30 / 31
番外編
~アルバスのその後Ⅱ~
しおりを挟む「アルバス殿がいらっしゃいました♪」
「「「「ようこそ~!!!」」」」
重苦しい雰囲気とは裏腹に、アルバスの到着を知らせる声に対し返ってきたのは、その到着を待ちわびていた人達からの明るい歓迎の声だった。
ここは、ブレナン伯爵家の研究棟であり、こちらの棟は元婚約者ユーフォニア・ブレナンが統括している毒や病原体に特化した専門棟だった。
「あら、アルバス…今日は早いのね?」
そう言って、さっと前を横切っていったのはこの棟の管理者ユーフォニアだ。
彼女は、その華奢な身体をすっぽりと覆い隠すほどの長いローブを羽織っている。研究棟にいる者達は、皆このローブを羽織り研究に勤しんでいるのだ。
あの日、意を決してブレナン伯爵家に行ったときの様子が思い出された。
手紙を受け取った後、恐怖心と怒りが入り交じったなんとも言えない思いで、アルバスはブレナン家に足を踏み入れた。着くやいなや、すぐこの研究棟へと案内された。そして、その時も今回と同じように明るい声で出迎えられたのだ。正直、最初は怒りの方が勝っていたためか、『何だこいつらは?』程度にしか思っていなかった。
しかし、目の前に悠然と現われたユーフォニアの一言で一変した。
『あら、早かったわね?私の可愛いモルモットちゃん♪』
『いっぱい集めてくれたのかしら?』
『さぁ、皆!楽しい楽しい採取の時間よ~!!準備始めてちょうだい!』
そうユーフォニアが言えば、普段根暗な研究員達のそれはそれはワクワクしたような嬉しそうな声が研究棟いっぱいに轟いたのだ。
流石のアルバスも、あの時だけは完全に腰が引けてしまった。
しかし、研究肌の者達はそんなことは気にしない。
パンッ!っと薄手の手袋を嵌めたユーフォニアは、未だドキドキが収まらないアルバスに対し次々と指示をだした。
『ねぇ、一番直近で女を抱いた日はいつ?その時の状況を、できるだけ細かく報告して。
それと、相手の名前を知っているならそれも報告して。
一度の射精の料も調べておく必要があるわね…。
あ、ビットさん!そこのビーカー下さい!!』
『ん?これですかい?どーぞ』
『ありがとうございます』
そう言って、ビットと呼ばれた中年の研究員からビーカーを受け取ると、そのままアルバスへと差し出した。
そして、一言。
『だして』
『・・・・・』
意味は、分かりたくないが…わかる。嫌と言うほど、分かる。
アルバスは、羞恥心を堪えながらも
ユーフォニアからビーカーを受け取った。
『わかった。‥手洗いはどちらに?』
『手洗い?ここで良いわよ?』
『いっ、いや、流石にここでは…』
『今更何言ってるの?貴方、外でも平気でしてたじゃない。見られることなんて平気でしょ?』
『っ!?お前…何で知って『見てたから』』
『‥え!?』
まさか、自分の情事を婚約者に見られていたなんて…
言葉にならないまま立ち尽くすアルバスに対し、ユーフォニアは今更何を言ってるんだと言わんばかりに、大きな溜息をついた。そして、ゆっくりと諭すようにしてアルバスへ言った。
『ねぇ、アルバス。
今すぐ、自分で服を脱ぎ抜くのか、
今すぐ、私に脱がされて魔法で搾り取られるか、
貴方が決めて』
そう言われ、アルバスが真っ先に想像した一番の理想は、ユーフォニアに脱がされて彼女の身体をオカズに彼女の手で抜く!という流れだった。しかし、これは絶対に無理だ。直ぐさま、煩悩をかき消すかのように頭を振った。
そして、自分で抜く方法を選んだ。
「「「「ようこそ~!!!」」」」
重苦しい雰囲気とは裏腹に、アルバスの到着を知らせる声に対し返ってきたのは、その到着を待ちわびていた人達からの明るい歓迎の声だった。
ここは、ブレナン伯爵家の研究棟であり、こちらの棟は元婚約者ユーフォニア・ブレナンが統括している毒や病原体に特化した専門棟だった。
「あら、アルバス…今日は早いのね?」
そう言って、さっと前を横切っていったのはこの棟の管理者ユーフォニアだ。
彼女は、その華奢な身体をすっぽりと覆い隠すほどの長いローブを羽織っている。研究棟にいる者達は、皆このローブを羽織り研究に勤しんでいるのだ。
あの日、意を決してブレナン伯爵家に行ったときの様子が思い出された。
手紙を受け取った後、恐怖心と怒りが入り交じったなんとも言えない思いで、アルバスはブレナン家に足を踏み入れた。着くやいなや、すぐこの研究棟へと案内された。そして、その時も今回と同じように明るい声で出迎えられたのだ。正直、最初は怒りの方が勝っていたためか、『何だこいつらは?』程度にしか思っていなかった。
しかし、目の前に悠然と現われたユーフォニアの一言で一変した。
『あら、早かったわね?私の可愛いモルモットちゃん♪』
『いっぱい集めてくれたのかしら?』
『さぁ、皆!楽しい楽しい採取の時間よ~!!準備始めてちょうだい!』
そうユーフォニアが言えば、普段根暗な研究員達のそれはそれはワクワクしたような嬉しそうな声が研究棟いっぱいに轟いたのだ。
流石のアルバスも、あの時だけは完全に腰が引けてしまった。
しかし、研究肌の者達はそんなことは気にしない。
パンッ!っと薄手の手袋を嵌めたユーフォニアは、未だドキドキが収まらないアルバスに対し次々と指示をだした。
『ねぇ、一番直近で女を抱いた日はいつ?その時の状況を、できるだけ細かく報告して。
それと、相手の名前を知っているならそれも報告して。
一度の射精の料も調べておく必要があるわね…。
あ、ビットさん!そこのビーカー下さい!!』
『ん?これですかい?どーぞ』
『ありがとうございます』
そう言って、ビットと呼ばれた中年の研究員からビーカーを受け取ると、そのままアルバスへと差し出した。
そして、一言。
『だして』
『・・・・・』
意味は、分かりたくないが…わかる。嫌と言うほど、分かる。
アルバスは、羞恥心を堪えながらも
ユーフォニアからビーカーを受け取った。
『わかった。‥手洗いはどちらに?』
『手洗い?ここで良いわよ?』
『いっ、いや、流石にここでは…』
『今更何言ってるの?貴方、外でも平気でしてたじゃない。見られることなんて平気でしょ?』
『っ!?お前…何で知って『見てたから』』
『‥え!?』
まさか、自分の情事を婚約者に見られていたなんて…
言葉にならないまま立ち尽くすアルバスに対し、ユーフォニアは今更何を言ってるんだと言わんばかりに、大きな溜息をついた。そして、ゆっくりと諭すようにしてアルバスへ言った。
『ねぇ、アルバス。
今すぐ、自分で服を脱ぎ抜くのか、
今すぐ、私に脱がされて魔法で搾り取られるか、
貴方が決めて』
そう言われ、アルバスが真っ先に想像した一番の理想は、ユーフォニアに脱がされて彼女の身体をオカズに彼女の手で抜く!という流れだった。しかし、これは絶対に無理だ。直ぐさま、煩悩をかき消すかのように頭を振った。
そして、自分で抜く方法を選んだ。
45
お気に入りに追加
1,637
あなたにおすすめの小説



