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Chapter 2
72*作戦と下準備
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セザールが帰った後、屋敷の異様な雰囲気をいち早く察したエリザベスが、アシュリーの元を訪れ、ことの詳細を細かく聞き出した。
そして、双子の姉であるエリザベスもまた激怒する。
アシュリーは、エリザベスと共にナタリーの元へと向った。
あれから、部屋に引き篭もっているナタリーを見ながら、アシュリーはそっと前世を思い出していた。
なんでも口にする由佳と違い、由希はすぐ顔には出てしまうがあまり口には出さないタイプだ。
その為、恋人と別れる別れないとなった際…
由佳は、大抵はっきりと「別れよう」「別れたくない」と口に出すのだが、由希は「どうして?」「なんで?」といった様子で、相手の様子や出方をみてしまうのだ。
そして、大抵相手の判断をのんでしまう為、最後に言われるセリフが「お前、別に本当は俺のこと好きじゃないだろう」である。
由希からすれば、好きだからこそ相手を"煩わせたくない"と、いう思いからなのだが…
なかなかそれが通じないのだ。
そして、恋人と別れる度に部屋に引き篭もるか、反対に休む間もないほど仕事をするかのどちらかだった。
はっきりと口にするアシュリーからすれば、セザールとのことも、あの場ではっきりと「愛している」と口に出せば何かが変わったかもしれない…と、思ってしまう。
でも、それができないのが由希であるナタリーなのだ。
きっともう、セザールのことが好きで好きで仕方がないのだと思う。
そんな、自分とは違う感受性を持ったナタリーのことが、アシュリーは大好きなのだ。
だからこそ、アシュリーは許せなかった。
簡単に、若い男にナタリーを譲ろうとするセザールのことが…
アシュリーは、心に決めていた。
絶対に、何がなんでも…
"ナタリーを好きな人と結婚させる"と。
そのためにも、姉であるエリザベスに全てを打ち明け、手を組み策を練った。
全ては、セザールとナタリーをくっつけるために!
そして、現在。
アシュリーは自信満々で「私に任せなさい!」と断言するエリザベスと共に、ナタリーの部屋のベッドの上にいる。
泣き腫らしたナタリーを囲むようにして座わり、エリザベスはナタリーの背中を摩り、アシュリーは目元を冷やしていた。
未だ、ぐすんぐすんと涙を落とすナタリーにエリザベスが優しく声をかける。
「心配しなくても大丈夫よ、ナタリー。
結婚は好きな人とするものよ!
お父様とお母様がそうなのだから、いくら求婚されたかといって、無理やり婚約なんてさせないわ。
それに、私に少し考えがあるから…ね?
ほら、元気を出して!」
そう言って、ナタリーを慰めるとエリザベスはポツポツと作戦について語り始めた。
日頃から、神秘的で女神のようだと讃えられている姉からは想像もつかない、その作戦内容に双子は驚きつつも、アシュリーは全面的に賛成し、ナタリーもグッと拳を握りしめ「やるわ!」と意気込んだ。
そして、すぐに各々がその準備に取り掛かった。
まず、姉のエリザベスは直ぐに婚約者であるサイラスに連絡…
"ある物を準備して欲しい"と頼んだ。
アシュリーは、新しい服の準備に取り掛かりながら、セザールに対し"後日、無礼な振る舞いに対する謝罪がしたい"と文をしたためた。
そして、ナタリーは自身の店のお客である女性達に連絡をとり"特殊なレッスンを受けたい"と願い出た。
来たるべき作戦実行日に備え、着々と準備を始める辺境伯家の三姉妹。
その真剣な様子に、あの場に居合わせた侍女たちまでもが、こぞって準備に参加し始めた。
ある者は、セザールの家であるマルクス家の従者と連絡を取り合い、事前にアシュリーとの面会をセッティング。
また、ある者は辺境伯夫婦である旦那様と奥様に、それとなくナタリーが失恋して悲しんでいる事と、また引き篭もってしまうのではないか?といった不安を吐露した。
