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Chapter 1
45*引きの強い双子
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久々の夜会を、無事に終えた双子に待っていたのは、更に忙しさを増した日常だった。
あれだけ、色々と営業してきたのだ。
夜会から帰ってきた母と姉が、それはそれは嬉しそうに報告してくる。
____手応えありよ! と。
「早速、明日から問い合わせが増えるわ~!」
「挨拶するたびに、ナタリーのネイルについて聞かれたのよ!サロンがオープンした時には是非!と、宣伝しておいたわ!」
「王妃様も、アシュリーの手がけたドレスとジュエリーに興味がお有りの様だったわ!」
母と姉が、興奮した様子で話をするところを見ると、お披露目は大成功だったようだ。
ネイルサロンの店舗は、現在急ピッチで準備をしている。
王都の商業区画からは、少し離れた場所ではあるが、客層を貴族に搾っている為、馬車を乗り付けられる広さを最重視したのだ。ネイルは、前世のような狭い一室でも十分行うことはできる。しかし、せっかくなら前世とは全く違う環境でやってみたい。
そんな、ナタリーの希望により、サロン内はまるで温室のような、草花が彩る自然豊かな空間になるよう設計してもらった。側面はガラス張りにして、自然光がキラキラと差し込むようになっており、とても優雅な時間を過ごしてもらえるだろう。
ちなみに、サロンの上にはアシュリー用の応接室も用意している。
実際の作成は、高価な宝石類を使用する為、王都の辺境伯邸で作る予定にしているが、オーダーメイドな為、フィッティングやデザインの打ち合わせなどはこちらを使う予定にしている。
完成にはまだ少しかかる為、その間に更なる話題を集めておきたい。
何かいい案がないかと考えているアシュリーは、ふと思い出した。
「あ!そうそう、お母様!
王弟殿下より、オーダーメイドの依頼をうけたのですが、対応をお願いしても宜しいでしょうか?」
「・・・王弟とは、アレキサンダー殿下のことかしら?」
ん?他に誰かいるのだろうか?
「はい、そうですけど?」
「はぁ…引きが強いと言うか何と言うか…
貴女達、いったいどこでアレキサンダー殿下にお会いしたの?」
「中庭です!」
「・・・ナカニワ?」
「「 !!! 」」
(え?ここでは、中庭って通じないの!?)
「えっと…て、庭園です!庭園!」
慌てていい直すと、母と姉は納得したかのように頷いた。
不意に、前世の言葉がぽろっと出てしまった双子は、"中庭"すら通じないことに驚きつつも、うまく誤魔化せたことに「ふぅ~っ」と息を吐いて安堵した。
それにしても、"引きが強い"とはどう言う意味なのだろうか?
さり気なく母と姉に問いかけてみると、思いもよらない返事がかえってきた。
「あら、そうね、貴女達は暫く外に出ていなかったから知らないわよね。」
そう言って、母が説明するには、王弟であるアレキサンダー殿下は、神出鬼没なのだそうだ。
なんでも、通常の公務にはしっかり顔を出しており不在の事など、まず無いほどだという。
しかし、公務としての一通りの挨拶や、ダンス等が終えて終えば即姿を眩ますらしい。
その為、公務以外でアレキサンダー殿下に接触することは、とても難しい事なのだそうだ。今まで、何人もの貴族や商人たちが接触を試みるも、挨拶一つろくに出来なかったらしい。
母は、「流石、我が娘たちね!いい顧客を抑えたわ!」と、大変上機嫌である。
双子たちにとっても、良き宣伝役になってくれると思ってはいるのだが…
少しばかり"面倒臭そう"と思った事は、双子だけの秘密である。
あれだけ、色々と営業してきたのだ。
夜会から帰ってきた母と姉が、それはそれは嬉しそうに報告してくる。
____手応えありよ! と。
「早速、明日から問い合わせが増えるわ~!」
「挨拶するたびに、ナタリーのネイルについて聞かれたのよ!サロンがオープンした時には是非!と、宣伝しておいたわ!」
「王妃様も、アシュリーの手がけたドレスとジュエリーに興味がお有りの様だったわ!」
母と姉が、興奮した様子で話をするところを見ると、お披露目は大成功だったようだ。
ネイルサロンの店舗は、現在急ピッチで準備をしている。
王都の商業区画からは、少し離れた場所ではあるが、客層を貴族に搾っている為、馬車を乗り付けられる広さを最重視したのだ。ネイルは、前世のような狭い一室でも十分行うことはできる。しかし、せっかくなら前世とは全く違う環境でやってみたい。
そんな、ナタリーの希望により、サロン内はまるで温室のような、草花が彩る自然豊かな空間になるよう設計してもらった。側面はガラス張りにして、自然光がキラキラと差し込むようになっており、とても優雅な時間を過ごしてもらえるだろう。
ちなみに、サロンの上にはアシュリー用の応接室も用意している。
実際の作成は、高価な宝石類を使用する為、王都の辺境伯邸で作る予定にしているが、オーダーメイドな為、フィッティングやデザインの打ち合わせなどはこちらを使う予定にしている。
完成にはまだ少しかかる為、その間に更なる話題を集めておきたい。
何かいい案がないかと考えているアシュリーは、ふと思い出した。
「あ!そうそう、お母様!
王弟殿下より、オーダーメイドの依頼をうけたのですが、対応をお願いしても宜しいでしょうか?」
「・・・王弟とは、アレキサンダー殿下のことかしら?」
ん?他に誰かいるのだろうか?
「はい、そうですけど?」
「はぁ…引きが強いと言うか何と言うか…
貴女達、いったいどこでアレキサンダー殿下にお会いしたの?」
「中庭です!」
「・・・ナカニワ?」
「「 !!! 」」
(え?ここでは、中庭って通じないの!?)
「えっと…て、庭園です!庭園!」
慌てていい直すと、母と姉は納得したかのように頷いた。
不意に、前世の言葉がぽろっと出てしまった双子は、"中庭"すら通じないことに驚きつつも、うまく誤魔化せたことに「ふぅ~っ」と息を吐いて安堵した。
それにしても、"引きが強い"とはどう言う意味なのだろうか?
さり気なく母と姉に問いかけてみると、思いもよらない返事がかえってきた。
「あら、そうね、貴女達は暫く外に出ていなかったから知らないわよね。」
そう言って、母が説明するには、王弟であるアレキサンダー殿下は、神出鬼没なのだそうだ。
なんでも、通常の公務にはしっかり顔を出しており不在の事など、まず無いほどだという。
しかし、公務としての一通りの挨拶や、ダンス等が終えて終えば即姿を眩ますらしい。
その為、公務以外でアレキサンダー殿下に接触することは、とても難しい事なのだそうだ。今まで、何人もの貴族や商人たちが接触を試みるも、挨拶一つろくに出来なかったらしい。
母は、「流石、我が娘たちね!いい顧客を抑えたわ!」と、大変上機嫌である。
双子たちにとっても、良き宣伝役になってくれると思ってはいるのだが…
少しばかり"面倒臭そう"と思った事は、双子だけの秘密である。
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