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八丈島沖海戦
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灰色の煉瓦造りの建物が並ぶ街の中、王城に近い一角にその建物はあった。
アンゴラス帝国 首都キャルツ 植民地制圧軍司令部
「司令、植民地制圧軍より魔信です。まず召喚地の一部と思われる、島を一つ占拠したとのこと。」当直士官が報告する。
アンゴラス帝国には、3つの指揮系統が異なる軍がある。帝国の主力たる大陸軍。植民地,属国に駐留する駐留軍。そして12年に1度、新たな召喚地を制圧するために目下出動中の植民地制圧軍である。
「召喚地の一部?他にも召喚地があるとどうして分かるのだね。」司令は訝しむ。
「捕虜を尋問したとのことです。数千の有人島からなる国が召喚されたようです。」
「そうか。原住民がいたのだな。いい労働力になる。12年前に召喚された亜大陸の鉱山ではどれだけいても奴隷が足らんらしいからな。」と笑みを浮かべる司令。
「捕虜によると召喚地、原住民は「日本国」と呼んでいるようですが、人口は1億2000万人とのことです。」士官が言う。
「はっはっは!それはブラフだろう。嘘をつくならもっとましな嘘をつけ。さすが蛮族だな!」司令は笑いながら言う。
「あくまでも捕虜の証言ですので…。2つめの報告なのですが、抵抗した原住民が魔法に酷似する何らかの攻撃を行ったとのことです。」
「何だその要領を得ない説明は!」
「戦死者が出たようですので、それについての言い訳では?」士官が疑問を挟む。
「戦死者は100人にも満たないだろ!言い訳の必要性などないはずだ!」司令は考え込む。
「3つめの報告なのですが、島の上空で異様な形の竜を目撃したとのことです。我が方の竜より遥かに速く、到達できないような飛行高度を飛んでいたようです。」
「蛮地に魔法生物がいるはずなかろう。そもそも異様な形の竜とはなんだ!鳥か何かの見間違えではないのか。」しかし司令は、言いながら気付く。本当に竜が蛮地にいるのならば、原住民が魔法を使えてもおかしくないのでは?
-----------------------
日本国 八丈島より北へ30kmの海域
「行けども行けども、全然島が見つからねーや。こっちであってんのかね?」植民地制圧軍より分遣された臨時偵察艦隊の司令代理、オーソンは不満げに言う。
「捕虜の証言は別として、竜も船も北から来たのです。そのうち何か見えてくるのでは?」と船長。
「そうだといいがな。」青い空。白い雲。海は平和そのものだ。しかし平穏は打ち破られることとなる。
「見張りより伝達。接近する巨大な虫のような物を確認。」報告が入る。
羽虫のような音が突如として響き渡る。
「何だあれは!」
「我々は、日本国自衛隊である。諸君は我が国の領海を侵している。直ちに転進せよ。」人間には出せそうにないくらい大きな声が司令代理に答えるように話し出す。
「日本?捕虜の証言にあった国のようです。」船長が言う。
「ならば敵だな。竜騎士は全騎発艦せよ!ライトニングが撃てる魔導師は甲板に出て、あの虫を打ち落とせ。」司令が命令を出す。
光の筋がいくつも放たれるが、遅く、連射性もないそれは、羽虫に当たることはない。司令代理が最後に見た光景は、羽虫が光の雨を船に降らす光景だった。
-----------------------------
日本国 八丈島より北へ60kmの海域
海を裂いて進む巨船が15隻。その中でもひときわ大きい船、今ではF-35Bが10機が搭載できるようになった航空機搭載型護衛艦「いずも」の艦橋では会議が行われていた。
「30隻の船団がこちらに向かって北上中とのことです。」船務長が言う。
「島民の船か?」司令が問う。
「いえ、救難信号を発信しておりませんし無線にも応答しておりませんので、八丈島を襲撃した船団かと…」
