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日本異世界召喚
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昔、4つの大国が資源を巡り衝突しようとしていた。1人1人の魔力の強いアンゴラス帝国、魔導文明の進んだベラルーシェ教国、機械文明のヒルメラーゼ共和国、魔導文明と機械文明のあるコングラー公国である。それを憂いたベラルーシェ王国の魔導師たちは新たな大陸、島々を異界より召喚し、3年ごとにそれぞれの国へ順番に与えることで戦争を防いだ。その大陸や島々には原住民がいることは少なくなかったが、魔法の使えぬ者ばかりで赤子の手を捻るように制圧でき、労働力も獲得できた。そして97回目の召喚が行われる。
-----------------------
「ついにこの年になったな。」
アンゴラス帝国提督レーノンが呟く。
「今回も当たりがくるといいですね。」
艦長が答える。
「前回は面積はそれほどでもなかったが、金が出るわ銀が出るわすごかったからな。国家予算の三年分だったか。」
「どのような土地が召喚されるかは運次第。運にこれほどまで国政が左右されるとは。」艦長が嘆く。
「王の色恋沙汰が国政を左右するよりましだろ。いい土地を手に入れれば他の大国から睨まれる。それはそれで良いものでない。」と提督。
「それでも良い土地であることに越したことはないですよ。どんな土地が召喚されたのか早く見たいですね。」
ガーレゴルグ級魔導戦列艦70隻、竜母30隻が今回、召喚された新たな植民地となる土地へ帆を一杯張り進む。
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「見張りより伝達、左前方に島を発見とのことです。」士官が報告する。
「ずいぶん小さい島だな。今回召喚された土地がこれだけなんてことはないだろうな。」提督は憤る。
「列島が召喚されることもよくありますので、そうとは限りません」
「だといいがな。」
「見張りより伝達、所属不明艦2隻が接近とのことです。」士官が報告する。
「あの島から出てきたわけではないようだし、あれは召喚された土地の一部だな。安心した」
「同感です提督。私も内心召喚されたのがあの小島だけかと思いヒヤヒヤしておりました。しかし白い船とは珍しいですね」
「まぁ、異界の船だしな。しかし未開人の船にしては大きいな。」
ここで白い船が吠え出す。
「こちらは日本国海上保安庁である。貴国は我々の領海に侵入している。ただちに転進せよ。」
「提督、どういたしますか?」
「決まってるだろ。射程に入った船から攻撃しろ!」
先頭を走る戦列艦が敵艦を攻撃するため取舵をとる。後ろの船も続く。砲身が青く輝き砲弾が放たれる。三割ほどが命中し、爆炎で白い船を包み込む。煙が晴れたときには、その白い船はかなり傾いていた。そして程なく海の底へ沈んでいった。
-----------------------
「我々は今よりあの島を占拠し前進基地とする。全艦、上陸舟艇を出せ。竜母アルケミス、カルケミスは竜を発艦させよ。」 提督は魔信で命令を出す。
100メートルはあろう木造船の側面から8匹の竜が飛び出す。それこそアンゴラス帝国が大国たる根源、白竜である。10mほどの巨大で狂暴な生物を竜騎士が魔力をもって操る。1人1人の魔力の強い帝国だからこそできることである。大空を羽ばたく白竜16騎の編隊飛行は壮観である。
「白龍隊長騎より伝達、島に街を発見。規模は数千人規模とのこと。また、船が島を離れようとしているとのことです。」
「提督、思いの外数が多いですね。」艦長が言う。
「100人程度を捕虜とし、残りは降伏してきても殺せ。取りすぎると食料が足らなくなる。どうせ魔力のない未開人だ。船も沈めろ。軍船でないとは限らん。」士官が全軍に伝達する。そしてそれは地獄絵図の始まる合図となる。
-----------------------
