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プロローグ ~昔話~
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雷の国ブロンデーには、当時とても強い王太子がいた。
たった一人で、何百ともいえる魔獣の群れを捩じ伏せるなど、その力は折り紙付きだった。
しかし、雷の王はそんな破天荒な息子を心配し、治癒力の強い土の国の王女を王太子の嫁にする。
それが、そもそもの間違いだったのだ。
当時、雷の王太子にはすでに婚約者がいた。
2人は心から愛し合っており、結婚を今か今かと楽しみにしていた。
そんな中、突然土の国の王女との婚姻が結ばれる。
王太子は何度も王にかけ寄り、自分は元婚約者と結婚したい!と訴えかけた。
しかし、雷の王は首を縦には降らなかった。
想いあっていた2人は引き離され、王太子が結婚する前に元婚約者は別の相手へと嫁がされた。
その苦しみを吐き出すかのように、王太子は嫁いできた土の王女に対し鬱憤をはらし続けた。
王太子である以上、子を成さねばならない。
「仕方がない、これは義務だ」
そう言って、ただただ乱暴に土の王女を抱いていた。それは、王女が妊娠するまで続く…
暫くして、漸く妊娠がわかったものの、王太子からの王女への仕打ちは止まることはなかった。
当然、子は流れてしまい悲しみに暮れた土の王女は雷の王に対し、「国に帰りたい」と願い出た。
しかし、王は王太子の非道は止めさせるからもう暫く耐えてほしいと王女を説得し雷の国に止まらせた。
そして、王の「止めさせるから」と言った行いは、巡り巡って王女の元に返ってきた。
王から話を聞いた王太子は、更に怒り土の王女の治癒力を持ってしてでも追いつかない程、王女を散々痛めつけた。
王太子の怒りが収まった頃には、土の王女の命は途絶えようとしていた。
そして、彼女は最後に土の国に向かい願いを込めた。
悔しさ、絶望、痛み、苦しみ…
その全てをのせて。
"この身に起こった全てを我が愛する者たちへ"
___願わくば、もう一度だけ皆んなに会いたかったわ
そう言って、雷の国の柔らかな土を精一杯握りしめた後、王女は永遠の眠りについた。
たった一人で、何百ともいえる魔獣の群れを捩じ伏せるなど、その力は折り紙付きだった。
しかし、雷の王はそんな破天荒な息子を心配し、治癒力の強い土の国の王女を王太子の嫁にする。
それが、そもそもの間違いだったのだ。
当時、雷の王太子にはすでに婚約者がいた。
2人は心から愛し合っており、結婚を今か今かと楽しみにしていた。
そんな中、突然土の国の王女との婚姻が結ばれる。
王太子は何度も王にかけ寄り、自分は元婚約者と結婚したい!と訴えかけた。
しかし、雷の王は首を縦には降らなかった。
想いあっていた2人は引き離され、王太子が結婚する前に元婚約者は別の相手へと嫁がされた。
その苦しみを吐き出すかのように、王太子は嫁いできた土の王女に対し鬱憤をはらし続けた。
王太子である以上、子を成さねばならない。
「仕方がない、これは義務だ」
そう言って、ただただ乱暴に土の王女を抱いていた。それは、王女が妊娠するまで続く…
暫くして、漸く妊娠がわかったものの、王太子からの王女への仕打ちは止まることはなかった。
当然、子は流れてしまい悲しみに暮れた土の王女は雷の王に対し、「国に帰りたい」と願い出た。
しかし、王は王太子の非道は止めさせるからもう暫く耐えてほしいと王女を説得し雷の国に止まらせた。
そして、王の「止めさせるから」と言った行いは、巡り巡って王女の元に返ってきた。
王から話を聞いた王太子は、更に怒り土の王女の治癒力を持ってしてでも追いつかない程、王女を散々痛めつけた。
王太子の怒りが収まった頃には、土の王女の命は途絶えようとしていた。
そして、彼女は最後に土の国に向かい願いを込めた。
悔しさ、絶望、痛み、苦しみ…
その全てをのせて。
"この身に起こった全てを我が愛する者たちへ"
___願わくば、もう一度だけ皆んなに会いたかったわ
そう言って、雷の国の柔らかな土を精一杯握りしめた後、王女は永遠の眠りについた。
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