「いずれにしても警告せねばならんからな…。AH-1Sを飛ばせ。」
「ヘリ1機では危険では?」と艦長が問う。
「艦隊を危険にさらす訳にはいかん!乗員には悪いがな。しかし相手は偽装船だ。有力な対空兵装はないだろう。」
-----------------------
アンゴラス帝国軍 植民地制圧軍 臨時偵察艦隊 上空
大空を我が物のように威風堂々と進む鉄の塊。コブラの名で知られるAH-1S戦闘ヘリである。
「本当に帆船だとは。」白い帆を張り海を往く船団。眼前に広がる現実離れした光景に言葉が操縦士は言葉を漏らす。
「対空兵装は見当ならないな。」砲術手が呟く。
「かなり近づいたし、警戒はしておかないとな。じゃあ始めようか。」操縦士が警告をするため、マイクをとる。
「我々は、日本国自衛隊である。諸君は我が国の領海を侵している。直ちに転進せよ。」空中から帆船の甲板上の混乱が見てとれる。人が転び樽が転がる。しかし、進路を変える様子はない。しばらく経つと、黒服を纏った集団がゾロゾロと甲板に姿を表す。その直後、光の玉が地上から打ち上げられる。
「くそっ!奴ら攻撃して来やがった。」
「回避、回避!こちらAH-1S、攻撃を受けている。正当防衛射撃の許可を!」操縦士が操縦桿を傾ける。
敵の弾は全て曳航弾なのか、眩しいくらい光り輝いている。
「正当防衛射撃を許可する。しかし、対艦ミサイルによる攻撃を行うので速やかに離脱するように。」砲撃手は、トリガーに力をゆっくりと込める。
「正当防衛射撃!」コブラの機首にある三砲身機関銃が火を吹き先頭を走る船を火だるまへと変える。さらにロケット弾が発射され4隻の帆船を炎上させる。砲撃手は、後方の大型帆船に照準を合わせようとしていたが、船の側面が開きあり得ないものが飛び出すのを目撃する。
「何だあれは!信じられん」砲撃手が驚愕する。
「こちらAH-1S、竜です。竜の大群です。」操縦士がいずもへ連絡を送る。
「具体的な報告をせよ。」いずもから返答が来る。しかしその頃、乗員には返答に答える余裕はなかった。
「敵機発砲!回避行動をとる。」
「目標を敵船より、敵機へ変更。攻撃開始!」
「敵機接近!振り切れません。対空ミサイルによる追加攻撃を要請。」
「了解。」
「敵機3機を撃墜。」
「機体側面に敵弾命中。敵機はなおも接近中。接触します!」
竜はヘリのローターに巻き込まれバラバラになり堕ちていく。しかし、その死は報われることとなる。
「ローター出力減少!揚力を維持できません。墜落します。」
巨大な鉄の虫は羽ばたきを止め、頭から海へと墜ちていくのだった。
---------------------
「竜騎士長、なんなのでしょうかあの虫は。」新米竜騎士のアレンは不安げに言う。
「あいつは敵だ。それだけで十分だ。さぁ、仲間の仇をとるぞ!」今まで、召喚地の野蛮人が帝国の戦列艦を沈めたことなど1度もなかった。それを過去形で語らねばならぬことが、竜騎士長の誇りを傷つける。
「蛮族どもを蹴散らせ。ファイアーボール発射!」幻想的で美しい炎の玉が空を突き進む。
「敵機後退、逃げています!」
「ファイアーボール命中弾なし。」
「棒の様なものが、こちらに向きます。」
突如、光の束が襲いかかり後続機が撃ち落とされる。
「野蛮人め!よくもアイリアを。絶対許さない!」新米竜騎士が敵に突進する。
「馬鹿がっ!突出するな。」竜騎士長は止めるがアレンは止まらない。
「仕方ない。あのバカを援護する。ファイアーボール発射!」幻想的な光の玉が鉄の虫へ放たれる。そのうち幾つかが命中し虫を煙で包み込む。
「やった!やはり魔法は偉大だ。帝国万歳!」
「帝国万歳!」竜騎士達は勝利の喜びを胸に帝国を称える。しかし煙が晴れ、彼らが見たものは、何もなかったように飛ぶ鉄の虫だった。
「そんな馬鹿な!化物め。」竜騎士長は叫ぶ。
「羽を折れば、いくら化物でも飛べなくなるはずです。やってみます。」新米竜騎士が言う。
「お前は、まだ未熟だ。無茶をするんじゃない!」
