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番外編
~サイモンのその後Ⅱ~
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サイモンの父である侯爵は、もう一度その手紙を読み直した。
何度も、何度も…
しかし、何度みてもそこには、こう書かれている。
~私、ガブリエラ・ヒューデルワイズの婿として、サイモン・モンテネグロ様を迎え入れたい~
こうして、サイモン・モンテネグロはミシュカ・ランブルとの婚約撤回後、自身より50歳も年上の女性の元へ婿入りすることとなった。
なお、彼女は表向きは長年夫を支えた妻の顔をしていたのだが、裏では"加虐性愛"の持ち主として有名であった。
綺麗な男性や女性を買ってきては、自身の好みに仕上がるまで痛めつけるのだ。
サイモンは、ヒューデルワイズ家に入るや否や、その光景に絶句した。
最早、男も女も関係ない。
全ては、彼女の一声で決まるのだ。
「ようこそ、我がヒューデルワイズ家へ。
では、早速子作りに励みましょうか!」
そう言って、案内された先には鎖に繋がれた女性達がざっと20人ほどいた。
「サイモン、貴方はこれからこの子達全員に子ができるまで、休んではなりませんわよ?
【色情狂】の二つ名を持つ程の貴方ですから…どれだけでもできるでしょう!私は、こちらでこの子達と戯れながら眺めておりますわ」
そう言った、彼女は後ろに侍らせていた男性達に向け言った。
「さぁ、私を気持ち良くしてちょうだい!」と…
その光景に、呆然と立ち尽くしてサイモンに鎖に繋がれていた女性達が一人、また一人と群がってきた。
「お願いします!お子を…子種を下さい!早く子を成さなければ、また…また…」
そういって、ガクガクと涙目になり震える女性達相手では、流石のサイモンもそんな気分には慣れなかった。
しかし、無情にも後方からはヒュンっと鞭が空を切る音が聞こえ、それと共に男性たちの痛ましい声が聞こえてきた。
「どうしたの?サイモン?気分が乗らないのなら、誰かに鞭打ちさせましょうか?」
そう言う彼女は、サイモンの様子を伺いながらも鞭を振り下ろす手を止めることは無かった。
サイモンは、今日も誰かを抱いている。
毎日毎日、誰かの中に精を吐き出し続けている。
止めることは、許されていない。
こんな時、無駄に騎士として体力が有り余っている自分が嫌になる。
ガブリエラの夫になって、もうどれぐらいの月日がたったのだろうか。
「もう、出ない…」と言ったあの日、彼女は笑顔でこれを差し出してきた。
「大丈夫よ、これを飲めばすぐに元気になるわ!もう一踏ん張りよ!私たちの子供のために頑張りましょうね!」
それからは、毎日薬を飲み続けなんとか精を吐き出している。
そして、自分の夫が自分より随分と若い別の女を抱いている姿を、惚けた顔で眺めている彼女の周りには、俺の子が19人もいる。あれから、子供ができた女達は彼女との約束通り、子を産めば解放されていった。
残すは、あと1人…今抱いているこの女さえ孕めば、俺はこの悪夢から解放されるはずだった。
そのはずだったのに…
「サイモン・ヒューデルワイズ、誘拐・監禁・暴行・強姦、及び奴隷商法の共犯で投獄します」
ある日、突然やって来た騎士団によってガブリエラとサイモンは投獄された。
ガブリエラは、歳も歳だったため獄中で間もなく亡くなった。
もちろん、騎士団による捜査の末、サイモン自身も被害者であるとわかったものの、実際19人ものサイモンの子供がいる事実により、監禁と強姦の罪を被ることとなった。
サイモンは、後に自身を縛り上げた元同僚達に向かって涙を流し、こう言ったという。
「助けてくれて、ありがとう…」 と。
end.
◇ ◇ ◇
サイモン編、お読みいただきありがとうございました。
今回、残虐な表現を取り入れてみたのですが…難しいですね。
クロードとアルバスのその後に関しても、準備しておりますので、宜しければまたご覧下さい。
ありがとうございました。
何度も、何度も…
しかし、何度みてもそこには、こう書かれている。
~私、ガブリエラ・ヒューデルワイズの婿として、サイモン・モンテネグロ様を迎え入れたい~
こうして、サイモン・モンテネグロはミシュカ・ランブルとの婚約撤回後、自身より50歳も年上の女性の元へ婿入りすることとなった。
なお、彼女は表向きは長年夫を支えた妻の顔をしていたのだが、裏では"加虐性愛"の持ち主として有名であった。
綺麗な男性や女性を買ってきては、自身の好みに仕上がるまで痛めつけるのだ。
サイモンは、ヒューデルワイズ家に入るや否や、その光景に絶句した。
最早、男も女も関係ない。
全ては、彼女の一声で決まるのだ。
「ようこそ、我がヒューデルワイズ家へ。
では、早速子作りに励みましょうか!」
そう言って、案内された先には鎖に繋がれた女性達がざっと20人ほどいた。
「サイモン、貴方はこれからこの子達全員に子ができるまで、休んではなりませんわよ?
【色情狂】の二つ名を持つ程の貴方ですから…どれだけでもできるでしょう!私は、こちらでこの子達と戯れながら眺めておりますわ」
そう言った、彼女は後ろに侍らせていた男性達に向け言った。
「さぁ、私を気持ち良くしてちょうだい!」と…
その光景に、呆然と立ち尽くしてサイモンに鎖に繋がれていた女性達が一人、また一人と群がってきた。
「お願いします!お子を…子種を下さい!早く子を成さなければ、また…また…」
そういって、ガクガクと涙目になり震える女性達相手では、流石のサイモンもそんな気分には慣れなかった。
しかし、無情にも後方からはヒュンっと鞭が空を切る音が聞こえ、それと共に男性たちの痛ましい声が聞こえてきた。
「どうしたの?サイモン?気分が乗らないのなら、誰かに鞭打ちさせましょうか?」
そう言う彼女は、サイモンの様子を伺いながらも鞭を振り下ろす手を止めることは無かった。
サイモンは、今日も誰かを抱いている。
毎日毎日、誰かの中に精を吐き出し続けている。
止めることは、許されていない。
こんな時、無駄に騎士として体力が有り余っている自分が嫌になる。
ガブリエラの夫になって、もうどれぐらいの月日がたったのだろうか。
「もう、出ない…」と言ったあの日、彼女は笑顔でこれを差し出してきた。
「大丈夫よ、これを飲めばすぐに元気になるわ!もう一踏ん張りよ!私たちの子供のために頑張りましょうね!」
それからは、毎日薬を飲み続けなんとか精を吐き出している。
そして、自分の夫が自分より随分と若い別の女を抱いている姿を、惚けた顔で眺めている彼女の周りには、俺の子が19人もいる。あれから、子供ができた女達は彼女との約束通り、子を産めば解放されていった。
残すは、あと1人…今抱いているこの女さえ孕めば、俺はこの悪夢から解放されるはずだった。
そのはずだったのに…
「サイモン・ヒューデルワイズ、誘拐・監禁・暴行・強姦、及び奴隷商法の共犯で投獄します」
ある日、突然やって来た騎士団によってガブリエラとサイモンは投獄された。
ガブリエラは、歳も歳だったため獄中で間もなく亡くなった。
もちろん、騎士団による捜査の末、サイモン自身も被害者であるとわかったものの、実際19人ものサイモンの子供がいる事実により、監禁と強姦の罪を被ることとなった。
サイモンは、後に自身を縛り上げた元同僚達に向かって涙を流し、こう言ったという。
「助けてくれて、ありがとう…」 と。
end.
◇ ◇ ◇
サイモン編、お読みいただきありがとうございました。
今回、残虐な表現を取り入れてみたのですが…難しいですね。
クロードとアルバスのその後に関しても、準備しておりますので、宜しければまたご覧下さい。
ありがとうございました。
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