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本編
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クロード・ライガストは、父であるライガスト侯爵の前に座らされていた。
理由は、ただ一つ。
目の前に、山積みになった報告書の束が原因だった。
これは、クロードの素行調査…
では、なく。クロードの素行報告書だった。
しかも、この報告…1人の者から申告されただけではない。すべて、別々の人物によるものだった。
中には、高級娼館とされている店の娼婦からのクロードとの赤裸々な内容のものから、通りすがりの治安警備隊や農夫、子供からの報告まであった。
特に、驚いた事に、クロードが気に入っていた娼婦からの報告書には、当時の会話の内容が一字一句間違いなく書かれていた。
"彼は、私の身体を舐め回しながらこう言いました。
『俺の婚約者は、胸を見せろと言っても見せもしない、触らせてもくれない…
たかが伯爵家の分際で、この俺を喜ばせることもできないのなら…お前達の方が可愛がいがあるな。ほら…ここ、いい締め付け具合だ』
彼は、私の中に入ると夢中になっていました。そして、この日は明け方まで何度も何度も行為に耽った後、宝石のついたネックレスをくれました。赤いルビーのついたものです"
そして、その娼婦に何を贈ったのかも…
そういった類の報告書を、父の執事が淡々と読み上げていく。
その間、父であるライガスト侯爵は黙ったままクロードを凝視していた。
その隣には、同じく静かに内容を聞いている母、ライガスト侯爵夫人が座っている。
そして、約半分ほどの量を朗読し終えた頃には、母である侯爵夫人は明らかな軽蔑のこもった目でクロードを見ていた。
「本当に、救いようもない愚か者ですこと。我が家の有責であるのは、間違い無いわね…。
まさか、婚約者への贈り物として購入した物を娼婦にあげていただなんて…」
そう言って、侯爵夫人はクロードに対し持っていた扇子を振り上げた。
___バシッ!
バシッ、バシッ…
ただただ、無言で彼女は息子であるクロードを叩き続けたのだ。
もはや、これだけ多くの人々から報告が上がってくるとなると、クロードを庇うことは出来なかった。
まして、そこに書かれた内容をみると貴族としても次期侯爵としても最低な内容ばかりだったのだ。
相手が、娼婦だけならまだ良かったのかもしれない。
ナナエラがかけた暗示は、広範囲によって効果を発揮していたのだ。
報告書によれば、クロードが事に及ぶ相手は複数人いた。
ある時は、騎士団の宿舎を掃除するメイドに手を出し…
ある時は、騎士仲間の恋人だったり想い人だったり…
もはや、手当たり次第に手を出し、挙げ句の果てには、"来るもの拒まず"状態だったのだ。
もちろん、中にはこの侯爵家に勤めているメイドまでいた。
クロードは、騎士団の中でも、諜報活動に優れた二番隊に所属している。
彼らは、情報を引き出すためなら、拷問もすれば女を抱く事だってある。
そこは、クロードの両親である2人も十分理解していた。
だからこそ、ある程度は任務のため仕方がないと理解させられる伯爵家のナナエラと婚約者させたのだ。
しかし、もはやクロードのしていたことは任務と誤魔化せるレベルではなかった。
未だ、母親によって叩かれ続けるクロードに対し、父である侯爵が言う。
「お前の人生は騎士団に捧げよ」と。
謂わば…
ライガスト侯爵家にお前はいらない
そう、言われたも同然だった。
理由は、ただ一つ。
目の前に、山積みになった報告書の束が原因だった。
これは、クロードの素行調査…
では、なく。クロードの素行報告書だった。
しかも、この報告…1人の者から申告されただけではない。すべて、別々の人物によるものだった。
中には、高級娼館とされている店の娼婦からのクロードとの赤裸々な内容のものから、通りすがりの治安警備隊や農夫、子供からの報告まであった。
特に、驚いた事に、クロードが気に入っていた娼婦からの報告書には、当時の会話の内容が一字一句間違いなく書かれていた。
"彼は、私の身体を舐め回しながらこう言いました。
『俺の婚約者は、胸を見せろと言っても見せもしない、触らせてもくれない…
たかが伯爵家の分際で、この俺を喜ばせることもできないのなら…お前達の方が可愛がいがあるな。ほら…ここ、いい締め付け具合だ』
彼は、私の中に入ると夢中になっていました。そして、この日は明け方まで何度も何度も行為に耽った後、宝石のついたネックレスをくれました。赤いルビーのついたものです"
そして、その娼婦に何を贈ったのかも…
そういった類の報告書を、父の執事が淡々と読み上げていく。
その間、父であるライガスト侯爵は黙ったままクロードを凝視していた。
その隣には、同じく静かに内容を聞いている母、ライガスト侯爵夫人が座っている。
そして、約半分ほどの量を朗読し終えた頃には、母である侯爵夫人は明らかな軽蔑のこもった目でクロードを見ていた。
「本当に、救いようもない愚か者ですこと。我が家の有責であるのは、間違い無いわね…。
まさか、婚約者への贈り物として購入した物を娼婦にあげていただなんて…」
そう言って、侯爵夫人はクロードに対し持っていた扇子を振り上げた。
___バシッ!
バシッ、バシッ…
ただただ、無言で彼女は息子であるクロードを叩き続けたのだ。
もはや、これだけ多くの人々から報告が上がってくるとなると、クロードを庇うことは出来なかった。
まして、そこに書かれた内容をみると貴族としても次期侯爵としても最低な内容ばかりだったのだ。
相手が、娼婦だけならまだ良かったのかもしれない。
ナナエラがかけた暗示は、広範囲によって効果を発揮していたのだ。
報告書によれば、クロードが事に及ぶ相手は複数人いた。
ある時は、騎士団の宿舎を掃除するメイドに手を出し…
ある時は、騎士仲間の恋人だったり想い人だったり…
もはや、手当たり次第に手を出し、挙げ句の果てには、"来るもの拒まず"状態だったのだ。
もちろん、中にはこの侯爵家に勤めているメイドまでいた。
クロードは、騎士団の中でも、諜報活動に優れた二番隊に所属している。
彼らは、情報を引き出すためなら、拷問もすれば女を抱く事だってある。
そこは、クロードの両親である2人も十分理解していた。
だからこそ、ある程度は任務のため仕方がないと理解させられる伯爵家のナナエラと婚約者させたのだ。
しかし、もはやクロードのしていたことは任務と誤魔化せるレベルではなかった。
未だ、母親によって叩かれ続けるクロードに対し、父である侯爵が言う。
「お前の人生は騎士団に捧げよ」と。
謂わば…
ライガスト侯爵家にお前はいらない
そう、言われたも同然だった。
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