「いいんです。俺はアイリアを失った。あいつを殺せるなら命なんて惜しくもなんともないです。」アレンと竜は、回る羽に切られて命を絶った。
-----------------------「竜騎士がやりました!」
「帝国万歳!」
「皇帝陛下万歳!」喝采が響くなか、竜母船長は険しい顔をしていた。
「船長、いかがなされましたか?」航海長が問う。
「40対1という圧倒に有利な情況でキルレシオは3対1だ。手放しに喜べる情況ではない。旗艦も沈められ、作戦行動もままならん。」帝国の誇る戦列艦や竜騎士が蛮族に墜とされることなど1度たりともなかった。明らかに異常なことだ。何かとんでもない物を敵に回してしまったのではないか。しかし、彼には思考にふける時間はなかった。
「北より何かが高速で接近してきます。」見張りが叫ぶ。高空より光の矢が近づき友軍へと突き刺さる。
「竜母ノル轟沈。戦列艦サマリ、アルタ、ハマリ撃沈。」
「そんな馬鹿な!我々は帝国軍だぞ。」
「こんなことが、あり得るはずない。」
「回避運動を…」咄嗟に船長は叫ぶが言い終わるより早くに、爆発が訪れた。
-----------------------
護衛艦いずも 艦橋
「司令、対艦ミサイル、26発全て命中しました。。80秒後、対空ミサイル40発が戦域に到達します。発射後に敵機3機はロストしておりますので無駄弾が出るでしょう」砲術長が報告する。
「そうか。全て当たったか。しかし、まさか航空戦力が敵にあるとは…。ヘリの墜落は、私の責任だな。」司令がしみじみ言う。
「警告を行うよう命令したのは政府です。司令の責任ではありません。」船長が言う。
「いや。私の見通しが甘かったのだ。対空兵装どころか航空機があったとは。陸に上がれば辞表を書かねばな。」
「司令…」
「おっと!その前にやらねばならんことがあったな。今度こそ私の失敗で人が死ぬようなことは避けたいものだ。」
「対空ミサイル37発命中。敵機全機撃墜しました。」
「そうか。よくやった。では同胞を助けに行こうではないか。八丈島へ向け全速前進。」
戦いはまだ始まったばかりである。
アンゴラス帝国 首都キャルツ 植民地制圧軍司令部
「司令、植民地制圧軍より魔信です。まず召喚地の一部と思われる、島を一つ占拠したとのこと。」当直士官が報告する。
アンゴラス帝国には、3つの指揮系統が異なる軍がある。帝国の主力たる大陸軍。植民地,属国に駐留する駐留軍。そして12年に1度、新たな召喚地を制圧するために目下出動中の植民地制圧軍である。
「召喚地の一部?他にも召喚地があるとどうして分かるのだね。」司令は訝しむ。
「捕虜を尋問したとのことです。数千の有人島からなる国が召喚されたようです。」
「そうか。原住民がいたのだな。いい労働力になる。12年前に召喚された亜大陸の鉱山ではどれだけいても奴隷が足らんらしいからな。」と笑みを浮かべる司令。
「捕虜によると召喚地、原住民は「日本国」と呼んでいるようですが、人口は1億2000万人とのことです。」士官が言う。
「はっはっは!それはブラフだろう。嘘をつくならもっとましな嘘をつけ。さすが蛮族だな!」司令は笑いながら言う。
「あくまでも捕虜の証言ですので…。2つめの報告なのですが、抵抗した原住民が魔法に酷似する何らかの攻撃を行ったとのことです。」
「何だその要領を得ない説明は!」
「戦死者が出たようですので、それについての言い訳では?」士官が疑問を挟む。
「戦死者は100人にも満たないだろ!言い訳の必要性などないはずだ!」司令は考え込む。
「3つめの報告なのですが、島の上空で異様な形の竜を目撃したとのことです。我が方の竜より遥かに速く、到達できないような飛行高度を飛んでいたようです。」
「蛮地に魔法生物がいるはずなかろう。そもそも異様な形の竜とはなんだ!鳥か何かの見間違えではないのか。」しかし司令は、言いながら気付く。本当に竜が蛮地にいるのならば、原住民が魔法を使えてもおかしくないのでは?