気がつけば、三姉妹だけでなく辺境伯家のほぼ全ての侍女達と、マルクス家の従者と執事を始めとする屋敷の者達全てを味方につけていた。
そして、双子の姉であるエリザベスもまた激怒する。
アシュリーは、エリザベスと共にナタリーの元へと向った。
あれから、部屋に引き篭もっているナタリーを見ながら、アシュリーはそっと前世を思い出していた。
なんでも口にする由佳と違い、由希はすぐ顔には出てしまうがあまり口には出さないタイプだ。
その為、恋人と別れる別れないとなった際…
由佳は、大抵はっきりと「別れよう」「別れたくない」と口に出すのだが、由希は「どうして?」「なんで?」といった様子で、相手の様子や出方をみてしまうのだ。
そして、大抵相手の判断をのんでしまう為、最後に言われるセリフが「お前、別に本当は俺のこと好きじゃないだろう」である。
由希からすれば、好きだからこそ相手を"煩わせたくない"と、いう思いからなのだが…
なかなかそれが通じないのだ。
そして、恋人と別れる度に部屋に引き篭もるか、反対に休む間もないほど仕事をするかのどちらかだった。
はっきりと口にするアシュリーからすれば、セザールとのことも、あの場ではっきりと「愛している」と口に出せば何かが変わったかもしれない…と、思ってしまう。
でも、それができないのが由希であるナタリーなのだ。
きっともう、セザールのことが好きで好きで仕方がないのだと思う。
そんな、自分とは違う感受性を持ったナタリーのことが、アシュリーは大好きなのだ。
だからこそ、アシュリーは許せなかった。
簡単に、若い男にナタリーを譲ろうとするセザールのことが…
アシュリーは、心に決めていた。
絶対に、何がなんでも…
"ナタリーを好きな人と結婚させる"と。
そのためにも、姉であるエリザベスに全てを打ち明け、手を組み策を練った。
全ては、セザールとナタリーをくっつけるために!
そして、現在。
アシュリーは自信満々で「私に任せなさい!」と断言するエリザベスと共に、ナタリーの部屋のベッドの上にいる。
泣き腫らしたナタリーを囲むようにして座わり、エリザベスはナタリーの背中を摩り、アシュリーは目元を冷やしていた。
未だ、ぐすんぐすんと涙を落とすナタリーにエリザベスが優しく声をかける。
「心配しなくても大丈夫よ、ナタリー。
結婚は好きな人とするものよ!
お父様とお母様がそうなのだから、いくら求婚されたかといって、無理やり婚約なんてさせないわ。
それに、私に少し考えがあるから…ね?
ほら、元気を出して!」
そう言って、ナタリーを慰めるとエリザベスはポツポツと作戦について語り始めた。
日頃から、神秘的で女神のようだと讃えられている姉からは想像もつかない、その作戦内容に双子は驚きつつも、アシュリーは全面的に賛成し、ナタリーもグッと拳を握りしめ「やるわ!」と意気込んだ。
そして、すぐに各々がその準備に取り掛かった。
まず、姉のエリザベスは直ぐに婚約者であるサイラスに連絡…
"ある物を準備して欲しい"と頼んだ。
アシュリーは、新しい服の準備に取り掛かりながら、セザールに対し"後日、無礼な振る舞いに対する謝罪がしたい"と文をしたためた。
そして、ナタリーは自身の店のお客である女性達に連絡をとり"特殊なレッスンを受けたい"と願い出た。
来たるべき作戦実行日に備え、着々と準備を始める辺境伯家の三姉妹。
その真剣な様子に、あの場に居合わせた侍女たちまでもが、こぞって準備に参加し始めた。
ある者は、セザールの家であるマルクス家の従者と連絡を取り合い、事前にアシュリーとの面会をセッティング。
また、ある者は辺境伯夫婦である旦那様と奥様に、それとなくナタリーが失恋して悲しんでいる事と、また引き篭もってしまうのではないか?といった不安を吐露した。
気がつけば、三姉妹だけでなく辺境伯家のほぼ全ての侍女達と、マルクス家の従者と執事を始めとする屋敷の者達全てを味方につけていた。
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