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29.紫乃の居場所 紫乃side

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まるで絵画のような場所が、にはある。

光に反射してキラキラと輝く湖の辺りには、満開の桜が美しく咲き誇っていた。


まぁ、桜といっても正確には桜ではなく、よく似た花だけど。

色も日本みたいなピンクではなくて、黄色やオレンジ系の色をしている。

紅葉のようにも見えるけれど、周りに生い茂る若葉を見ると…THE 春!って感じがする。

だから、勝手に“桜”に命名してみた。


だって、ここは自由だから。

全部、私が決めていい。

好きに使って、好きに遊んでいい場所だから。



エデンに連れてきてもらってから、もうどのくらい経つのだろうか。

好きな時間に寝て、好きな時間に起きて、毎日のんびりと湖の辺りを散歩している。

もちろん、側にはエデンが居てくれる。

優しくて、暖かくて、頼りになって…

『もう、エデン無しでは生きられない!!』って言ったら…

《愛しの双子ちゃんが出てくるまでな~》って、かわされた。


まぁ、進んで乳母になってくれるみたいだから、全力で任せようと既に心に決めている。

エデンなら、素晴らしい教育とかしてくれそうだしね。



ずーっと、ここに居たい。

ずーっと、この場所で安らかな気持ちで暮らして生きたい。

ずーっと、ここでエデンと一緒に双子を育てて生きたい。

お腹が、大きくなるに連れそんな想いもどんどん膨れ上がってきた。


でも、エデンは言う。

《帰りたくなったら、誰かに会いたくなったら、いつでも連れて行ってあげるよ》と。


だから、言った。

『日本に帰りたい』と。


すると、エデンは悲しそうな顔をした後、紫乃に微笑みながら言った。

《双子ちゃんの名前は私に付けさせて!!》と。



エデンは、とても優しい。

私は、エデンが大好きだ。



ねぇ、エデン。
知ってる?
貴方のお陰で、私はこれまで壊れずに済んでいるんだよ。
何十回、何百回言っても足りないほど感謝してる。
いつも見守っていてくれて、手を差し伸べてくれて、ありがとう。
貴方は、私の大切な人だよ。
あ、神様か~

そろそろ、私も向き合わないといけないよね。

心が折れそうになった時は、また側にいてくれる?
甘えてもいい?
支えてくれる?

そして、ちゃんと怒ってくれる?

また、前を向けるように…





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