5 / 58
プロローグ ~昔話~
5
しおりを挟む
土の国:クロノス
クロノスの王太子は、王族特有の茶色の髪に金色の目をした美男子だった。
長身のすらりとした体格からは考えられないほどの剣の腕前をもっていた。
また剣だけでなく、知性も豊かで博学だと有名だった。
そして、クロノスの姫こと王女も、茶色の髪に金色の目の大変美しい姫だったが、人見知りが激しく必要最低限しか人前に姿を現わさない幻姫とも呼ばれていた。
しかし、兄の親友で友好国である月の国の王太子には大変懐いており、月の王太子を『セリニ兄様』と呼び、よく2人の後ろをついて回っていた。
決して、懐いた人にしか姿を見せないことから、いつからか幻姫と呼ばれるようになるのだが、本人は全く気にしておらず寧ろ「会わずに済む」と言って喜んでいた。
そして、姫が年頃になると周りの国々からの婚約の打診が一気に増え始める。
主に、土の王が采配を握っているものの、珍しく兄である王太子から、友人の一人であるアレースの王太子を薦められた。
「では、今度のセリーナの誕生会へ招待するから、その時に紹介しよう!」
どこか嬉しそうに、笑顔でそう話す兄の姿を見たのが最後だった。
______3年前
幻姫が15才の時に、突然ブロンデー(雷の国)とアウラ(風の国)からの襲撃にあい、祖国である土の国はたった一夜で滅亡した。
父である王と兄である王太子は戦いの中で亡くなり、母である王妃は娘である姫を逃したのち娘の死を偽造して自ら命を絶った。
兄の妻も夫を亡くしたショックで後を追うように自害した。
事の発端は、幻姫の婚姻が原因だった。
アウラの王族より、幻姫との婚約の打診があったのだが、王である父が断わった為の逆恨みだった。
政権争いをしていた風の国では、"力の強い者を王へ"という習慣があり、代々土の国の王族を娶った者は迷うことなく王へと選ばれたいた。
その為、アウラの第4王子は「姫を娶れないなら土の国を滅ぼした俺が王に相応しいはずだ!」とし、昔から憎み合っていたブロンデーを焚き付け土の国に攻入ったのだった。
そして当時、襲撃を受けた土の国を助ける為にすぐ様動いてくれた国が、友好国の月の国セリニと火の国アレースだった。
水の国エルミスだけは、どちらにも加担せずに中立を保った。
王妃は、亡くなる直前に手を貸してくれた両国へ感謝の意を込めて願いを捧げた。
"平和"と願ったその願いは、3年たった今でもセリニとアレースを自然災害などから守り続けていた。
それ程までに、大地を支える役割を持つ土の国の力は大きく強大だった。
___まぁ、それも全ては過去の話である。
あれからすでに3年が経過した。
私、土の国:クロノスの最後の姫‥
通称:幻姫こと、セリーナ・ココ・クロノスは18才になった。
無事に成人を迎え、戦火の中、民とともにアレースの国に助け出されてからは、ここ火の国アレースでメイドをしている。
名を、"ココ"と変えて…
平民としているので、苗字はない。
初めの頃は、毎日悲しみに暮れていた。
でも、私はクロノスの最後の姫として、生き抜くと…母と約束した。
逃げる際に、母は言った。
「セリーナ、貴女は歴代最高の治癒力の持ち主よ。だから、絶対にその血を途絶えさせてはダメ!どんな形でもいい、生き続けなさい!」
父も兄も母も死んでしまった事は、土が教えてくれた。
そして、3人とも私に願いを込めてくれた。
『幸せになれ』と…
家族との最後の約束ぐらい、しっかり守らないと…ね。
許す事はできない。
でも、だからと言って復讐するつもりはない。
私の役目はただ一つ。
【幸せに生き続ける事】
それだけだ。
クロノスの王太子は、王族特有の茶色の髪に金色の目をした美男子だった。
長身のすらりとした体格からは考えられないほどの剣の腕前をもっていた。
また剣だけでなく、知性も豊かで博学だと有名だった。
そして、クロノスの姫こと王女も、茶色の髪に金色の目の大変美しい姫だったが、人見知りが激しく必要最低限しか人前に姿を現わさない幻姫とも呼ばれていた。
しかし、兄の親友で友好国である月の国の王太子には大変懐いており、月の王太子を『セリニ兄様』と呼び、よく2人の後ろをついて回っていた。
決して、懐いた人にしか姿を見せないことから、いつからか幻姫と呼ばれるようになるのだが、本人は全く気にしておらず寧ろ「会わずに済む」と言って喜んでいた。
そして、姫が年頃になると周りの国々からの婚約の打診が一気に増え始める。
主に、土の王が采配を握っているものの、珍しく兄である王太子から、友人の一人であるアレースの王太子を薦められた。
「では、今度のセリーナの誕生会へ招待するから、その時に紹介しよう!」
どこか嬉しそうに、笑顔でそう話す兄の姿を見たのが最後だった。
______3年前
幻姫が15才の時に、突然ブロンデー(雷の国)とアウラ(風の国)からの襲撃にあい、祖国である土の国はたった一夜で滅亡した。
父である王と兄である王太子は戦いの中で亡くなり、母である王妃は娘である姫を逃したのち娘の死を偽造して自ら命を絶った。
兄の妻も夫を亡くしたショックで後を追うように自害した。
事の発端は、幻姫の婚姻が原因だった。
アウラの王族より、幻姫との婚約の打診があったのだが、王である父が断わった為の逆恨みだった。
政権争いをしていた風の国では、"力の強い者を王へ"という習慣があり、代々土の国の王族を娶った者は迷うことなく王へと選ばれたいた。
その為、アウラの第4王子は「姫を娶れないなら土の国を滅ぼした俺が王に相応しいはずだ!」とし、昔から憎み合っていたブロンデーを焚き付け土の国に攻入ったのだった。
そして当時、襲撃を受けた土の国を助ける為にすぐ様動いてくれた国が、友好国の月の国セリニと火の国アレースだった。
水の国エルミスだけは、どちらにも加担せずに中立を保った。
王妃は、亡くなる直前に手を貸してくれた両国へ感謝の意を込めて願いを捧げた。
"平和"と願ったその願いは、3年たった今でもセリニとアレースを自然災害などから守り続けていた。
それ程までに、大地を支える役割を持つ土の国の力は大きく強大だった。
___まぁ、それも全ては過去の話である。
あれからすでに3年が経過した。
私、土の国:クロノスの最後の姫‥
通称:幻姫こと、セリーナ・ココ・クロノスは18才になった。
無事に成人を迎え、戦火の中、民とともにアレースの国に助け出されてからは、ここ火の国アレースでメイドをしている。
名を、"ココ"と変えて…
平民としているので、苗字はない。
初めの頃は、毎日悲しみに暮れていた。
でも、私はクロノスの最後の姫として、生き抜くと…母と約束した。
逃げる際に、母は言った。
「セリーナ、貴女は歴代最高の治癒力の持ち主よ。だから、絶対にその血を途絶えさせてはダメ!どんな形でもいい、生き続けなさい!」
父も兄も母も死んでしまった事は、土が教えてくれた。
そして、3人とも私に願いを込めてくれた。
『幸せになれ』と…
家族との最後の約束ぐらい、しっかり守らないと…ね。
許す事はできない。
でも、だからと言って復讐するつもりはない。
私の役目はただ一つ。
【幸せに生き続ける事】
それだけだ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
108
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる