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25.お祭り騒ぎには不適合でした

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____翌日。



紫乃の、広範囲における治癒魔法が展開されたことにより、この街一帯の病気や怪我が一日で完治した。

その結果、各教会へは問い合わせが殺到しているらしい。

しかし、教会側も何が起こったのか把握できておらず事態を収拾できていない状態だった。

大騒ぎしている街の様子に、紫乃とラルフは暗黙の了解で黙認することにした。

それから、暫くしても街中の興奮は冷めることなく毎晩毎晩お祭り騒ぎが続いていた。



《相変わらず、すごい盛り上がりだね~》

『…ほんとにね。このお祭り騒ぎいったいいつまで続くのかなぁ~
こう毎晩続くと、正直うるさすぎて眠れないんだよね…』


この街にあるジェフリー家の別宅は、貴族階級が多く暮らすエリアのほぼ中心に位置しており今回の大規模な治癒により、平民はもちろんのこと貴族達も負けず劣らず大騒ぎしていた。
その為、平民が多く住むエリアでは大通りに面した場所に露天が並び、貴族街ではほぼ毎夜どこかの家でパーティが開かれている状態だった。

始めの頃は、紫乃も「楽しい~!!」と言って参加していたのだが、紫乃は生粋の日本人であり、尚且つお祭りも「1日行けたら十分です」と言うタイプだ。

大好きな夢の国"ディ○ニー"であっても、2Dayパスまでで十分満喫できる。

そんなタイプの人間に、かれこれ10日間程続いている夜通しのお祭り騒ぎは最早苦痛でしかない。

しかし、ラルフを始め別宅の使用人達もいつも通り仕事をこなしてはいるが、纏う雰囲気はとても嬉しそうだった。



あの日、教会から戻ってすぐメイド達や料理長、執事に庭師まで身体の異変に大騒ぎしていた。

「あかぎれていた手が治ってる!!」「目が…右目が見える!」「長年の腰痛が治りましたわい!」

各々が、主であるラルフに嬉しそうに報告にやって来た。
中には、ずっと痛みに耐えながら仕事をしていたのだろう、泣きながら嬉しそうに報告する者もいた。

そんな彼らに、ラルフも嬉しそうに応えていた。


各自の体調が治ってからは、屋敷の雰囲気はガラリと変わった。
楽しそうに仕事をする様子を見ていると、紫乃一人の感情で「うるさい」なんて言えるわけがない…


しかし、周りの様子とは逆に紫乃の体調は日に日に悪化していった。

昼間も騒がしければ、夜の騒音も耳について中々寝付けない。
その為、最近は目の下のクマも濃くなってきたし、肌荒れも酷くなってきた。
寝不足過ぎて食欲がわかず貧血気味なのか、不意に方向転換しようとするとくらっと目眩がする。

流石に辛くなってきたと思い、ラルフに相談しようかと思っていた矢先…


エデンが衝撃的な言葉を口にした。



《お!定着したね、双子ちゃん》


『・・・・・』


《紫乃は安心していーよ、双子ちゃんは私が見守ってるからさ♪楽しみだなぁ~!!》



・・・・・・。


・・・・・・。


・・・・え?



定着したって、何???
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