双子の転生先は双子でした

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Chapter 2

74* 面影 〜セザールside

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先日のことを謝罪したいと、アシュリー嬢が我が家にやってきた。
あの時、アシュリー嬢が言った言葉は理解できなかったが、あの目には怒りが籠っていた。

彼女への、求婚の話を聞いたとき頭の中が真っ白になった。しかも、相手は令嬢達から人気のある彼だと聞いた瞬間、純粋に「あぁ、当然か」と思ってしまった。
彼女のような、素晴らしい人を周りの適齢期の男達が放っておくはずがない。
そう思ったら、自然と突き離すような言葉を放っていた。
あの時の、彼女の顔が忘れられない。
一度、この腕に抱いた感触も、あの甘い口付けも…
自ら手放したのだ。わかっている。
でも、心も身体も…
未だ、彼女を求めてやまない。
彼女が、自分を好いてくれていることは良くわかっていた。
でも、そうだろう?
デビューして数年の、キラキラ輝いている年若い娘の側に、自分のようなろくな噂のない中年の男がいるより、同じ若く誠実で将来有望な青年がいるほうが、余程お似合いなのだから。

正直、アシュリー嬢の謝罪の内容など全く頭に入ってこなかった。
アシュリー嬢と、双子だけあって彼女達はよく似ている。見た目だけでなく、所作も似ているのだ。美しい銀髪を目にするだけで、彼女を思い出し心がざわついた。
目の前に、座っている人が彼女だったらどれだけいいだろう。
あの、柔らかなエメラルドの瞳に囚われたいと何度も願った。

しかし、今目の前にあるアメジストの瞳は、私を冷たく見下ろしている。

早々に、要件だけを述べたアシュリー嬢は、スクっと立ち上がり、一礼し部屋を出ていく。
その姿、動きまでそっくりだった…
くるりと翻した瞬間、彼女の後ろ姿と重なり、思わず手が伸びそうになるのを必死に抑えた。

そして、窓越しに何故か楽しそうに足取り軽く帰っていくアシュリー嬢がみえた。漸く、解放されたといったところだろうか。

セザールは、アシュリー嬢を見送って戻ってきた執事に静かに告げた。

「今夜も、アレを頼む」

「…かしこまりました」


湯を浴びて、セザールは執事が用意した寝酒をぐいっとあおった。
目を瞑ると、あの悲しげな彼女の顔が思い出され、苦しくなる。まだ、温もりを覚えている唇も、抱きしめた時の柔らかくホッとするような安心感も…
全て忘れるなんて、出来るわけがない。
彼女のことを想えば想うほどに、身体は沸るように熱くなっていく。


___くそっ!


セザールは、もはや限界だった…

準備が整ったと伝えにやってきた執事に、セザールは苦しげに言った。

「今夜は私が使う」


そして、セザールは普段娼婦を案内する部屋へと入って行った。




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