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Chapter 1
29*双子の反撃
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___良く覚えていますよ、貴方方にかけられた悪意の籠もった言葉、全て。
そう言って、微笑む双子に挨拶に訪れた者達は一斉に顔色を悪くした。
アシュリーとナタリーは、全てしっかりと覚えているのだ。
もはや、ゲームで良くある転生特典なのではないか?と思うほど、記憶力がいい。
しかし、残念ながらそれは転生特典でも何でも無く、本来の双子が持って産まれた才能だった。
セザールの横に、お淑やかに並ぶナタリーは言う。
「あら、ローマン様ではございませんか?私どものような"家畜以下"の元まで挨拶に来られるなんて…
どのような心境の変化でしょうか?」
と、そう微笑みながら伝えれば隣に立つセザールの温度が一気に氷点下まで下がっていく様子が窺える。
そして、ナタリーに続いて次は兄の隣に凜として立つアシュリーが言う。
「まぁ、クリスティーネ様ごきげんよう。私どもが視界に入るだけで"目が腐ってしまう"と仰っておられた貴女様が、こんな側までどうされたのですか?
…目が腐ってしまいますわよ?」
嫌みを込めて、「心配だわ~」と胸元を押さえれば、側の兄はその視線だけで相手を殺してしまうのでは無いかと心配になるほど殺気を放っていた。
もちろん、その殺気に充てられたクリスティーネを始めとする令嬢達はささーっと引いていき、令息達もそっとその場を離れていく。
早々に、周りが綺麗さっぱりとしたところで、ダニエルはアシュリーとナタリーにこそっと耳打ちした。
『屋敷に戻り次第、中傷したものたちを全て教えなさい』と。
ダニエルにとっては、目に入れても痛くないほど昔から妹達を溺愛しているのだ。
それこそ、ムキムキの女性レスラーの様な姿でも、肌荒れで顔中ボツボツの溶岩石のような顔でも…
兄をはじめ家族と辺境伯家の使用人達だけは、双子がどんな姿でも愛して受け入れてくれていた。
そんな、大切な双子に対し悪意のある言葉をぶつける輩をダニエルが許すはずが無い。
今までは、聞き出したくても、双子が余計に悲しむのでは無いかと直接聞いてこなかったのだが、先程の二人の話から自分が調べた以外にも散々言われていたことが想定できたのだろう。
そして、知ってしまったのだ。
辺境伯家で一番怒らせてはいけない人物が…
少し、想像するだけでかなり怖い‥
「お兄様。私もアシュリーも、お兄様の妹なのですよ?もう、易々と負けを認めたりしませんわ」
「えぇ…それこそ、今までの恨みをしっかりと晴らさせて頂きますから!そんなに心配なさらないで下さいまし!」
そう、元気に宣言するも、妹を愛して止まない兄的には不服なようで…
「‥わかった。しかし、お前達とは別に私からも挨拶ぐらいはさせてくれ」
___だから、後でしっかりと教えなさい!
そう、いわれたのは言うまでもない。
双子が、ここまで反撃態勢で好戦的にも関わらず、やたら過保護な兄に少しだけ呆れてしまう。
そして、忘れていたが…
もう一人、過保護気味な人物がいた。
「そうですよ。アシュリー嬢もナタリー嬢もいくら自ら挑みたいと思っていても、味方は多ければ多い方が良いではありませんか。微力ながら、私も是非お二人の力にならせて下さい」
___あの様な輩は、叩けば叩くほど埃がでますからねぇ。
そう言って、みせて下さった妖艶な笑みは大変魅力的で素敵ですが…
今はいいです、セザール様。
結局その後、わらわらと沸いてくる令息・令嬢に嫌みを込めた挨拶で蹴散らせながらも、双子はほぼ初めてに近い夜会を楽しんでいた。
そう言って、微笑む双子に挨拶に訪れた者達は一斉に顔色を悪くした。
アシュリーとナタリーは、全てしっかりと覚えているのだ。
もはや、ゲームで良くある転生特典なのではないか?と思うほど、記憶力がいい。
しかし、残念ながらそれは転生特典でも何でも無く、本来の双子が持って産まれた才能だった。
セザールの横に、お淑やかに並ぶナタリーは言う。
「あら、ローマン様ではございませんか?私どものような"家畜以下"の元まで挨拶に来られるなんて…
どのような心境の変化でしょうか?」
と、そう微笑みながら伝えれば隣に立つセザールの温度が一気に氷点下まで下がっていく様子が窺える。
そして、ナタリーに続いて次は兄の隣に凜として立つアシュリーが言う。
「まぁ、クリスティーネ様ごきげんよう。私どもが視界に入るだけで"目が腐ってしまう"と仰っておられた貴女様が、こんな側までどうされたのですか?
…目が腐ってしまいますわよ?」
嫌みを込めて、「心配だわ~」と胸元を押さえれば、側の兄はその視線だけで相手を殺してしまうのでは無いかと心配になるほど殺気を放っていた。
もちろん、その殺気に充てられたクリスティーネを始めとする令嬢達はささーっと引いていき、令息達もそっとその場を離れていく。
早々に、周りが綺麗さっぱりとしたところで、ダニエルはアシュリーとナタリーにこそっと耳打ちした。
『屋敷に戻り次第、中傷したものたちを全て教えなさい』と。
ダニエルにとっては、目に入れても痛くないほど昔から妹達を溺愛しているのだ。
それこそ、ムキムキの女性レスラーの様な姿でも、肌荒れで顔中ボツボツの溶岩石のような顔でも…
兄をはじめ家族と辺境伯家の使用人達だけは、双子がどんな姿でも愛して受け入れてくれていた。
そんな、大切な双子に対し悪意のある言葉をぶつける輩をダニエルが許すはずが無い。
今までは、聞き出したくても、双子が余計に悲しむのでは無いかと直接聞いてこなかったのだが、先程の二人の話から自分が調べた以外にも散々言われていたことが想定できたのだろう。
そして、知ってしまったのだ。
辺境伯家で一番怒らせてはいけない人物が…
少し、想像するだけでかなり怖い‥
「お兄様。私もアシュリーも、お兄様の妹なのですよ?もう、易々と負けを認めたりしませんわ」
「えぇ…それこそ、今までの恨みをしっかりと晴らさせて頂きますから!そんなに心配なさらないで下さいまし!」
そう、元気に宣言するも、妹を愛して止まない兄的には不服なようで…
「‥わかった。しかし、お前達とは別に私からも挨拶ぐらいはさせてくれ」
___だから、後でしっかりと教えなさい!
そう、いわれたのは言うまでもない。
双子が、ここまで反撃態勢で好戦的にも関わらず、やたら過保護な兄に少しだけ呆れてしまう。
そして、忘れていたが…
もう一人、過保護気味な人物がいた。
「そうですよ。アシュリー嬢もナタリー嬢もいくら自ら挑みたいと思っていても、味方は多ければ多い方が良いではありませんか。微力ながら、私も是非お二人の力にならせて下さい」
___あの様な輩は、叩けば叩くほど埃がでますからねぇ。
そう言って、みせて下さった妖艶な笑みは大変魅力的で素敵ですが…
今はいいです、セザール様。
結局その後、わらわらと沸いてくる令息・令嬢に嫌みを込めた挨拶で蹴散らせながらも、双子はほぼ初めてに近い夜会を楽しんでいた。
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