。馬車さえなんとかすればいいと思っていたが、そうも甘くはないようだ。900ほど居た兵はもう200も残っていない。
「後続の敵兵が何か細い筒をこちらへ向けています。司令、念のため退避を!」前方から何か飛んできたかと思うと、次の瞬間、爆音と衝撃波に襲われ、司令の意識は失われたのだった。
司令を失ったアンゴラス帝国軍は、とうとう戦意を喪失し、降伏した。そして137人の兵が捕虜となった。
自衛隊側の死者は陸上、海上併せて243人。
山に避難した住民1956人の生存は確認されたが、捕虜となった住民は慰み者となった後、殺されていた。その事が反アンゴラス帝国感情に、さらに油を注ぐことになった。
0
お気に入りに追加
40
あなたにおすすめの小説

【完結】平民聖女の愛と夢
ここ
ファンタジー
ソフィは小さな村で暮らしていた。特技は治癒魔法。ところが、村人のマークの命を救えなかったことにより、村全体から、無視されるようになった。食料もない、お金もない、ソフィは仕方なく旅立った。冒険の旅に。
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?
―異質― 邂逅の編/日本国の〝隊〟、その異世界を巡る叙事詩――《第一部完結》
EPIC
SF
日本国の混成1個中隊、そして超常的存在。異世界へ――
とある別の歴史を歩んだ世界。
その世界の日本には、日本軍とも自衛隊とも似て非なる、〝日本国隊〟という名の有事組織が存在した。
第二次世界大戦以降も幾度もの戦いを潜り抜けて来た〝日本国隊〟は、異質な未知の世界を新たな戦いの場とする事になる――
日本国陸隊の有事官、――〝制刻 自由(ぜいこく じゆう)〟。
歪で醜く禍々しい容姿と、常識外れの身体能力、そしてスタンスを持つ、隊員として非常に異質な存在である彼。
そんな隊員である制刻は、陸隊の行う大規模な演習に参加中であったが、その最中に取った一時的な休眠の途中で、不可解な空間へと導かれる。そして、そこで会った作業服と白衣姿の謎の人物からこう告げられた。
「異なる世界から我々の世界に、殴り込みを掛けようとしている奴らがいる。先手を打ちその世界に踏み込み、この企みを潰せ」――と。
そして再び目を覚ました時、制刻は――そして制刻の所属する普通科小隊を始めとする、各職種混成の約一個中隊は。剣と魔法が力の象徴とされ、モンスターが跋扈する未知の世界へと降り立っていた――。
制刻を始めとする異質な隊員等。
そして問題部隊、〝第54普通科連隊〟を始めとする各部隊。
元居た世界の常識が通用しないその異世界を、それを越える常識外れな存在が、掻き乱し始める。
〇案内と注意
1) このお話には、オリジナル及び架空設定を多数含みます。
2) 部隊規模(始めは中隊規模)での転移物となります。
3) チャプター3くらいまでは単一事件をいくつか描き、チャプター4くらいから単一事件を混ぜつつ、一つの大筋にだんだん乗っていく流れになっています。
4) 主人公を始めとする一部隊員キャラクターが、超常的な行動を取ります。ぶっ飛んでます。かなりなんでも有りです。
5) 小説家になろう、カクヨムにてすでに投稿済のものになりますが、そちらより一話当たり分量を多くして話数を減らす整理のし直しを行っています。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?
シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。
……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。

あなたがそう望んだから
まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」
思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。
確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。
喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。
○○○○○○○○○○
誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。
閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*)
何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる