6 / 33
八丈島上陸作戦(中)
しおりを挟む
八丈島より2kmの海域 いずもの艦橋
「司令、勧告は本当にしなくてよかったのでしょうか?」艦長が不安そうに言う。
「途中で北上してきた艦隊にしただろ。2度する必要はない。上が何を言ってこようが司令を辞める身だ。何も問題ない」
「失礼しました。」
「敵の旗艦と思われる大型船、及びその偵船2隻が撤退を開始しました。」レーダー観測員が言う。
「降伏か、せめて陸上部隊を収容した上での撤退を期待していたのだがな。」
「今頃、作戦通り潜水艦が追尾しているはずです。」
「なら、我々も予定通り行動しなくてはな。」
----------------------
「上陸用意!各員、武器の点検を行え。」
「はいっ!」
「現在時刻15:00。作戦開始時刻になった。作戦を開始する。」
----------------------
八丈島 アンゴラス帝国 仮設基地跡
「現状を掌握しろ!何が起きているのかさっさと報告するんだ。」基地司令のダルスは混乱していた。仮設基地とは言え3000人が駐在する基地。その建物がことごとく破壊された。それに加え、戦列艦艦隊もわずかな残存艦を残し撤退した。陸戦部隊を回収することなく。
「生存者の人数確認終わりました。951人が戦闘可能です。」
「たったそれだけか。」まだ敵がなにかもよく分かっていないにもかかわらず7割もの兵が命を散らした。なぜ私は、おめおめと生き残っているのだろう。
「あれだけの爆発です。火山の噴火ではないでしょうか?」士官が言う。
「お前は馬鹿か!なら戦列艦の爆発はなんなのだね?そもそもあの山からは、噴煙は上がっていないではないか。」司令は憤る。
「司令!東の港の監視が敵艦を発見したとのことです。」伝達官が報告する。
「数は?」
「15隻とのことですが、非常に大型のようです。」
「ようやく島を取り戻しに来たということか。蛮族の船15隻など恐るるに足らん!残存戦力を全て東へ向かわせろ。」しかしダルスは思うのだ。船の出現でうやむやになったが、一体爆発の原因はなんなのだ。もしも何者かの攻撃だとすれば我々に勝ち目などないのではないか。
-----------------------
八丈島 底土港
30両の96式装輪装甲車、200両の軽装甲機動車が次々と島へと揚げられていく。
道が細く十分な空き地もないため、上陸したそばから前進して行く。その先頭を勢いよく装甲車が走る。
「とうとう始まるんだな。」陸上自衛隊、倉田二等陸尉が車上で呟く。
「まさか、こんな日が来るとは思いませんでした。」
「俺もだ。」島から上がる煙へと、車は少しずつ近づいていく。
「前方より明らかに島民とは異なる集団、約1000人が接近してきます。」
「所属不明の集団と接触の報を送れ!」
「集団に大型火器を認められません。少し太めの小銃のみと思われます。」
「島民ではないだろうが、念のために先に撃たせる。しかし彼らは何者だ?全員が白い髪とは…。退役軍人でも寄せ集めたか?」陸尉は困惑しながら前を見据えるのだった。
「司令、勧告は本当にしなくてよかったのでしょうか?」艦長が不安そうに言う。
「途中で北上してきた艦隊にしただろ。2度する必要はない。上が何を言ってこようが司令を辞める身だ。何も問題ない」
「失礼しました。」
「敵の旗艦と思われる大型船、及びその偵船2隻が撤退を開始しました。」レーダー観測員が言う。
「降伏か、せめて陸上部隊を収容した上での撤退を期待していたのだがな。」
「今頃、作戦通り潜水艦が追尾しているはずです。」
「なら、我々も予定通り行動しなくてはな。」
----------------------
「上陸用意!各員、武器の点検を行え。」
「はいっ!」
「現在時刻15:00。作戦開始時刻になった。作戦を開始する。」
----------------------
八丈島 アンゴラス帝国 仮設基地跡
「現状を掌握しろ!何が起きているのかさっさと報告するんだ。」基地司令のダルスは混乱していた。仮設基地とは言え3000人が駐在する基地。その建物がことごとく破壊された。それに加え、戦列艦艦隊もわずかな残存艦を残し撤退した。陸戦部隊を回収することなく。
「生存者の人数確認終わりました。951人が戦闘可能です。」
「たったそれだけか。」まだ敵がなにかもよく分かっていないにもかかわらず7割もの兵が命を散らした。なぜ私は、おめおめと生き残っているのだろう。
「あれだけの爆発です。火山の噴火ではないでしょうか?」士官が言う。
「お前は馬鹿か!なら戦列艦の爆発はなんなのだね?そもそもあの山からは、噴煙は上がっていないではないか。」司令は憤る。
「司令!東の港の監視が敵艦を発見したとのことです。」伝達官が報告する。
「数は?」
「15隻とのことですが、非常に大型のようです。」
「ようやく島を取り戻しに来たということか。蛮族の船15隻など恐るるに足らん!残存戦力を全て東へ向かわせろ。」しかしダルスは思うのだ。船の出現でうやむやになったが、一体爆発の原因はなんなのだ。もしも何者かの攻撃だとすれば我々に勝ち目などないのではないか。
-----------------------
八丈島 底土港
30両の96式装輪装甲車、200両の軽装甲機動車が次々と島へと揚げられていく。
道が細く十分な空き地もないため、上陸したそばから前進して行く。その先頭を勢いよく装甲車が走る。
「とうとう始まるんだな。」陸上自衛隊、倉田二等陸尉が車上で呟く。
「まさか、こんな日が来るとは思いませんでした。」
「俺もだ。」島から上がる煙へと、車は少しずつ近づいていく。
「前方より明らかに島民とは異なる集団、約1000人が接近してきます。」
「所属不明の集団と接触の報を送れ!」
「集団に大型火器を認められません。少し太めの小銃のみと思われます。」
「島民ではないだろうが、念のために先に撃たせる。しかし彼らは何者だ?全員が白い髪とは…。退役軍人でも寄せ集めたか?」陸尉は困惑しながら前を見据えるのだった。
0
お気に入りに追加
40
あなたにおすすめの小説
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?
―異質― 邂逅の編/日本国の〝隊〟、その異世界を巡る叙事詩――《第一部完結》
EPIC
SF
日本国の混成1個中隊、そして超常的存在。異世界へ――
とある別の歴史を歩んだ世界。
その世界の日本には、日本軍とも自衛隊とも似て非なる、〝日本国隊〟という名の有事組織が存在した。
第二次世界大戦以降も幾度もの戦いを潜り抜けて来た〝日本国隊〟は、異質な未知の世界を新たな戦いの場とする事になる――
日本国陸隊の有事官、――〝制刻 自由(ぜいこく じゆう)〟。
歪で醜く禍々しい容姿と、常識外れの身体能力、そしてスタンスを持つ、隊員として非常に異質な存在である彼。
そんな隊員である制刻は、陸隊の行う大規模な演習に参加中であったが、その最中に取った一時的な休眠の途中で、不可解な空間へと導かれる。そして、そこで会った作業服と白衣姿の謎の人物からこう告げられた。
「異なる世界から我々の世界に、殴り込みを掛けようとしている奴らがいる。先手を打ちその世界に踏み込み、この企みを潰せ」――と。
そして再び目を覚ました時、制刻は――そして制刻の所属する普通科小隊を始めとする、各職種混成の約一個中隊は。剣と魔法が力の象徴とされ、モンスターが跋扈する未知の世界へと降り立っていた――。
制刻を始めとする異質な隊員等。
そして問題部隊、〝第54普通科連隊〟を始めとする各部隊。
元居た世界の常識が通用しないその異世界を、それを越える常識外れな存在が、掻き乱し始める。
〇案内と注意
1) このお話には、オリジナル及び架空設定を多数含みます。
2) 部隊規模(始めは中隊規模)での転移物となります。
3) チャプター3くらいまでは単一事件をいくつか描き、チャプター4くらいから単一事件を混ぜつつ、一つの大筋にだんだん乗っていく流れになっています。
4) 主人公を始めとする一部隊員キャラクターが、超常的な行動を取ります。ぶっ飛んでます。かなりなんでも有りです。
5) 小説家になろう、カクヨムにてすでに投稿済のものになりますが、そちらより一話当たり分量を多くして話数を減らす整理のし直しを行っています。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?
シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。
……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

私は聖女(ヒロイン)のおまけ
音無砂月
ファンタジー
ある日突然、異世界に召喚された二人の少女
100年前、異世界に召喚された聖女の手によって魔王を封印し、アルガシュカル国の危機は救われたが100年経った今、再び魔王の封印が解かれかけている。その為に呼ばれた二人の少女
しかし、聖女は一人。聖女と同じ色彩を持つヒナコ・ハヤカワを聖女候補として考えるアルガシュカルだが念のため、ミズキ・カナエも聖女として扱う。内気で何も自分で決められないヒナコを支えながらミズキは何とか元の世界に帰れないか方法を探す。

だいたい全部、聖女のせい。
荒瀬ヤヒロ
恋愛
「どうして、こんなことに……」
異世界よりやってきた聖女と出会い、王太子は変わってしまった。
いや、王太子の側近の令息達まで、変わってしまったのだ。
すでに彼らには、婚約者である令嬢達の声も届かない。
これはとある王国に降り立った聖女との出会いで見る影もなく変わってしまった男達に苦しめられる少女達の、嘆きの物語。

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる