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Chapter 1
閑話*アレキサンダーの憂い
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【王弟アレキサンダー】
彼は、この国の王であるフェルリオス陛下の年の離れた弟である。
ここで、勘違いをされてはいけないので、はっきりと言おう。
この兄弟、大変仲がいい。
いや、むしろ兄の方が弟離れができず、何かにつけては面倒を見たがるのだ。
年齢が離れているせいかもしれないが…
もうすぐ、40代半ばになる男にとっては、なかなか辛いものがある。
今もまた、兄に呼ばれてお茶をいただいてきたところだった。
国王であり、国で最も忙しいはずの人なのだが、常に隙間時間ができたら呼び出されるのだ。
そんな、兄の心配事はただ一つ。
アレキサンダーの結婚についてだ。
兄であるフェルリオスが王位に着くまでの間、アレキサンダーの周りはとても騒がしかった。
どんなに、『俺は兄上を支える臣下となる』と訴え続けても『何をおっしゃりますか?貴方様には、我々が付いております!第二王子派の、我らが貴方様を王位へと導きましょう!』と、言ったような頓珍漢な応えがかえってくる日々…
婚約者との破談もあり、アレキサンダーは兄を支えるために、自ら"結婚はしない"と決めたのだった。
そして、そんな弟の想いをよく知っているからこそ…兄フェルリオスは、アレキサンダーを結婚させたくて必死だった。
何度も令嬢を紹介されれば…
「もう、いい加減にしてください、兄上!」と、苦情を申し立て…
出会いの場を設けようとすれば…
「折角ですので、この場ではっきりさせましょう。私は、クリストファー(甥)が、結婚するまでは、決して結婚致しません!」と、大勢の貴族達の前で宣言し…
それでも、まだくらい付いてこれば…
「そこまで仰るのであれば…私を、王族から除籍して下さい」と断言し…
気がつけば、現在まで独身を貫いていたのだ。
そんな中で、アレキサンダーは彼女達に出会った。
彼女達が、社交界で何と呼ばれているのかは耳にしていた。
だが、実際に会った彼女達は噂とはまるで違っていた。面白く、好奇心旺盛、そして愛らしく、その物怖じしない態度にも好感が持てた。
普段は、決して相手の着ているドレスに対し話を振ることはない。後々、面倒ごとが起きるからだ。しかし、今回は当たり前のように、自然と口に出していた。
アレキサンダーは、初めて女性の着るドレスに"美しい"と思った。
デザインが、素晴らしいのか…
それとも、着ている人が魅力的なのか…
理由はわからないが、アレキサンダーは一瞬で圧倒的な美の虜になっていた。
彼は、この国の王であるフェルリオス陛下の年の離れた弟である。
ここで、勘違いをされてはいけないので、はっきりと言おう。
この兄弟、大変仲がいい。
いや、むしろ兄の方が弟離れができず、何かにつけては面倒を見たがるのだ。
年齢が離れているせいかもしれないが…
もうすぐ、40代半ばになる男にとっては、なかなか辛いものがある。
今もまた、兄に呼ばれてお茶をいただいてきたところだった。
国王であり、国で最も忙しいはずの人なのだが、常に隙間時間ができたら呼び出されるのだ。
そんな、兄の心配事はただ一つ。
アレキサンダーの結婚についてだ。
兄であるフェルリオスが王位に着くまでの間、アレキサンダーの周りはとても騒がしかった。
どんなに、『俺は兄上を支える臣下となる』と訴え続けても『何をおっしゃりますか?貴方様には、我々が付いております!第二王子派の、我らが貴方様を王位へと導きましょう!』と、言ったような頓珍漢な応えがかえってくる日々…
婚約者との破談もあり、アレキサンダーは兄を支えるために、自ら"結婚はしない"と決めたのだった。
そして、そんな弟の想いをよく知っているからこそ…兄フェルリオスは、アレキサンダーを結婚させたくて必死だった。
何度も令嬢を紹介されれば…
「もう、いい加減にしてください、兄上!」と、苦情を申し立て…
出会いの場を設けようとすれば…
「折角ですので、この場ではっきりさせましょう。私は、クリストファー(甥)が、結婚するまでは、決して結婚致しません!」と、大勢の貴族達の前で宣言し…
それでも、まだくらい付いてこれば…
「そこまで仰るのであれば…私を、王族から除籍して下さい」と断言し…
気がつけば、現在まで独身を貫いていたのだ。
そんな中で、アレキサンダーは彼女達に出会った。
彼女達が、社交界で何と呼ばれているのかは耳にしていた。
だが、実際に会った彼女達は噂とはまるで違っていた。面白く、好奇心旺盛、そして愛らしく、その物怖じしない態度にも好感が持てた。
普段は、決して相手の着ているドレスに対し話を振ることはない。後々、面倒ごとが起きるからだ。しかし、今回は当たり前のように、自然と口に出していた。
アレキサンダーは、初めて女性の着るドレスに"美しい"と思った。
デザインが、素晴らしいのか…
それとも、着ている人が魅力的なのか…
理由はわからないが、アレキサンダーは一瞬で圧倒的な美の虜になっていた。
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