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本編
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Sランクパーティ
【フォルトゥナの剣】
全員がSランクの実力者であり、尚且つ前衛後衛を決める必要が無いほど、それぞれが攻撃力も守備力もバランスよく兼ね備えており、まさかの全員が治癒魔法の使い手でもある、次世代のスーパーパーティなのだ。
彼女達が会場入りした後、控えの間で中での様子を聞いていた、同じSランクパーティの【疾風の龍】は、彼女達の実力は本物だ!と全員の前で宣言した。
ベテランパーティが言うならば、もはや誰も意義を唱えることなどできない。
実際、騎士団の面々は【フォルトゥナの剣】の実力を知らないのだから。
各パーティの紹介と、現状のダンジョンの様子などの話が終わったところで、お互いの情報共有が始まった。
まずは、騎士団の諜報活動に秀でている二番隊よりダンジョンの様子や魔物の数・ランクの報告があがった。
次に、最近立ち寄ったという【雷鳴の死神】より階層が通常のダンジョンより深いと想定される、と報告がされる。
その他からは、これと言った報告はされなかった。
これらの情報から、まず先行でAランクパーティの2組が、一度戻り次第後攻で【雷鳴の死神】と【疾風の龍】が向かうことになった。
そして、状況をある程度把握した上で騎士団を含めた総攻撃を仕掛ける予定となった。
・・・で、ここで問題が上がったのが【フォルトゥナの剣】である。
この、パーティに在籍してる4名はまだ学生であり、この討伐のタイミングと学園の総合テストのタイミングが綺麗に重なるのだ。
普段のテストならまだしも、総合テストだけは成績に直結する為、4人とも招集にはきたもののはっきりと断りを申し出たのだ。
その内容が、前代未聞の…
「総合テストがあるので参加できません」
である。
これには、騎士団長ですら答えかねてしまい、一旦保留となっている。
普通の貴族が通う学園であれば、問題なく休みにし討伐に参加できるのだが、王立特別魔法学園となれば話は変わってくる。
ここの総合テストは、成績と将来直結形でありテストは全て王族の前で執り行われる。
魔法採点に関しては、王宮魔道士の他に国内外の魔道士が集まり、優れた魔法は陛下の前にて披露される程、テストの規模が大きいのだ。
その為、総合テストは王命で受講が絶対となっている。
はっきり言って、一騎士団長が決めることなど到底無理な話なのだ。
とりあえず、現在【フォルトゥナの剣】は参加保留となっており、4人揃って作戦会議中の会場の端でお茶を飲んでいる。
そうなると、当然のように反感を持つ者が現れるわけでして…
「アーリア、どういうつもりだ」
会場の隅で仲良くお茶を嗜む、4人の令嬢の内の1人に声をかけたのは、騎士団一番隊所属リカルド・フォード公爵令息だ。
スラリとした長身に、金髪・碧眼をもつ甘いマスクの彼は実力重視の一番隊の中でもメキメキと力を付けている有力株の1人だ。
そんな彼が、声をかけた相手こそ、
【フォルトゥナの剣】のメンバーであり、このパーティのリーダー:"リア"こと…
アーリア・レイノルズ公爵令嬢
紛れもない、リカルド・フォードの婚約者だった。
アーリアは、リカルドの問いかけに対し一言も答えようとはしなかった。
それもそのはず、現在アーリアは公爵令嬢ではなく"冒険者リア"として参加しているのだから。
しかし、リカルドにとってはそれが自分を蔑ろにした様に感じたのだろう。
彼は、あろうことかアーリアを罵倒し始めた。それも、まるで自分を追いかけてきたかの様に…
「アーリア、いくら婚約者だからと言って今君がしている事は理解に苦しむ。
今は、大事な会議の真っ最中だ!ここは、優雅にお茶を楽しむ場所ではない!
由緒正しきレイノルズ家のすることではないっ!」
このリカルドの発言に対し、真っ先に反応したのはアーリアではなく、他の3人だった。
一瞬の内に、魔力を纏うとそれに応える様に殺気が放たれた。
放たれた殺気と魔力の多さに、咄嗟に剣を抜く者達。
手をかざし、詠唱を唱えようとする者まで現れた。
そんな者達に、抗議するかの様な声が響く。
「…貴方が、それを言いますか」
凛とした声には、紛れもない軽蔑の色が伺えた。
【フォルトゥナの剣】
全員がSランクの実力者であり、尚且つ前衛後衛を決める必要が無いほど、それぞれが攻撃力も守備力もバランスよく兼ね備えており、まさかの全員が治癒魔法の使い手でもある、次世代のスーパーパーティなのだ。
彼女達が会場入りした後、控えの間で中での様子を聞いていた、同じSランクパーティの【疾風の龍】は、彼女達の実力は本物だ!と全員の前で宣言した。
ベテランパーティが言うならば、もはや誰も意義を唱えることなどできない。
実際、騎士団の面々は【フォルトゥナの剣】の実力を知らないのだから。
各パーティの紹介と、現状のダンジョンの様子などの話が終わったところで、お互いの情報共有が始まった。
まずは、騎士団の諜報活動に秀でている二番隊よりダンジョンの様子や魔物の数・ランクの報告があがった。
次に、最近立ち寄ったという【雷鳴の死神】より階層が通常のダンジョンより深いと想定される、と報告がされる。
その他からは、これと言った報告はされなかった。
これらの情報から、まず先行でAランクパーティの2組が、一度戻り次第後攻で【雷鳴の死神】と【疾風の龍】が向かうことになった。
そして、状況をある程度把握した上で騎士団を含めた総攻撃を仕掛ける予定となった。
・・・で、ここで問題が上がったのが【フォルトゥナの剣】である。
この、パーティに在籍してる4名はまだ学生であり、この討伐のタイミングと学園の総合テストのタイミングが綺麗に重なるのだ。
普段のテストならまだしも、総合テストだけは成績に直結する為、4人とも招集にはきたもののはっきりと断りを申し出たのだ。
その内容が、前代未聞の…
「総合テストがあるので参加できません」
である。
これには、騎士団長ですら答えかねてしまい、一旦保留となっている。
普通の貴族が通う学園であれば、問題なく休みにし討伐に参加できるのだが、王立特別魔法学園となれば話は変わってくる。
ここの総合テストは、成績と将来直結形でありテストは全て王族の前で執り行われる。
魔法採点に関しては、王宮魔道士の他に国内外の魔道士が集まり、優れた魔法は陛下の前にて披露される程、テストの規模が大きいのだ。
その為、総合テストは王命で受講が絶対となっている。
はっきり言って、一騎士団長が決めることなど到底無理な話なのだ。
とりあえず、現在【フォルトゥナの剣】は参加保留となっており、4人揃って作戦会議中の会場の端でお茶を飲んでいる。
そうなると、当然のように反感を持つ者が現れるわけでして…
「アーリア、どういうつもりだ」
会場の隅で仲良くお茶を嗜む、4人の令嬢の内の1人に声をかけたのは、騎士団一番隊所属リカルド・フォード公爵令息だ。
スラリとした長身に、金髪・碧眼をもつ甘いマスクの彼は実力重視の一番隊の中でもメキメキと力を付けている有力株の1人だ。
そんな彼が、声をかけた相手こそ、
【フォルトゥナの剣】のメンバーであり、このパーティのリーダー:"リア"こと…
アーリア・レイノルズ公爵令嬢
紛れもない、リカルド・フォードの婚約者だった。
アーリアは、リカルドの問いかけに対し一言も答えようとはしなかった。
それもそのはず、現在アーリアは公爵令嬢ではなく"冒険者リア"として参加しているのだから。
しかし、リカルドにとってはそれが自分を蔑ろにした様に感じたのだろう。
彼は、あろうことかアーリアを罵倒し始めた。それも、まるで自分を追いかけてきたかの様に…
「アーリア、いくら婚約者だからと言って今君がしている事は理解に苦しむ。
今は、大事な会議の真っ最中だ!ここは、優雅にお茶を楽しむ場所ではない!
由緒正しきレイノルズ家のすることではないっ!」
このリカルドの発言に対し、真っ先に反応したのはアーリアではなく、他の3人だった。
一瞬の内に、魔力を纏うとそれに応える様に殺気が放たれた。
放たれた殺気と魔力の多さに、咄嗟に剣を抜く者達。
手をかざし、詠唱を唱えようとする者まで現れた。
そんな者達に、抗議するかの様な声が響く。
「…貴方が、それを言いますか」
凛とした声には、紛れもない軽蔑の色が伺えた。
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