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27.人様の喧嘩は興味深い
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"今すぐ、ラルフへこの想いを伝えないと!!"
その一心で、紫乃はラルフの元へと向かった。
きっと、今日もラルフは街の様子を見て回っているはずだ、と。
紫乃による、治癒魔法が施された後、お祭り状態の街中を落ち着かせるためにラルフを始め、自衛団や治安関係者が毎日の様に見回りをしていた。
屋敷を出る際にも、ラルフは朝早くから見回りに出かけていると聞いていた。
紫乃は、未だ賑わいをみせる街の中心部をラルフを探して歩き回っていた。
《シノ、少し休んだらどうだい?もう大分歩き続けているよ。ラルフに話しがあるのなら、帰ってきてからゆっくりと話しをすればいいじゃないか?》
『…そうだね。でも、ずっと言えなかったから…少しでも早く伝えたいの。私も、ラルフを想ってる!ってことを』
《分かったよ…じゃぁ、少し休んでて!今、ラルフの気配を探してみるよ。
シノは、私の可愛い双子ちゃんと一緒に休んでるんだよ~!》
『…!!ふふっ!ありがとう、エデン!』
エデンに言われたとおりに、紫乃は大きな広場の端にある木陰になったベンチに座って休んでいた。
柔らかな風が、木々の合間からそっと頬に流れてくる。
木漏れ日の間からは、キラキラと光が差す。
広場の賑やかな声も、少しだけ遠くに聞こえる。
ここは、位置的に広場の様子は良く見渡せるものの広場側からだと死角になるようで、静かに休むにはぴったりの場所だった。
だからこそ、よく聞こえた。
男女2人の言い争うような声と、その後の情事の声が。
そして、その声の主が誰なのかも…
◇◇◇
「いい加減にしろっ!」
「クスクス!…そんなこと、言ってもいいのですか~?あんなに激しく求め合った仲なのに?
難しい事など言ってないではありませんか~、もう一度だけ貴方様のこの逞しい身体に抱かれたいだけなのです。
あの日は、最高でしたわ…。我を忘れたように、私を何度も何度も求める貴方様は…」
「くっ…、あれは君が薬を…」
「どんな手を使ってでも、私は貴方様を手に入れたかった。私の元に、取り戻したかったのです!
…あの日、やっと最愛の貴方様と繋がることができて、私…胸がいっぱいでした。
でも、同時にとても抑えきれない憎しみも産まれましたわ。」
「……っな、なにを言っている?」
「いつもあの様に、あの方をお抱きになっていらっしゃるの?
フフッ…妬いてしまいますわ。
本当なら、今頃貴方様は私の旦那様でしたのに…
そして、毎晩貴方様の逞しい身体に包まれて眠るのは、この私でしたのに…
だから、許せませんの…私から貴方様を奪ったあの女を…
最後の思い出に致しますわ…
ですから、お願いです…
どうか、もう一度だけ私を愛して下さいまし!!」
「…無理だ。俺は、君を彼女だと思い込んだまま抱いたんだ。
もう、君のことはなんとも思っていない。
だから、すまな「あの女がどうなってもいいのですか?」」
「私を抱けないのなら、抱けるようにするまでですわ。邪魔な存在には、消えていただかないといけませんわね♪」
「…っ!おいっ、エミリア!いくら君でも彼女に手を出すなら黙っては」
パラッ・・・・・
「!?い、いったい、何を…。っ!服を着ろ!」
「嫌です!
あの女を守る為に、貴方様は私を抱くしかないのですよ?まだ分かりませんの?
…うちの暗部は強いですわよ、貴方様なら良くご存じでしょう?」
「くっ…」
「ねぇ、ラルフ様?」
・・・・・え?
・・・・・ラルフ?
その直後、紫乃の元には風に乗せて運ばれた卑猥な音と共に、歓喜に喘ぐ女性の艶めかしい声が響いていた。
その一心で、紫乃はラルフの元へと向かった。
きっと、今日もラルフは街の様子を見て回っているはずだ、と。
紫乃による、治癒魔法が施された後、お祭り状態の街中を落ち着かせるためにラルフを始め、自衛団や治安関係者が毎日の様に見回りをしていた。
屋敷を出る際にも、ラルフは朝早くから見回りに出かけていると聞いていた。
紫乃は、未だ賑わいをみせる街の中心部をラルフを探して歩き回っていた。
《シノ、少し休んだらどうだい?もう大分歩き続けているよ。ラルフに話しがあるのなら、帰ってきてからゆっくりと話しをすればいいじゃないか?》
『…そうだね。でも、ずっと言えなかったから…少しでも早く伝えたいの。私も、ラルフを想ってる!ってことを』
《分かったよ…じゃぁ、少し休んでて!今、ラルフの気配を探してみるよ。
シノは、私の可愛い双子ちゃんと一緒に休んでるんだよ~!》
『…!!ふふっ!ありがとう、エデン!』
エデンに言われたとおりに、紫乃は大きな広場の端にある木陰になったベンチに座って休んでいた。
柔らかな風が、木々の合間からそっと頬に流れてくる。
木漏れ日の間からは、キラキラと光が差す。
広場の賑やかな声も、少しだけ遠くに聞こえる。
ここは、位置的に広場の様子は良く見渡せるものの広場側からだと死角になるようで、静かに休むにはぴったりの場所だった。
だからこそ、よく聞こえた。
男女2人の言い争うような声と、その後の情事の声が。
そして、その声の主が誰なのかも…
◇◇◇
「いい加減にしろっ!」
「クスクス!…そんなこと、言ってもいいのですか~?あんなに激しく求め合った仲なのに?
難しい事など言ってないではありませんか~、もう一度だけ貴方様のこの逞しい身体に抱かれたいだけなのです。
あの日は、最高でしたわ…。我を忘れたように、私を何度も何度も求める貴方様は…」
「くっ…、あれは君が薬を…」
「どんな手を使ってでも、私は貴方様を手に入れたかった。私の元に、取り戻したかったのです!
…あの日、やっと最愛の貴方様と繋がることができて、私…胸がいっぱいでした。
でも、同時にとても抑えきれない憎しみも産まれましたわ。」
「……っな、なにを言っている?」
「いつもあの様に、あの方をお抱きになっていらっしゃるの?
フフッ…妬いてしまいますわ。
本当なら、今頃貴方様は私の旦那様でしたのに…
そして、毎晩貴方様の逞しい身体に包まれて眠るのは、この私でしたのに…
だから、許せませんの…私から貴方様を奪ったあの女を…
最後の思い出に致しますわ…
ですから、お願いです…
どうか、もう一度だけ私を愛して下さいまし!!」
「…無理だ。俺は、君を彼女だと思い込んだまま抱いたんだ。
もう、君のことはなんとも思っていない。
だから、すまな「あの女がどうなってもいいのですか?」」
「私を抱けないのなら、抱けるようにするまでですわ。邪魔な存在には、消えていただかないといけませんわね♪」
「…っ!おいっ、エミリア!いくら君でも彼女に手を出すなら黙っては」
パラッ・・・・・
「!?い、いったい、何を…。っ!服を着ろ!」
「嫌です!
あの女を守る為に、貴方様は私を抱くしかないのですよ?まだ分かりませんの?
…うちの暗部は強いですわよ、貴方様なら良くご存じでしょう?」
「くっ…」
「ねぇ、ラルフ様?」
・・・・・え?
・・・・・ラルフ?
その直後、紫乃の元には風に乗せて運ばれた卑猥な音と共に、歓喜に喘ぐ女性の艶めかしい声が響いていた。
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