上 下
20 / 33

20.恋人設定から多分‥恋人へ

しおりを挟む
「…えっーと、もうそろそろ降ろしてくれないかな?」

「…イヤだ。シノの身体は気持ちいい」

「!!!!!」


お願いだから、そんな誤解を生みそうな言い方は控えてほしい。

そして、その際どい触り方も止めてほしい…。



ピースランドに向けてラルフと一緒に旅に出て、すでに三ヶ月が経とうとしていた。
現在、紫乃はラルフの膝に抱えられたまま朝食をとっている。
ラルフの手が、紫乃の太股をなで上げながら…

あれから、紫乃とラルフは当初の恋人設定からへとなっている。

・・・多分?

何故なら、紫乃にとってこちらの世界の恋人の定義がイマイチわからないからだ。
地球のように、セフレのような身体だけの関係はあるのだろうか?

因みに、こちらの世界では性欲を発散する場合は娼館へ出向くのが普通らしい。
貴族階級では【恋人=婚約者】という図式ができあがっており、婚約者がいる場合は婚約者と情交するのが一般的だそうだ。
ラルフ曰く、セフレのような関係は貴族階級では家名を汚すことに繋がるためしないとのこと…
ただし、それはあくまでも貴族の常識であり平民の場合はわからない、との事だった。



まぁ…正直、旅初日の夜にたまたま同じ部屋で寝ることになった時点で、"求められるかも"とは思ってはいたのだが…
ラルフから宣戦布告のように"無理だ!"と言われ、速攻で組み敷かれトロトロにされてしまうとは思ってもみなかった。


それに、こんな風に言うのもアレなのだが…


ラルフとの夜は


もう…


最高だった!!!


そもそも、美形のイケメンに組み敷かれても全然
だから、拒めない…
寧ろ、拒む必要が無かった。


元彼と比較するなんて良くないかもしれないけれど…

ラルフの前戯は丁寧で、何度も指や舌を使って愛撫を繰り返し絶頂を与えてくれた。
元彼のように、自分のモノばかり咥えさせて満足したら即挿入…なんて事はラルフは絶対にしなかった。
あまりにも甲斐甲斐しく紫乃の身体中を舐め上げる様子に、思わず紫乃の方からラルフのモノに手を伸ばした程だった。

それからは、お互いが理性を失ったかのように求め合った。
何度も何度も…
結局、カーテンの隙間から日差しが射し込んでくるまで二人は絡み合っていた。


・・・まぁ、お互い色々と疲れていたんだろうね。

紫乃は、突然異世界に来てしまって、平然を装いつつも誰も知り合いがいない世界で生きるために必死だったし。
ラルフは、ラルフで呪いで死ぬことしか考えていなかったから、想い続けてきた婚約者ともお別れして一人ひっそりと呪いと向きあってきたわけで…

解決に伴い二人とも、たがが外れたんだろうね。


そして、一度お互いの身体を知ってしまうと不思議なことに、次からは自然と相手を受け入れてしまう。


ラルフは、大変イケメンなのだが呪いがあったせいで女性を抱くことも久々らしく、紫乃を求める手が休むことはなかった。
紫乃は、三ヶ月たった今でもほぼ毎日と言ってもいいほどラルフに抱かれている。


____あ、決して率先して子作りに励んでいるわけではない。


ただ、呪いがあり忌避されていたラルフは娼館へ出向くことも出来なかったらしく、その話しを聞いたときに紫乃は純粋にに重ねてしまったのだ。

"誰にも相談できず、触れあうこともできない"


訳も分からないままこの世界にきた紫乃にとっては、状況は違えどその孤独感はとても身近に感じられた。

そして、思った。

きっと、この人も自分で自分を抱きしめて夜を過ごしたのだろう…と。


だからこそ、紫乃はラルフから求められたら絶対に拒まなかった。

進んで彼を受け入れた。

お互いの体温を感じることで、紫乃自身も"決して一人じゃない"と、思えることが出来たから…。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

助けた騎士団になつかれました。

藤 実花
恋愛
冥府を支配する国、アルハガウンの王女シルベーヌは、地上の大国ラシュカとの約束で王の妃になるためにやって来た。 しかし、シルベーヌを見た王は、彼女を『醜女』と呼び、結婚を保留して古い離宮へ行けと言う。 一方ある事情を抱えたシルベーヌは、鮮やかで美しい地上に残りたいと思う願いのため、異議を唱えず離宮へと旅立つが……。 ☆本編完結しました。ありがとうございました!☆ 番外編①~2020.03.11 終了