白竜騎士隊長であるノームは落胆していた。彼の初陣は12年前、つまりひとつ前の召喚の亜大陸の原住民との戦いの時である。敵の矢が届かぬ高度から白竜にファイアーボールを放たせるだけの一方的な蹂躙。普段、味方の白竜相手に訓練を重ねるノームとしては実戦に物足りなさを感じざる得なかった。そして今回も同じ。反撃手段を持たぬ敵を叩く一方的な戦い。しかし任務から手を抜く訳には行かない。だから命じる。
「全騎突撃体制。敵船団へファイアーボール発射」
16個の火の玉が放たれ船へ吸い込まれてゆく。そして爆発し島から離れようとしていた漁船、連絡船に命中。攻撃は幾度となく繰り返され島の近海にはアンゴラス帝国以外の船はいなくなった。
-----------------------
上陸部隊のタリル兵長は高揚していた。捕虜100人以外は殺して良いと命令されたからだ。帝国主力軍はともかく、植民地制圧軍については崇高な意思をもって国に仕えている者は少ない。特に魔法絶対主義著しいアンゴラス帝国である。魔法の使えぬ者は人でないと本気で考えるものも多い。
「狩りの時間だぜ~~!逃げろ、逃げ惑え~!」
上陸部隊28000人が人口わずか7000人の島へ襲いかかる。これを悪夢と言わずなんと呼ぶか。
タリル兵長は、爆裂魔法を魔石に展開し島民の背中に放ってゆく。
「本当魔法ってのは素晴らしいよな。」タリルは部下へ話しかける。
「ええ、全くです。なぜ神は魔法を使えぬような野蛮人をお作りにぐぎゃ!!」言葉は最後まで続かなかった。爆裂魔法とどこか異なる爆発音がした後、タリルの部下は倒れた。そして彼は気づく。青い服を着た島民がこちらになにかを向け立っていることに。彼はその島民が何らかの攻撃をしたと瞬時に理解し、彼に爆裂魔法を放つ。その島民は黒焦げになったがタリルは戦慄する。
「もしかして彼らは魔法が使えるのでは?」
----------------------
提督レーノンは悩んでいた。「敵船団撃滅」これはいい。「島を占領、捕虜102人を確保、それ以外は排除、我が方の戦死者76人」戦死者が出たのは痛ましいがこれもまぁいい。問題は「島民の一部が魔法と思われるものを使用。」これは何なのだ。今まで召還された土地には魔法が使える者などいなかった。レーノンは先行きに不安を覚えたのだった。
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「ついにこの年になったな。」
アンゴラス帝国提督レーノンが呟く。
「今回も当たりがくるといいですね。」
艦長が答える。
「前回は面積はそれほどでもなかったが、金が出るわ銀が出るわすごかったからな。国家予算の三年分だったか。」
「どのような土地が召喚されるかは運次第。運にこれほどまで国政が左右されるとは。」艦長が嘆く。
「王の色恋沙汰が国政を左右するよりましだろ。いい土地を手に入れれば他の大国から睨まれる。それはそれで良いものでない。」と提督。
「それでも良い土地であることに越したことはないですよ。どんな土地が召喚されたのか早く見たいですね。」
ガーレゴルグ級魔導戦列艦70隻、竜母30隻が今回、召喚された新たな植民地となる土地へ帆を一杯張り進む。
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「見張りより伝達、左前方に島を発見とのことです。」士官が報告する。
「ずいぶん小さい島だな。今回召喚された土地がこれだけなんてことはないだろうな。」提督は憤る。
「列島が召喚されることもよくありますので、そうとは限りません」
「だといいがな。」
「見張りより伝達、所属不明艦2隻が接近とのことです。」士官が報告する。
「あの島から出てきたわけではないようだし、あれは召喚された土地の一部だな。安心した」
「同感です提督。私も内心召喚されたのがあの小島だけかと思いヒヤヒヤしておりました。しかし白い船とは珍しいですね」
「まぁ、異界の船だしな。しかし未開人の船にしては大きいな。」
ここで白い船が吠え出す。
「こちらは日本国海上保安庁である。貴国は我々の領海に侵入している。ただちに転進せよ。」
