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本編
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___それは、本当に偶然だった。
普段通り、仲の良い4人で街の有名パティスリーへ行った際、あまりの人気で直ぐ席に付けなかった4人はお店の周辺をフラフラと見て回っていた。
彼女達は、有名な王立特別魔法学園に通っており、その制服を着ているだけで魔力量の大きい貴族だという事はすぐに分かる。
しかも、この学園に入るにはかなり厳しい試験をパスしないと入れない実力重視の学園なのだ。
だから、いくら貴族の令嬢だと分かっても普通の人は絶対に手を出さない。
返り討ちに合うと分かっているからだ。
そんな4人は、色々なお店や露店を見てまわるうちに、裏道まで出てしまっていた。
"裏道"と呼ばれる通りは、あまり治安が良くない。
怪しい薬を売っている店があるものの、犯罪者が屯するような場所ではない。
どちらかと言うと、快楽を求める人が集まる場所だった。
要するに、娼館が建ち並ぶ花街なのである。
「嫌だわ、ここまで来てしまうなんて」
「でも、この辺にあるはずなのよ~教えてもらったお店…」
「ん?もしかして、あれじゃないかしら?」
「!そうそう、あれだわ!折角だしみていきましょう♪」
そう、声を弾ませて入った事が運の尽きだった。
彼女達は、有名パティスリーを辞めて、以前学友から教えてもらったお店に変えたのだった。
4人は、テラス席に案内されそれぞれ希望のものを注文した。
そして、仲良くお喋りをして待っている間に見てしまうのだ。
己の婚約者の娼館通いを…
【アーリア・レイノルズの場合】
初めは、見間違いかと思った。
しかし、何度見ても娼館前で娼婦と口付けている人物は、レイノルズ公爵家アーリア・レイノルズである自分の婚約者に見えた。
フォード公爵家嫡男
リカルド・フォード。
見め美しい金髪・碧眼を併せ持ち、入団から僅か2年で精鋭揃いの、騎士団一番隊小隊長を務め、次期団長候補と期待されている持ち主である。
そんな彼の腕に、豊満な胸を押し付けるようにしてしな垂れている女性は、彼の事をこう呼ぶ。
『今日も沢山可愛がってくださいまし…リカルド様❤︎』と…
自分には、職務が忙しいと言って手紙の一つもよこさない奴が、真っ昼間から娼婦を…可愛がるですって!?
この瞬間、アーリアは怒りのあまり王立特別魔法学園首席の実力を存分に発揮した。
直ぐ様、追跡魔法を展開、リカルド自身にかけると感づかれてしまう可能性がある為、相手の娼婦へと盗聴と透視・録画の魔法をかけた。
アーリアは簡単に展開させたが、1人の人間に対し魔法を重ね掛けする事は、実は超高等技術とされ上級魔道士ぐらいしかできない技だ。
それを彼女は、怒りのあまりに展開しまくったのだ。
その甲斐あって、イチャイチャ時の会話も、その時に言った"離縁宣言"もしっかりと保存済みである。
【ミシュカ・ランブルの場合】
ふと、隣を見ると親友のアーリアが驚いた顔で一点を見つめていた。
その先に見えるのは、アーリアの婚約者リカルド様だった。
でも、それよりも驚いたのはリカルドの隣で娼婦の胸を鷲掴んでいる自分の婚約者だ。
モンテネグロ侯爵家嫡男
サイモン・モンテネグロ。
彼は、ミシュカの幼馴染でもある。
黒髪にエメラルドの瞳を持つ彼は、知的で頭の回転がとにかく早い。リカルドと同じ騎士団一番隊に所属し小隊の副官として勤めている。次期参謀として、期待されている人物だ。
しかし、そんな彼も女の胸には弱いのだろう。幾ら、花街である裏道の娼館前だからと言って、真っ昼間から娼婦の胸に顔を埋めるなんて…
どこが、知的なのか!?と、疑いたくなる。
幼馴染であるが故に、昔から『婚約者とは、もう少し知性を深めた話をしたいのだが…』と馬鹿にされ続けていたミシュカにとって、目の前の光景は、滑稽でしか無かった。
今まで、散々馬鹿にしてくれたお礼をしっかりと返しましょう!
王立特別魔法学園次席の実力を惜しみなく発揮した。
直ぐ様、録画の魔法を展開。
その後、娼館全体を包み込むように広範囲魔法を展開し条件発動を設定した。
その内容が…
"娼婦の胸を揉めば揉むほど萎える"
と、いったものだった。
ミシュカの怒りはサイモンだけでなく、この娼館へも向いていたのだ。
娼婦なのだから、胸の一つや二つ揉ませてなんぼの世界である。しかし、揉まれるごとに萎えていくなら…
きっともう、仕事にはならないだろう。
普段通り、仲の良い4人で街の有名パティスリーへ行った際、あまりの人気で直ぐ席に付けなかった4人はお店の周辺をフラフラと見て回っていた。
彼女達は、有名な王立特別魔法学園に通っており、その制服を着ているだけで魔力量の大きい貴族だという事はすぐに分かる。
しかも、この学園に入るにはかなり厳しい試験をパスしないと入れない実力重視の学園なのだ。
だから、いくら貴族の令嬢だと分かっても普通の人は絶対に手を出さない。
返り討ちに合うと分かっているからだ。
そんな4人は、色々なお店や露店を見てまわるうちに、裏道まで出てしまっていた。
"裏道"と呼ばれる通りは、あまり治安が良くない。
怪しい薬を売っている店があるものの、犯罪者が屯するような場所ではない。
どちらかと言うと、快楽を求める人が集まる場所だった。
要するに、娼館が建ち並ぶ花街なのである。
「嫌だわ、ここまで来てしまうなんて」
「でも、この辺にあるはずなのよ~教えてもらったお店…」
「ん?もしかして、あれじゃないかしら?」
「!そうそう、あれだわ!折角だしみていきましょう♪」
そう、声を弾ませて入った事が運の尽きだった。
彼女達は、有名パティスリーを辞めて、以前学友から教えてもらったお店に変えたのだった。
4人は、テラス席に案内されそれぞれ希望のものを注文した。
そして、仲良くお喋りをして待っている間に見てしまうのだ。
己の婚約者の娼館通いを…
【アーリア・レイノルズの場合】
初めは、見間違いかと思った。
しかし、何度見ても娼館前で娼婦と口付けている人物は、レイノルズ公爵家アーリア・レイノルズである自分の婚約者に見えた。
フォード公爵家嫡男
リカルド・フォード。
見め美しい金髪・碧眼を併せ持ち、入団から僅か2年で精鋭揃いの、騎士団一番隊小隊長を務め、次期団長候補と期待されている持ち主である。
そんな彼の腕に、豊満な胸を押し付けるようにしてしな垂れている女性は、彼の事をこう呼ぶ。
『今日も沢山可愛がってくださいまし…リカルド様❤︎』と…
自分には、職務が忙しいと言って手紙の一つもよこさない奴が、真っ昼間から娼婦を…可愛がるですって!?
この瞬間、アーリアは怒りのあまり王立特別魔法学園首席の実力を存分に発揮した。
直ぐ様、追跡魔法を展開、リカルド自身にかけると感づかれてしまう可能性がある為、相手の娼婦へと盗聴と透視・録画の魔法をかけた。
アーリアは簡単に展開させたが、1人の人間に対し魔法を重ね掛けする事は、実は超高等技術とされ上級魔道士ぐらいしかできない技だ。
それを彼女は、怒りのあまりに展開しまくったのだ。
その甲斐あって、イチャイチャ時の会話も、その時に言った"離縁宣言"もしっかりと保存済みである。
【ミシュカ・ランブルの場合】
ふと、隣を見ると親友のアーリアが驚いた顔で一点を見つめていた。
その先に見えるのは、アーリアの婚約者リカルド様だった。
でも、それよりも驚いたのはリカルドの隣で娼婦の胸を鷲掴んでいる自分の婚約者だ。
モンテネグロ侯爵家嫡男
サイモン・モンテネグロ。
彼は、ミシュカの幼馴染でもある。
黒髪にエメラルドの瞳を持つ彼は、知的で頭の回転がとにかく早い。リカルドと同じ騎士団一番隊に所属し小隊の副官として勤めている。次期参謀として、期待されている人物だ。
しかし、そんな彼も女の胸には弱いのだろう。幾ら、花街である裏道の娼館前だからと言って、真っ昼間から娼婦の胸に顔を埋めるなんて…
どこが、知的なのか!?と、疑いたくなる。
幼馴染であるが故に、昔から『婚約者とは、もう少し知性を深めた話をしたいのだが…』と馬鹿にされ続けていたミシュカにとって、目の前の光景は、滑稽でしか無かった。
今まで、散々馬鹿にしてくれたお礼をしっかりと返しましょう!
王立特別魔法学園次席の実力を惜しみなく発揮した。
直ぐ様、録画の魔法を展開。
その後、娼館全体を包み込むように広範囲魔法を展開し条件発動を設定した。
その内容が…
"娼婦の胸を揉めば揉むほど萎える"
と、いったものだった。
ミシュカの怒りはサイモンだけでなく、この娼館へも向いていたのだ。
娼婦なのだから、胸の一つや二つ揉ませてなんぼの世界である。しかし、揉まれるごとに萎えていくなら…
きっともう、仕事にはならないだろう。
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