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6.アルトニア騎士団
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「団長、準備できました。いつでも突入可能です。」
部下からの声に、焦る気持ちを抑えながら騎士団の団長であるグレンは頷き返した。
ここ軍事大国とされるアルトニア王国の騎士団である彼らは、以前より調査中だった悪質な奴隷商を捕まえる為、国の首都にほど近い郊外の倉庫街にきていた。
幾度となく、取り逃してきた奴隷商だったが、騎士団の1人が上手く潜入できた事で次の闇オークションに関する情報を得ることができたのだ。
いよいよ、奴らを一網打尽にできる!と思っていた矢先、潜入していた騎士とこの数日間全く連絡がつかないでいる。
その為、団員全体に妙な焦りが出始めていた。
それは、騎士団長であるグレンも同じだった。
『グレン団長!その潜入調査、俺にやらせて下さい!
ど田舎の男爵家の俺なら、そこら辺の平民とほぼ変わりませんから、騎士団の誰よりも上手く溶け込めるはずです!』
『しかしなぁ…』
『それに、俺…
どうしても手柄欲しいんすよ。
まだ、騎士団に入って間もないっすけど、手柄あげて幼馴染のやつにプロポーズしたいんっす!へへ!
だから、グレン団長!是非、俺にやらせて下さい!!絶対に、やってみせます!』
『グレン、そこまで言うんだ。やらせてみたらどうだ?』
『カイゼル…
わかった。ただし、絶対に深追いだけはするな。危険だと判断したら、すぐに撤退しろ。これは、命令だ!』
『っ!はいっ!
グレン団長!カイゼル副団長!ありがとうございます!必ず、やつらの情報を掴んで見せます!』
そう言って、部下のアイルを送り出し早半年が経とうとしていた頃、初めて潜入していたアイルから報告があったのだ。
彼は、潜入してから一切の連絡をたち奴隷商の内部に上手く潜り込めていた。そして、今回の情報を掴んできたのだった。
それは、間違いなくアイルの手柄だった。
だからこそ、どうか無事でいて欲しい…
誰もが、そう願っていた。
「突入だ!!!」
グレンの一声で、待機していた騎士達が一斉に動き出した。
丁度、オークションの真っ最中であった会場は阿鼻叫喚のパニック状態だった。
素早く、売り手と買い手を捕縛し、次に繋がれていた人々を解放していく。
奴隷とされている者達も、一旦は保護して犯罪奴隷なのか違法に奴隷にされた者達なのか調べる必要があった。
犯罪奴隷であれば、国もしくは正規の奴隷商により奴隷紋が刻まれている。しかし、違法に奴隷にされた者であれば、奴隷紋まで付けられることはほぼないはずだった。
「団長!!!アイルを見つけました!
しかし…」
そう言って、報告にきた騎士は困惑した様子を隠せずにグレンにアイルの見つかった状況を説明した。
アイルは会場地下の牢屋の様な部屋で、鎖に繋がれて瀕死の状態で見つかったのだ。
身体には無数の拷問痕があり、それは何日にも及んで行われていた事がわかる状態だった。急ぎ駆けつけたグレンも、あまりの酷さに一瞬言葉を失った。アイルの周りには何人もの騎士が傷口を押さえて、必死に声をかけていた。
グレンはすぐさま、アイルを治癒師の元へ連れていく様に指示をだした。
そして、上の会場での制圧と捕縛がほぼ完了したとの報告を受けたのち、捕われていた中に隣国ディートの者達がいることがわかった。
「ディートかぁ…また、厄介な」
魔術大国として栄えているディート王国は、名の通り魔術師の数が多く、普通の平民ですら他国の貴族並みの魔力を保有するとされていた。
その為、魔力目的で攫われることが多く、大抵がスパイや兵器として奴隷契約されてしまうことが殆どだった。
だから、ディートからアルトニアへ入るのは大変簡単なのだが、不正に連れて来られた者達がディートへと戻る際には、国の強いては国王の承認がないと戻れない決まりなのである。
しばらくは忙しくなりそうだな…
グレンは、そう心の中で呟いていた。
部下からの声に、焦る気持ちを抑えながら騎士団の団長であるグレンは頷き返した。
ここ軍事大国とされるアルトニア王国の騎士団である彼らは、以前より調査中だった悪質な奴隷商を捕まえる為、国の首都にほど近い郊外の倉庫街にきていた。
幾度となく、取り逃してきた奴隷商だったが、騎士団の1人が上手く潜入できた事で次の闇オークションに関する情報を得ることができたのだ。
いよいよ、奴らを一網打尽にできる!と思っていた矢先、潜入していた騎士とこの数日間全く連絡がつかないでいる。
その為、団員全体に妙な焦りが出始めていた。
それは、騎士団長であるグレンも同じだった。
『グレン団長!その潜入調査、俺にやらせて下さい!