「提督、どういたしますか?」
「決まってるだろ。射程に入った船から攻撃しろ!」
先頭を走る戦列艦が敵艦を攻撃するため取舵をとる。後ろの船も続く。砲身が青く輝き砲弾が放たれる。三割ほどが命中し、爆炎で白い船を包み込む。煙が晴れたときには、その白い船はかなり傾いていた。そして程なく海の底へ沈んでいった。
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「我々は今よりあの島を占拠し前進基地とする。全艦、上陸舟艇を出せ。竜母アルケミス、カルケミスは竜を発艦させよ。」 提督は魔信で命令を出す。
100メートルはあろう木造船の側面から8匹の竜が飛び出す。それこそアンゴラス帝国が大国たる根源、白竜である。10mほどの巨大で狂暴な生物を竜騎士が魔力をもって操る。1人1人の魔力の強い帝国だからこそできることである。大空を羽ばたく白竜16騎の編隊飛行は壮観である。
「白龍隊長騎より伝達、島に街を発見。規模は数千人規模とのこと。また、船が島を離れようとしているとのことです。」
「提督、思いの外数が多いですね。」艦長が言う。
「100人程度を捕虜とし、残りは降伏してきても殺せ。取りすぎると食料が足らなくなる。どうせ魔力のない未開人だ。船も沈めろ。軍船でないとは限らん。」士官が全軍に伝達する。そしてそれは地獄絵図の始まる合図となる。
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白竜騎士隊長であるノームは落胆していた。彼の初陣は12年前、つまりひとつ前の召喚の亜大陸の原住民との戦いの時である。敵の矢が届かぬ高度から白竜にファイアーボールを放たせるだけの一方的な蹂躙。普段、味方の白竜相手に訓練を重ねるノームとしては実戦に物足りなさを感じざる得なかった。そして今回も同じ。反撃手段を持たぬ敵を叩く一方的な戦い。しかし任務から手を抜く訳には行かない。だから命じる。
「全騎突撃体制。敵船団へファイアーボール発射」
16個の火の玉が放たれ船へ吸い込まれてゆく。そして爆発し島から離れようとしていた漁船、連絡船に命中。攻撃は幾度となく繰り返され島の近海にはアンゴラス帝国以外の船はいなくなった。
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上陸部隊のタリル兵長は高揚していた。捕虜100人以外は殺して良いと命令されたからだ。帝国主力軍はともかく、植民地制圧軍については崇高な意思をもって国に仕えている者は少ない。特に魔法絶対主義著しいアンゴラス帝国である。魔法の使えぬ者は人でないと本気で考えるものも多い。
「狩りの時間だぜ~~!逃げろ、逃げ惑え~!」
上陸部隊28000人が人口わずか7000人の島へ襲いかかる。これを悪夢と言わずなんと呼ぶか。
タリル兵長は、爆裂魔法を魔石に展開し島民の背中に放ってゆく。
「本当魔法ってのは素晴らしいよな。」タリルは部下へ話しかける。
「ええ、全くです。なぜ神は魔法を使えぬような野蛮人をお作りにぐぎゃ!!」言葉は最後まで続かなかった。爆裂魔法とどこか異なる爆発音がした後、タリルの部下は倒れた。そして彼は気づく。青い服を着た島民がこちらになにかを向け立っていることに。彼はその島民が何らかの攻撃をしたと瞬時に理解し、彼に爆裂魔法を放つ。その島民は黒焦げになったがタリルは戦慄する。
「もしかして彼らは魔法が使えるのでは?」
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提督レーノンは悩んでいた。「敵船団撃滅」これはいい。「島を占領、捕虜102人を確保、それ以外は排除、我が方の戦死者76人」戦死者が出たのは痛ましいがこれもまぁいい。問題は「島民の一部が魔法と思われるものを使用。」これは何なのだ。今まで召還された土地には魔法が使える者などいなかった。レーノンは先行きに不安を覚えたのだった。
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