双子の転生先は双子でした

cc.

文字の大きさ
上 下
16 / 103
Chapter 1

16*王太子と双子

しおりを挟む
扉の前に立つ騎士の一人が、ダニエル達の到着を告げるため声を上げた。


「申し上げます!
辺境伯家ダニエル様、並びにご令嬢アシュリー様、ナタリー様がお見えです」


「入れ」


中から、入室の許可の返答と共に扉が開かれる。
兄に続くようにして、アシュリーとナタリーも中へと入った。
そこは、先日訪れた兄の執務室の何倍も広く豪華な部屋だった。
部屋の装飾品が、やたらと煌びやかなのに加え「待っていたよ!」と、ニコニコと微笑み返す男性にロイヤルの凄さを実感する。


「殿下、改めてご挨拶致します。我が妹、アシュリーとナタリーです」


入室早々、何の前触れも無く突然ぶっ込んできた兄に思わず双子は驚愕した。
しかし、この機会を逃す訳にはいかない。直ぐさま二人は、ダニエルを挟む形で一歩前にでるとゆっくりとカーテシーで挨拶を行った。

「王太子殿下におかれましては、ごきげん麗しく‥
ご無沙汰しております。辺境伯家次女アシュリーでございます。」

「同じく、辺境伯家三女ナタリーでございます。この度、急なお話も関わらずお目通り叶いましたこと、感謝申し上げます」


そう言って、恭しく礼をとる双子に対し、王太子である殿下は目を丸くしていた。

・・・まぁ、それは当然のことである。
あの3年前の社交界デビューの時には、二人とも俯いたままモゴモゴと何を話しているのか全く分からないレベルだったのだから。それが現在、見違えるほど美しく成長した双子は、王太子を前にしてもなお、力強く前を見据えているではないか。

現在、16歳であるアシュリーとナタリー。
この国の成人は18歳であり、殆どの令嬢は成人を迎えると同時に結婚する。
そう考えると、未だに婚約者がいないアシュリーとナタリーは遅いのだ。

一通りの挨拶を終えた後、王太子と共にお茶をしていた3人は、不意に王太子より投げかけられた質問に正直に答えてしまった。

「3人とも、婚約者は決めたのか?」と…

その問いかけに対し、仲の良さを見せつけるかのように三者三様の声が並んだ。

ダニエル 「妹たちが嫁いでからで結構です」
アシュリー「次期当主のお兄様が許可して下されば嫁ぎません」
ナタリー 「いずれ何方かの後妻にでもなれればそれで結構です」


この返答に対して、流石の王太子も「お前達…」と呆れかえっていた。

そして、もちろんこの後…
王太子と兄による事情聴取が行われたのである。
ちなみに…現在、王太子の執務室には総勢8名。
王太子と兄のダニエル、アシュリーとナタリー以外に、他4名がいたのだが…
突然の、アシュリーとナタリーのカミングアウトに真っ先にその4名が飛びついたのだ。


「「「「後妻になるなら、是非我々と婚約を!!」」」」
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:201,300pt お気に入り:7,281

悪役令嬢はヒロインを虐めている場合ではない

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:2,096pt お気に入り:13,036

結婚式の前夜、花嫁に逃げられた公爵様の仮妻も楽じゃない

恋愛 / 完結 24h.ポイント:144,571pt お気に入り:2,542

完結•25歳差夫婦の新婚事情

恋愛 / 完結 24h.ポイント:71pt お気に入り:50

今日は、私の結婚式。幸せになれると思ったのに、、、

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:41,275pt お気に入り:761

筆頭騎士様の夜伽係

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:19,916pt お気に入り:2,038

悪役令嬢?何それ美味しいの? 溺愛公爵令嬢は我が道を行く

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:4,387pt お気に入り:5,733

処理中です...