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26.思い出しました

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エデンが言った言葉が、ぐるぐると頭の中で回っていた。


"定着した双子" って何!?



いや、分かっている。
ちゃんと意味は理解している…

でも、少しの間だけ頭の中はパニックでいさせてほしい…

脳内では、エデンが大変楽しそうに双子に何と呼ばせるかを考えている。


まぁ、間違いなくしているのだろう。

そう考えれば、最近の不調についても説明がつくし、音や匂いに過敏になっていたことも頷ける。


…しかし

『このタイミングで妊娠か…』


思わず、紫乃の声が脳内に漏れた。


《…なに?紫乃、子供嫌なの?》

『…嫌ではないけど』

《だよね?紫乃、子供好きでしょっ!?子煩悩な母親になる星がついてるから安心していいよ~》


子煩悩な星って…なに???

疑問に思いながらも、紫乃はエデンに淡々と不安を述べた。


『…妊娠したことは、別いいの。子供は、欲しいと思っていたし。ただ、ようやくピースランドを目前にここまで来たのに‥って、考えると、なんとも言えない葛藤を覚えてしまって…』


《紫乃はさ、どうしてそこまでピースランドに行きたいの?》


『・・・え?』


《だって、今住んでいるこの街でも魚介類食べれるでしょ?》


『そうだね…』


《じゃぁ、何しに行くの?》


『・・・・・』


エデンに改めて聞かれた、紫乃はすぐに答えれなかった。

寧ろ、考えた。

確かに、最初は勝手に監視された事で腹立たしくて気持ち悪くて、誰も信用できないと感じた為"ピースランド"へ行こうと思っていた。
魚介類も食べられるし、満ち潮で離れ小島になる様子も見てみたかったから。

しかし、ジェフリー家の皆さんとも和解し、今はラルフと一緒に暮らしている事が当たり前になっている。
もう、逃げるために行く必要はないし、魚介類はすでにこっちで頂いている。
離れ小島に関しては、観光目的で十分なのではないだろうか?



・・・あれ?もしかして?


『行く必要、特にないかも…?』


《…はぁ。紫乃、気づくの遅すぎだよね?それよりも、そろそろラルフに返事してあげたら?》


『…返事?なんの?』


《…え!?》


『ん?なんで、そんなに驚くの??私、何の返事してなかったっけ??』


《はぁぁぁぁ…。。

プロポーズだよ!!!

!!!


王都出るときに言われてから、返事してないだろう?》


『…!!!

あぁぁぁぁぁぁぁーーーーっ!!!!!!

忘れてた、完全に!!』


ラルフが可哀想…とブツブツ言うエデンを横目に、紫乃は王都を出た時の事を思い返していた。

確かに、はっきり言われていた。

"結婚してくれないか"と。


それを、軽く受け流してここまでズルズルと関係を続けてきたのは、間違いなく私の判断だ。

そして、思い返すと今まで自分がラルフへとってきた行動に嫌気がさした。

彼の優しさに全力で甘えて、助けて貰って、支えて貰ってきたのに…


「私、今まで一度もラルフにって言ってなかったんだ…」


紫乃の中で、ラルフは既に離れることなんてできない、とても大切な存在になっていた。
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