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62.第二王子の婚約披露パーティー

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「トラネスタ公爵家
リカルド・フォス・トラネスタ様
エリザベス・ディア・トラネスタ様

御子息アレクシス・レイ・トラネスタ様
御息女アリスティア・リーン・トラネスタ様
ご到着です!」


トラネスタ公爵家として、紹介されてから会場入りした途端、会場中の視線が一気に集まってきた。

アリスティアはその光景に、嫌な懐かしさを覚える。

(しばらくトロワに居たから忘れていたわ…
城での夜会に参加するのは、婚約破棄後に参加した以来になってしまうのね)

ふと、そう思っていると隣に立つ兄と目が合った。
そして、兄も同じようなことを考えていたのか、少し苦笑いしてアリスティアの耳元で囁いた。

「どいつもこいつも懲りないよなぁ~」と。

悪戯っぽくウィンクした兄を見て、アリスティアは吹き出してしまった。
そして、二人仲良く笑い会う姿に周囲からは「ほぅ~っ!」と、言った溜息が漏れ出していく。

そして、アリスティア達が来場した知らせを受けてビビアンとシンシアが駆けつけてきた。

「アリスティア!」

二人とも、学園での制服姿とは違い、とても美しく着飾っていた。
ドレスがキラキラと光り輝いているなか、二人の表情だけはその華やかさに相応しくない表情をしていた。
アリスティアとレオンハルトの関係を知っていて心配してくれているのだろう。
そんな二人を安心させるように、アリスティアは微笑むと側にいた兄に目くばせした。
そして、ビビアンとシンシアと共にテラスへと向かった。

「二人ともごめんなさい、心配かけて…」

「…その、アリスティアは大丈夫なの?」

「…えぇ。だいじょう…ぶ。
いえ…、やっぱり少し辛いかもしれないわ」

そう言って、目を伏せるアリスティアに二人は何と声をかければいいのかわからなかった。
長年想っていた相手が婚約するだけでも辛いのに、その相手が同じ学園の自分の友人だなんて、寝耳に水もいいところだろう。

かける言葉が見つからないまま、しばらく三人で庭を眺めていた。

すると突然、ガサっと音がして庭の隅から人目を避けるように男女が手を繋いで出てくる。
そして、周りを確認すると深い深い口付けを交わした。離れがたいのか、お互い抱き合ったまま離れようとしない。
男性の手が、美しいドレスを纏う女性の身体のラインを確かめるかの様に撫で上げると、その手は当然の様に女性の胸元へと沈んでいった。
確かに、その場所は死角だが目と鼻の先ではパーティーが行われているとゆうのに、少し大胆すぎではないだろうか。
そして、思う存分抱き合い口付けを交わし合った男女は、何かを約束しながら別々に会場へと戻って行った。


そして、その光景を見た三人は驚愕した。


「…ねぇ、今のってシェリナス…よね?」


「「・・・・・」」


「…今日って、あの子と殿下の婚約披露パーティーなのよ…ね?」


ビビアンの問いかけに、アリスティアとシンシアは静かに頷いた。



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