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日本国 八丈島より北へ30kmの海域
「行けども行けども、全然島が見つからねーや。こっちであってんのかね?」植民地制圧軍より分遣された臨時偵察艦隊の司令代理、オーソンは不満げに言う。
「捕虜の証言は別として、竜も船も北から来たのです。そのうち何か見えてくるのでは?」と船長。
「そうだといいがな。」青い空。白い雲。海は平和そのものだ。しかし平穏は打ち破られることとなる。
「見張りより伝達。接近する巨大な虫のような物を確認。」報告が入る。
羽虫のような音が突如として響き渡る。
「何だあれは!」
「我々は、日本国自衛隊である。諸君は我が国の領海を侵している。直ちに転進せよ。」人間には出せそうにないくらい大きな声が司令代理に答えるように話し出す。
「日本?捕虜の証言にあった国のようです。」船長が言う。
「ならば敵だな。竜騎士は全騎発艦せよ!ライトニングが撃てる魔導師は甲板に出て、あの虫を打ち落とせ。」司令が命令を出す。
光の筋がいくつも放たれるが、遅く、連射性もないそれは、羽虫に当たることはない。司令代理が最後に見た光景は、羽虫が光の雨を船に降らす光景だった。
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日本国 八丈島より北へ60kmの海域
海を裂いて進む巨船が15隻。その中でもひときわ大きい船、今ではF-35Bが10機が搭載できるようになった航空機搭載型護衛艦「いずも」の艦橋では会議が行われていた。
「30隻の船団がこちらに向かって北上中とのことです。」船務長が言う。
「島民の船か?」司令が問う。
「いえ、救難信号を発信しておりませんし無線にも応答しておりませんので、八丈島を襲撃した船団かと…」
「いずれにしても警告せねばならんからな…。AH-1Sを飛ばせ。」
「ヘリ1機では危険では?」と艦長が問う。
「艦隊を危険にさらす訳にはいかん!乗員には悪いがな。しかし相手は偽装船だ。有力な対空兵装はないだろう。」
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アンゴラス帝国軍 植民地制圧軍 臨時偵察艦隊 上空
大空を我が物のように威風堂々と進む鉄の塊。コブラの名で知られるAH-1S戦闘ヘリである。
「本当に帆船だとは。」白い帆を張り海を往く船団。眼前に広がる現実離れした光景に言葉が操縦士は言葉を漏らす。
「対空兵装は見当ならないな。」砲術手が呟く。
「かなり近づいたし、警戒はしておかないとな。じゃあ始めようか。」操縦士が警告をするため、マイクをとる。
「我々は、日本国自衛隊である。諸君は我が国の領海を侵している。直ちに転進せよ。」空中から帆船の甲板上の混乱が見てとれる。人が転び樽が転がる。しかし、進路を変える様子はない。しばらく経つと、黒服を纏った集団がゾロゾロと甲板に姿を表す。その直後、光の玉が地上から打ち上げられる。
「くそっ!奴ら攻撃して来やがった。」
「回避、回避!こちらAH-1S、攻撃を受けている。正当防衛射撃の許可を!」操縦士が操縦桿を傾ける。
敵の弾は全て曳航弾なのか、眩しいくらい光り輝いている。
「正当防衛射撃を許可する。しかし、対艦ミサイルによる攻撃を行うので速やかに離脱するように。」砲撃手は、トリガーに力をゆっくりと込める。
「正当防衛射撃!」コブラの機首にある三砲身機関銃が火を吹き先頭を走る船を火だるまへと変える。さらにロケット弾が発射され4隻の帆船を炎上させる。砲撃手は、後方の大型帆船に照準を合わせようとしていたが、船の側面が開きあり得ないものが飛び出すのを目撃する。
「何だあれは!信じられん」砲撃手が驚愕する。
「こちらAH-1S、竜です。竜の大群です。」操縦士がいずもへ連絡を送る。
「具体的な報告をせよ。」いずもから返答が来る。しかしその頃、乗員には返答に答える余裕はなかった。
「敵機発砲!回避行動をとる。」
「目標を敵船より、敵機へ変更。攻撃開始!」
「敵機接近!振り切れません。対空ミサイルによる追加攻撃を要請。」
「了解。」
「敵機3機を撃墜。」
「機体側面に敵弾命中。敵機はなおも接近中。接触します!」
竜はヘリのローターに巻き込まれバラバラになり堕ちていく。しかし、その死は報われることとなる。
「ローター出力減少!揚力を維持できません。墜落します。」
巨大な鉄の虫は羽ばたきを止め、頭から海へと墜ちていくのだった。
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「竜騎士長、なんなのでしょうかあの虫は。」新米竜騎士のアレンは不安げに言う。
「あいつは敵だ。それだけで十分だ。さぁ、仲間の仇をとるぞ!」今まで、召喚地の野蛮人が帝国の戦列艦を沈めたことなど1度もなかった。それを過去形で語らねばならぬことが、竜騎士長の誇りを傷つける。
「蛮族どもを蹴散らせ。ファイアーボール発射!」幻想的で美しい炎の玉が空を突き進む。
「敵機後退、逃げています!」
「ファイアーボール命中弾なし。」
「棒の様なものが、こちらに向きます。」
突如、光の束が襲いかかり後続機が撃ち落とされる。
「野蛮人め!よくもアイリアを。絶対許さない!」新米竜騎士が敵に突進する。
「馬鹿がっ!突出するな。」竜騎士長は止めるがアレンは止まらない。
「仕方ない。あのバカを援護する。ファイアーボール発射!」幻想的な光の玉が鉄の虫へ放たれる。そのうち幾つかが命中し虫を煙で包み込む。
「やった!やはり魔法は偉大だ。帝国万歳!」
「帝国万歳!」竜騎士達は勝利の喜びを胸に帝国を称える。しかし煙が晴れ、彼らが見たものは、何もなかったように飛ぶ鉄の虫だった。
「そんな馬鹿な!化物め。」竜騎士長は叫ぶ。
「羽を折れば、いくら化物でも飛べなくなるはずです。やってみます。」新米竜騎士が言う。
「お前は、まだ未熟だ。無茶をするんじゃない!」
「いいんです。俺はアイリアを失った。あいつを殺せるなら命なんて惜しくもなんともないです。」アレンと竜は、回る羽に切られて命を絶った。
-----------------------「竜騎士がやりました!」
「帝国万歳!」
「皇帝陛下万歳!」喝采が響くなか、竜母船長は険しい顔をしていた。
「船長、いかがなされましたか?」航海長が問う。
「40対1という圧倒に有利な情況でキルレシオは3対1だ。手放しに喜べる情況ではない。旗艦も沈められ、作戦行動もままならん。」帝国の誇る戦列艦や竜騎士が蛮族に墜とされることなど1度たりともなかった。明らかに異常なことだ。何かとんでもない物を敵に回してしまったのではないか。しかし、彼には思考にふける時間はなかった。
「北より何かが高速で接近してきます。」見張りが叫ぶ。高空より光の矢が近づき友軍へと突き刺さる。
「竜母ノル轟沈。戦列艦サマリ、アルタ、ハマリ撃沈。」
「そんな馬鹿な!我々は帝国軍だぞ。」
「こんなことが、あり得るはずない。」
「回避運動を…」咄嗟に船長は叫ぶが言い終わるより早くに、爆発が訪れた。
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護衛艦いずも 艦橋
「司令、対艦ミサイル、26発全て命中しました。。80秒後、対空ミサイル40発が戦域に到達します。発射後に敵機3機はロストしておりますので無駄弾が出るでしょう」砲術長が報告する。
「そうか。全て当たったか。しかし、まさか航空戦力が敵にあるとは…。ヘリの墜落は、私の責任だな。」司令がしみじみ言う。
「警告を行うよう命令したのは政府です。司令の責任ではありません。」船長が言う。
「いや。私の見通しが甘かったのだ。対空兵装どころか航空機があったとは。陸に上がれば辞表を書かねばな。」
「司令…」
「おっと!その前にやらねばならんことがあったな。今度こそ私の失敗で人が死ぬようなことは避けたいものだ。」
「対空ミサイル37発命中。敵機全機撃墜しました。」
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戦いはまだ始まったばかりである。
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