今日も殿下に貞操を狙われている【R18】

毛蟹葵葉
恋愛
私は『ぬるぬるイヤンえっちち学園』の世界に転生している事に気が付いた。 タイトルの通り18禁ゲームの世界だ。 私の役回りは悪役令嬢。 しかも、時々ハードプレイまでしちゃう令嬢なの! 絶対にそんな事嫌だ!真っ先にしようと思ったのはナルシストの殿下との婚約破棄。 だけど、あれ? なんでお前ナルシストとドMまで併発してるんだよ!

色々と疲れた乙女は最強の騎士様の甘い攻撃に陥落しました

灰兎
恋愛
「ルイーズ、もう少し脚を開けますか?」優しく聞いてくれるマチアスは、多分、もう待ちきれないのを必死に我慢してくれている。 恋愛経験も無いままに婚約破棄まで経験して、色々と疲れているお年頃の女の子、ルイーズ。優秀で容姿端麗なのに恋愛初心者のルイーズ相手には四苦八苦、でもやっぱり最後には絶対無敵の最強だった騎士、マチアス。二人の両片思いは色んな意味でもう我慢出来なくなった騎士様によってぶち壊されました。めでたしめでたし。

初めての相手が陛下で良かった

ウサギテイマーTK
恋愛
第二王子から婚約破棄された侯爵令嬢アリミアは、王子の新しい婚約者付の女官として出仕することを命令される。新しい婚約者はアリミアの義妹。それどころか、第二王子と義妹の初夜を見届けるお役をも仰せつかる。それはアリミアをはめる罠でもあった。媚薬を盛られたアリミアは、熱くなった体を持て余す。そんなアリミアを助けたのは、彼女の初恋の相手、現国王であった。アリミアは陛下に懇願する。自分を抱いて欲しいと。 ※ダラダラエッチシーンが続きます。苦手な方は無理なさらずに。

本日をもって、魔術師団長の射精係を退職するになりました。ここでの経験や学んだことを大切にしながら、今後も頑張っていきたいと考えております。

シェルビビ
恋愛
 膨大な魔力の引き換えに、自慰をしてはいけない制約がある宮廷魔術師。他人の手で射精をして貰わないといけないが、彼らの精液を受け入れられる人間は限られていた。  平民であるユニスは、偶然の出来事で射精師として才能が目覚めてしまう。ある日、襲われそうになった同僚を助けるために、制限魔法を解除して右手を酷使した結果、気絶してしまい前世を思い出してしまう。ユニスが触れた性器は、尋常じゃない快楽とおびただしい量の射精をする事が出来る。  前世の記憶を思い出した事で、冷静さを取り戻し、射精させる事が出来なくなった。徐々に射精に対する情熱を失っていくユニス。  突然仕事を辞める事を責める魔術師団長のイースは、普通の恋愛をしたいと話すユニスを説得するために行動をする。 「ユニス、本気で射精師辞めるのか? 心の髄まで射精が好きだっただろう。俺を射精させるまで辞めさせない」  射精させる情熱を思い出し愛を知った時、ユニスが選ぶ運命は――。

前世変態学生が転生し美麗令嬢に~4人の王族兄弟に淫乱メス化させられる

KUMA
恋愛
変態学生の立花律は交通事故にあい気付くと幼女になっていた。 城からは逃げ出せず次々と自分の事が好きだと言う王太子と王子達の4人兄弟に襲われ続け次第に男だった律は女の子の快感にはまる。

【R18】国王陛下に婚活を命じられたら、宰相閣下の様子がおかしくなった

ほづみ
恋愛
国王から「平和になったので婚活しておいで」と言われた月の女神シアに仕える女神官ロイシュネリア。彼女の持つ未来を視る力は、処女喪失とともに失われる。先視の力をほかの人間に利用されることを恐れた国王からの命令だった。好きな人がいるけどその人には好かれていないし、命令だからしかたがないね、と婚活を始めるロイシュネリアと、彼女のことをひそかに想っていた宰相リフェウスとのあれこれ。両片思いがこじらせています。 あいかわらずゆるふわです。雰囲気重視。 細かいことは気にしないでください! 他サイトにも掲載しています。 注意 ヒロインが腕を切る描写が出てきます。苦手な方はご自衛をお願いします。

処理中です...