ど田舎の男爵家の俺なら、そこら辺の平民とほぼ変わりませんから、騎士団の誰よりも上手く溶け込めるはずです!』
『しかしなぁ…』
『それに、俺…
どうしても手柄欲しいんすよ。
まだ、騎士団に入って間もないっすけど、手柄あげて幼馴染のやつにプロポーズしたいんっす!へへ!
だから、グレン団長!是非、俺にやらせて下さい!!絶対に、やってみせます!』
『グレン、そこまで言うんだ。やらせてみたらどうだ?』
『カイゼル…
わかった。ただし、絶対に深追いだけはするな。危険だと判断したら、すぐに撤退しろ。これは、命令だ!』
『っ!はいっ!
グレン団長!カイゼル副団長!ありがとうございます!必ず、やつらの情報を掴んで見せます!』
そう言って、部下のアイルを送り出し早半年が経とうとしていた頃、初めて潜入していたアイルから報告があったのだ。
彼は、潜入してから一切の連絡をたち奴隷商の内部に上手く潜り込めていた。そして、今回の情報を掴んできたのだった。
それは、間違いなくアイルの手柄だった。
だからこそ、どうか無事でいて欲しい…
誰もが、そう願っていた。
「突入だ!!!」
グレンの一声で、待機していた騎士達が一斉に動き出した。
丁度、オークションの真っ最中であった会場は阿鼻叫喚のパニック状態だった。
素早く、売り手と買い手を捕縛し、次に繋がれていた人々を解放していく。
奴隷とされている者達も、一旦は保護して犯罪奴隷なのか違法に奴隷にされた者達なのか調べる必要があった。
犯罪奴隷であれば、国もしくは正規の奴隷商により奴隷紋が刻まれている。しかし、違法に奴隷にされた者であれば、奴隷紋まで付けられることはほぼないはずだった。
「団長!!!アイルを見つけました!
しかし…」
そう言って、報告にきた騎士は困惑した様子を隠せずにグレンにアイルの見つかった状況を説明した。
アイルは会場地下の牢屋の様な部屋で、鎖に繋がれて瀕死の状態で見つかったのだ。
身体には無数の拷問痕があり、それは何日にも及んで行われていた事がわかる状態だった。急ぎ駆けつけたグレンも、あまりの酷さに一瞬言葉を失った。アイルの周りには何人もの騎士が傷口を押さえて、必死に声をかけていた。
グレンはすぐさま、アイルを治癒師の元へ連れていく様に指示をだした。
そして、上の会場での制圧と捕縛がほぼ完了したとの報告を受けたのち、捕われていた中に隣国ディートの者達がいることがわかった。
「ディートかぁ…また、厄介な」
魔術大国として栄えているディート王国は、名の通り魔術師の数が多く、普通の平民ですら他国の貴族並みの魔力を保有するとされていた。
その為、魔力目的で攫われることが多く、大抵がスパイや兵器として奴隷契約されてしまうことが殆どだった。
だから、ディートからアルトニアへ入るのは大変簡単なのだが、不正に連れて来られた者達がディートへと戻る際には、国の強いては国王の承認がないと戻れない決まりなのである。
しばらくは忙しくなりそうだな…
グレンは、そう心の中で呟いていた。
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