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番外編
~アーリアとリカルドその後Ⅲ~ 使用人side
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いよいよ、結婚式まで残り数日となった頃…
新郎となる予定のリカルドは、誰が見ても分かるほど有頂天だった。
朝から、一人ニヤニヤとしているかと思えば、ご機嫌で執務に取り組んでいる。
この様子に、フォード公爵家の使用人達は一同ほっとしていた。
ここまで、ご機嫌な理由は一つしか無いからだ。
間違いなく、アーリア様がらみだ!と。
そして、優秀な使用人達は感づいている。
"昨日はアーリア様に拒否されなかった" のだと。
そう、近頃のリカルドの落胆差は、それはそれは激しいのだ。
今日の様に、まるで恋でもしたかのようにふわふわしているかと思えば、次の日はこの世の終わりかのように沈み込んでいる。
そこで、使用人情報網を駆使して集めた結果…
・リカルド様から手を繋ごうとすれば拒まれた
・近づくのを許された
・腰に手を当てたら、平手打ちを返された
・アーリア様が膝枕をしてくれた
・アーリア様が、別の男性と親しく話しをしていた
・初めてアーリア様を抱きしめることができた
などなど…である。
そして、この数日は恐らく次のステップを狙っていたのだろう。
今まで以上の、喜び具合から考えてもそれは成功したのだ。
リカルド様、最大ミッション!
【アーリア様との口付け】
昨日の、お帰りの際、アーリア様はどことなく優しげな雰囲気だったし、リカルド様はポ~ッとアーリア様を見つめていらしたのだから…。
だからこそ、その後結婚式まで問題なく迎え、式も無事に終えたことに使用人一同大変喜ばしく思っていた。
そして、この様子であればお二人とも仲睦まじく初夜を迎えるものだと誰もが思っていたのだ。
初夜を迎えるお二人の為、新婚であるお二人の寝室があるお部屋の階からは、使用人を全員捌けさせるのがマナーである。恐らく、朝もあまり早いとご迷惑になる為、呼びに行くのはお昼前が妥当なのだ。
しかし、初夜を迎えた翌日。
夫婦の寝室の前には、扉の前に呆然と座り込むリカルド様がいた。
何があったのか分からない…
だから、何と声をかければいいのかも分からない…
恐る恐る声をかけると、リカルド様は小さな声で謝り続けていた。
「すまない…すまない…すまない、アーリア…」
何が、起きたのか全く分からなかったが、直感的にこれは知ってはならないと、感じた。
ともかく、極力何事もなかったかのように振る舞うべきだと感じ、リカルド様の前に「失礼致します」と一言断りをいれたのち、寝室であるはずの扉を叩いた。
「奥様、おはようございます。本日より、奥様付きのメイドになりました、ララでございます。入室許可をお願い致します。」
そう、ご挨拶すれば、中からは比較的明るい声のアーリア様より入室許可をいただけた。
そして、直ぐに湯浴みの準備をし、お背中を流そうとすれば、アーリア様の絹のような滑らかで白い身体にはリカルド様の独占欲の現れである赤い花が身体中に散りばめられていた。
しかし、どうにもアーリア様はその赤い花に対し嫌悪感をあらわにしていた。
既に子供を3人も育て上げたララから考えてみても、本来であれば幸せの絶頂のはずでは?と疑問が過ぎる。
となれば、リカルド様が執拗に責め立てたのか?と思い、無意識に溜息が漏れた。
初めてのアーリア様に、無茶なことをしたのだろう、と。
ララは、メイドとして自分の立場をわきまえている。
だからこそ、主人であるアーリア様に対し何でも質問することはない。
着替えを終えた後、アーリア様はこのままお部屋でお昼を取りたいと申されたので、その準備の為ララは部屋をでた。
扉をあけると、そこには先程とは違い、しっかりと身なりを整えたリカルド様が立っていた。
「アーリアはまだ中か?」
「はい、ですが奥様はお部屋で昼食をお取りになりたいと仰せです。余程、昨晩のお疲れが残っているのかと…」
張り切りすぎたのですね?と、いった意味を込めてララは言ったのだが、何故かリカルド様は顔を真っ青にしていた。
間違いなく、初夜で何かが起きたことは間違いないだろう。
それから、暫くの間アーリア様がリカルド様に対し口を聞かなかったことが、全てを物語っていた。
新郎となる予定のリカルドは、誰が見ても分かるほど有頂天だった。
朝から、一人ニヤニヤとしているかと思えば、ご機嫌で執務に取り組んでいる。
この様子に、フォード公爵家の使用人達は一同ほっとしていた。
ここまで、ご機嫌な理由は一つしか無いからだ。
間違いなく、アーリア様がらみだ!と。
そして、優秀な使用人達は感づいている。
"昨日はアーリア様に拒否されなかった" のだと。
そう、近頃のリカルドの落胆差は、それはそれは激しいのだ。
今日の様に、まるで恋でもしたかのようにふわふわしているかと思えば、次の日はこの世の終わりかのように沈み込んでいる。
そこで、使用人情報網を駆使して集めた結果…
・リカルド様から手を繋ごうとすれば拒まれた
・近づくのを許された
・腰に手を当てたら、平手打ちを返された
・アーリア様が膝枕をしてくれた
・アーリア様が、別の男性と親しく話しをしていた
・初めてアーリア様を抱きしめることができた
などなど…である。
そして、この数日は恐らく次のステップを狙っていたのだろう。
今まで以上の、喜び具合から考えてもそれは成功したのだ。
リカルド様、最大ミッション!
【アーリア様との口付け】
昨日の、お帰りの際、アーリア様はどことなく優しげな雰囲気だったし、リカルド様はポ~ッとアーリア様を見つめていらしたのだから…。
だからこそ、その後結婚式まで問題なく迎え、式も無事に終えたことに使用人一同大変喜ばしく思っていた。
そして、この様子であればお二人とも仲睦まじく初夜を迎えるものだと誰もが思っていたのだ。
初夜を迎えるお二人の為、新婚であるお二人の寝室があるお部屋の階からは、使用人を全員捌けさせるのがマナーである。恐らく、朝もあまり早いとご迷惑になる為、呼びに行くのはお昼前が妥当なのだ。
しかし、初夜を迎えた翌日。
夫婦の寝室の前には、扉の前に呆然と座り込むリカルド様がいた。
何があったのか分からない…
だから、何と声をかければいいのかも分からない…
恐る恐る声をかけると、リカルド様は小さな声で謝り続けていた。
「すまない…すまない…すまない、アーリア…」
何が、起きたのか全く分からなかったが、直感的にこれは知ってはならないと、感じた。
ともかく、極力何事もなかったかのように振る舞うべきだと感じ、リカルド様の前に「失礼致します」と一言断りをいれたのち、寝室であるはずの扉を叩いた。
「奥様、おはようございます。本日より、奥様付きのメイドになりました、ララでございます。入室許可をお願い致します。」
そう、ご挨拶すれば、中からは比較的明るい声のアーリア様より入室許可をいただけた。
そして、直ぐに湯浴みの準備をし、お背中を流そうとすれば、アーリア様の絹のような滑らかで白い身体にはリカルド様の独占欲の現れである赤い花が身体中に散りばめられていた。
しかし、どうにもアーリア様はその赤い花に対し嫌悪感をあらわにしていた。
既に子供を3人も育て上げたララから考えてみても、本来であれば幸せの絶頂のはずでは?と疑問が過ぎる。
となれば、リカルド様が執拗に責め立てたのか?と思い、無意識に溜息が漏れた。
初めてのアーリア様に、無茶なことをしたのだろう、と。
ララは、メイドとして自分の立場をわきまえている。
だからこそ、主人であるアーリア様に対し何でも質問することはない。
着替えを終えた後、アーリア様はこのままお部屋でお昼を取りたいと申されたので、その準備の為ララは部屋をでた。
扉をあけると、そこには先程とは違い、しっかりと身なりを整えたリカルド様が立っていた。
「アーリアはまだ中か?」
「はい、ですが奥様はお部屋で昼食をお取りになりたいと仰せです。余程、昨晩のお疲れが残っているのかと…」
張り切りすぎたのですね?と、いった意味を込めてララは言ったのだが、何故かリカルド様は顔を真っ青にしていた。
間違いなく、初夜で何かが起きたことは間違いないだろう。
それから、暫くの間アーリア様がリカルド様に対し口を聞かなかったことが、全てを物語っていた。
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