【完結】私は身代わりの王女だったけれど、冷たい王太子に愛されました。
朝日みらい
恋愛
虐げられた王女・エリシアは、母の死後、継母と義理の姉妹たちに冷遇されながら宮廷で孤独に暮らしていた。そんな中、病に伏した父王の代わりに和平を保つため、隣国との政略結婚が決定される。本来ならば義姉が花嫁となるはずが、継母の陰謀で「身代わりの花嫁」としてエリシアが送り込まれることに。
隣国の王太子・レオニードは「女嫌い」と噂される冷淡な人物。結婚初夜、彼はエリシアに「形だけの夫婦」と宣言し、心を閉ざしたままだったが――。

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。



私を売女と呼んだあなたの元に戻るはずありませんよね?
ミィタソ
恋愛
アインナーズ伯爵家のレイナは、幼い頃からリリアナ・バイスター伯爵令嬢に陰湿ないじめを受けていた。
レイナには、親同士が決めた婚約者――アインス・ガルタード侯爵家がいる。
アインスは、その艶やかな黒髪と怪しい色気を放つ紫色の瞳から、令嬢の間では惑わしのアインス様と呼ばれるほど人気があった。
ある日、パーティに参加したレイナが一人になると、子爵家や男爵家の令嬢を引き連れたリリアナが現れ、レイナを貶めるような酷い言葉をいくつも投げかける。
そして、事故に見せかけるようにドレスの裾を踏みつけられたレイナは、転んでしまう。
上まで避けたスカートからは、美しい肌が見える。
「売女め、婚約は破棄させてもらう!」

婚約者に捨てられた公爵令嬢ですが、冷酷公爵に愛されすぎて困ります
ゆる
恋愛
「君との婚約はなかったことにする。新しい聖女となったリリアナこそ、私の真の婚約者だ」
婚約者である第二王子エドワードから突然の婚約破棄を突きつけられた伯爵令嬢ソフィア・エレナ。
新たに聖女として現れたリリアナにすべてを奪われ、名誉を傷つけられた彼女は、社交界で“落ちぶれた娘”として嘲笑されることに。
しかし、そんなソフィアに救いの手を差し伸べたのは、王国随一の実力者である“冷酷公爵”アレクシス・ヴァルフォードだった。
「君が望むなら、私が夫になろう。――これは政略ではなく、私の意志だ」
王家の圧力をものともせず、ソフィアとの結婚を宣言したアレクシス。
初めは“契約結婚”だったはずが、彼の真摯な愛と溺愛ぶりに、ソフィアの心は次第に溶かされていく。
一方、聖女として絶対的な支持を得たリリアナだったが、彼女の“力”にはある大きな秘密が隠されていて――?
「わたくしこそが、聖女としてこの国を導く存在! ソフィア様なんて、公爵様に捨てられるに決まってますわ!」
「……そうかしら? では、あなたは公爵様に聞いてみるといいわ」
婚約破棄されるはずが、公爵様に愛されすぎて大変です!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる