18 / 58
火の国【アレース】
18
しおりを挟む
部屋を出ると、宮廷医師のゲイゼルと何人かのシエル付のメイドが揃っていた。
シエルの容態を確認しつつ、カイルは足を進める。
「容態は?」
「はい。シエル様は、驚く程に回復をしておられます。体内に循環しておりました毒素は、全て消滅しており毒反応は一切ございません。ただ、何も口にしておられなかった期間が長いため、体力に関してはほとんど回復しておりません。
ですので、もう暫く安静にしていただいた後、徐々に散歩などで身体を慣らす必要があるでしょう。
それにしても…あの土の者は、誠に見事でございました!!
城勤めであれば、事前に調べていたにもかかわらず、まさかこんな近くにいたとは…」
「…ゲイゼル、其方どう思う?」
「確信は持てませぬが、恐らく土の高位貴族ではないかと…」
「やはり、其方もそう思うか…」
「はい。以前に、土の国に伺った際に何度か平民の治癒した場面は見たことはございますが…ただの平民で、あれだけの治癒力を持っている者はいませんでした。それに、下級貴族でさえも時間が経過した怪我や病気に関しては痛みを和らげることは出来るそうですが、完治させてしまうのは不可能だと聞いたことがございます。
そして、高位貴族…尚且つ、王族に近しくなればなるほど治癒力が高いとも…」
「やはり、彼女は高位貴族か…。
クロノスの高位貴族を平民として働かせていたなんて…」
「いやいや、それは仕方がありませんよ。彼らは、あの事があってから、真っ先に身分を隠しましたからね。今となっては、探し出すほうが難しいでしょうな」
「あぁ…彼女には借りができたな」
ココが、シエルの元に案内されたときには、シエルの容態はかなり危険な状態だった。
そして、"治癒力持ちが来る"と知らされていたシエル付メイドを始めとする使用人達は、やって来た相手に驚きを隠せなかった。
だって、そうだろう。
案内されてやって来た相手は、今まで一緒に働いてきたメイドだったのだから…
しかし、ココはそんなことを気にも止めずに、驚いて放心状態のメイド達に一斉に指示を出し始めた。
「時間がありません!直ぐに治癒を開始します」
シエルの寝間着を脱がせて下着姿にすること。
今、用意出来る分のハーブを集めること。
宮廷医師に、どの薬をどのタイミングで何時飲ませたのか確認すること‥等々。
指示に従い、忙しなく動いているメイド達をよそに、シエルの状態が整ったことを確認すると直ぐさま側に駆け寄り声を掛けた。
「シエル様、直ぐ楽にいたしますので、もう少し頑張りましょうね!」
そして、シエルの胸に手を乗せココは祈った。
"我が親愛なる者に癒やしを"
シエルの容態を確認しつつ、カイルは足を進める。
「容態は?」
「はい。シエル様は、驚く程に回復をしておられます。体内に循環しておりました毒素は、全て消滅しており毒反応は一切ございません。ただ、何も口にしておられなかった期間が長いため、体力に関してはほとんど回復しておりません。
ですので、もう暫く安静にしていただいた後、徐々に散歩などで身体を慣らす必要があるでしょう。
それにしても…あの土の者は、誠に見事でございました!!
城勤めであれば、事前に調べていたにもかかわらず、まさかこんな近くにいたとは…」
「…ゲイゼル、其方どう思う?」
「確信は持てませぬが、恐らく土の高位貴族ではないかと…」
「やはり、其方もそう思うか…」
「はい。以前に、土の国に伺った際に何度か平民の治癒した場面は見たことはございますが…ただの平民で、あれだけの治癒力を持っている者はいませんでした。それに、下級貴族でさえも時間が経過した怪我や病気に関しては痛みを和らげることは出来るそうですが、完治させてしまうのは不可能だと聞いたことがございます。
そして、高位貴族…尚且つ、王族に近しくなればなるほど治癒力が高いとも…」
「やはり、彼女は高位貴族か…。
クロノスの高位貴族を平民として働かせていたなんて…」
「いやいや、それは仕方がありませんよ。彼らは、あの事があってから、真っ先に身分を隠しましたからね。今となっては、探し出すほうが難しいでしょうな」
「あぁ…彼女には借りができたな」
ココが、シエルの元に案内されたときには、シエルの容態はかなり危険な状態だった。
そして、"治癒力持ちが来る"と知らされていたシエル付メイドを始めとする使用人達は、やって来た相手に驚きを隠せなかった。
だって、そうだろう。
案内されてやって来た相手は、今まで一緒に働いてきたメイドだったのだから…
しかし、ココはそんなことを気にも止めずに、驚いて放心状態のメイド達に一斉に指示を出し始めた。
「時間がありません!直ぐに治癒を開始します」
シエルの寝間着を脱がせて下着姿にすること。
今、用意出来る分のハーブを集めること。
宮廷医師に、どの薬をどのタイミングで何時飲ませたのか確認すること‥等々。
指示に従い、忙しなく動いているメイド達をよそに、シエルの状態が整ったことを確認すると直ぐさま側に駆け寄り声を掛けた。
「シエル様、直ぐ楽にいたしますので、もう少し頑張りましょうね!」
そして、シエルの胸に手を乗せココは祈った。
"我が親愛なる者に癒やしを"
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
108
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる