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Chapter 2
73*決戦の日
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そして、いよいよ決戦の日。
朝から念入りに、やつれたメイクを施したナタリーは両親である辺境伯夫妻の元へ。
そこで、ナタリーは2人にセザールに謙遜している旨を伝えた。
「私、セザール様以外と婚約するつもりはございません!」
「セザール様と夫婦になれないのであれば、領地に戻り辺境伯騎士団に復帰いたします!」
そう、強く伝えると真っ先に反応を見せたのは、母ミリアーナだった。
「ナタリー、貴女の気持ちはよく分かりました。
ですが…ダメです!」
「っ!何故ですか?お母様!」
「騎士団だけは、絶対にダメよ!」
「・・・え?」
ミリアーナの予想外の返答に、ナタリーは思わず面くらってしまった。
そして、そのままプンプンと可愛らしく怒っている母の姿を呆然と見つめ、はっ!として父の方へと目をやると、父ライウスは無言で遠い目をしていた。
双子を騎士団に入れたことを、ミリアーナに散々怒られていたからだった。
「え、ではセザール様と婚約したいと言っても許してくださるのですか?」
恐る恐る、確認するかのように問いかけたナタリーに対し、ミリアーナはさも当然のように答えた。
「もちろんよ!セザール様は、素敵な方ですし、優秀ですもの!
何より、ナタリー…
貴女が好きになったお相手ですもの。
心から愛する人と幸せにおなりなさい」
そう言って、ナタリーはそっと母ミリアーナに抱き寄せられた。
その暖かな抱擁に胸がいっぱいになる。
母の背に、そっと手を回しその肩越しには父の姿が見えた。
目が合えば、しっかりと頷き優しげに微笑んでくれる。
2人とも、ナタリーの想いが1番だと背中を押してくれたかのように、一気に心が軽くなった。
抱きしめながらミリアーナが言う。
「もう、いったい何をそんなに心配していたのかしら?こんな、病人みたいなメイクを施して…」
そう言って、ハンカチでそっとナタリーの頬を拭った。涙で濡れていた肌は、最も簡単にメイクを落としていった。
部屋を出る際には、耳元で「しっかり貴女のものにしてきなさい!」と、ウィンク混じりの激励をもらった。
その声が聞こえたのか、父ライウスは少し困った顔をしながらナタリーを見送ってくれた。
こうして、両親からもしっかりとお墨付きをもらったナタリーは、すぐ様部屋へと戻りずらりと並んだ侍女たちと共に念入りに準備を始めた。
その頃、アシュリーはというと…
セザールの家であるマルクス家に来ていた。
来訪の目的は、セザールへの謝罪と共に協力者たちへの作戦決行を告げるためだった。
「ようこそおいでくださいました、アシュリー様」
恭しく、出迎えてくれたのはセザールを長年支えてきた執事である。
「旦那様の元へ案内します」と言われ、後に続きながらアシュリーは小声で問いかけた。
「今宵、宴を開催したいのですが準備は大丈夫ですか?」
「はい、抜かりなく」
「それは安心いたしました。
こちらは疲れが取れると有名なお茶ですわ。是非、お休み前にお出ししてあげて下さい。
後のことは、全てうちの者にお任せを…」
「かしこまりました。
では、今宵お待ちしておりますと彼の方へお伝えくださいませ」
「ええ、皆様のご協力に感謝いたします」
そう言って、出迎えのため並んでいた従者や侍女達へ恭しく礼をした。
正直、セザールへの謝罪はどうでもいい。
いや、どうでもいいわけでは無いのだが…形式的に行い早々に退散した。
アシュリーの本音としては、謝罪すらしたくないのだから…
さぁ、いよいよ今夜!
頑張れナタリー♪
そう心で思いながら、謝罪しに訪れたマルクス家を、どこかワクワク気分で帰るアシュリーの様子を、セザールは窓越しに眺めていた。
その後ろ姿に、愛しの彼女を重ねながら。
朝から念入りに、やつれたメイクを施したナタリーは両親である辺境伯夫妻の元へ。
そこで、ナタリーは2人にセザールに謙遜している旨を伝えた。
「私、セザール様以外と婚約するつもりはございません!」
「セザール様と夫婦になれないのであれば、領地に戻り辺境伯騎士団に復帰いたします!」
そう、強く伝えると真っ先に反応を見せたのは、母ミリアーナだった。
「ナタリー、貴女の気持ちはよく分かりました。
ですが…ダメです!」
「っ!何故ですか?お母様!」
「騎士団だけは、絶対にダメよ!」
「・・・え?」
ミリアーナの予想外の返答に、ナタリーは思わず面くらってしまった。
そして、そのままプンプンと可愛らしく怒っている母の姿を呆然と見つめ、はっ!として父の方へと目をやると、父ライウスは無言で遠い目をしていた。
双子を騎士団に入れたことを、ミリアーナに散々怒られていたからだった。
「え、ではセザール様と婚約したいと言っても許してくださるのですか?」
恐る恐る、確認するかのように問いかけたナタリーに対し、ミリアーナはさも当然のように答えた。
「もちろんよ!セザール様は、素敵な方ですし、優秀ですもの!
何より、ナタリー…
貴女が好きになったお相手ですもの。
心から愛する人と幸せにおなりなさい」
そう言って、ナタリーはそっと母ミリアーナに抱き寄せられた。
その暖かな抱擁に胸がいっぱいになる。
母の背に、そっと手を回しその肩越しには父の姿が見えた。
目が合えば、しっかりと頷き優しげに微笑んでくれる。
2人とも、ナタリーの想いが1番だと背中を押してくれたかのように、一気に心が軽くなった。
抱きしめながらミリアーナが言う。
「もう、いったい何をそんなに心配していたのかしら?こんな、病人みたいなメイクを施して…」
そう言って、ハンカチでそっとナタリーの頬を拭った。涙で濡れていた肌は、最も簡単にメイクを落としていった。
部屋を出る際には、耳元で「しっかり貴女のものにしてきなさい!」と、ウィンク混じりの激励をもらった。
その声が聞こえたのか、父ライウスは少し困った顔をしながらナタリーを見送ってくれた。
こうして、両親からもしっかりとお墨付きをもらったナタリーは、すぐ様部屋へと戻りずらりと並んだ侍女たちと共に念入りに準備を始めた。
その頃、アシュリーはというと…
セザールの家であるマルクス家に来ていた。
来訪の目的は、セザールへの謝罪と共に協力者たちへの作戦決行を告げるためだった。
「ようこそおいでくださいました、アシュリー様」
恭しく、出迎えてくれたのはセザールを長年支えてきた執事である。
「旦那様の元へ案内します」と言われ、後に続きながらアシュリーは小声で問いかけた。
「今宵、宴を開催したいのですが準備は大丈夫ですか?」
「はい、抜かりなく」
「それは安心いたしました。
こちらは疲れが取れると有名なお茶ですわ。是非、お休み前にお出ししてあげて下さい。
後のことは、全てうちの者にお任せを…」
「かしこまりました。
では、今宵お待ちしておりますと彼の方へお伝えくださいませ」
「ええ、皆様のご協力に感謝いたします」
そう言って、出迎えのため並んでいた従者や侍女達へ恭しく礼をした。
正直、セザールへの謝罪はどうでもいい。
いや、どうでもいいわけでは無いのだが…形式的に行い早々に退散した。
アシュリーの本音としては、謝罪すらしたくないのだから…
さぁ、いよいよ今夜!
頑張れナタリー♪
そう心で思いながら、謝罪しに訪れたマルクス家を、どこかワクワク気分で帰るアシュリーの様子を、セザールは窓越しに眺めていた。
その後ろ姿に、愛しの彼女を重ねながら。
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