【完結】転生なんて信じられません…とりあえず様子を見ることにしました

9.大袈裟ではないでしょうか

「あの傷が…治った！？」

周りの反応を見る限り、傷は本当に消えているようだ。
満面の笑みで「消えてるぞ！」と喜ぶ同僚を横目に半信半疑ながらも、恐る恐る自分の顔に手を伸ばしその肌の感触を確かめた。


「＿＿っ！！」


声にならなかった。
ただただ、涙が溢れてきた。

あの傷が、あの呪いが…終わった。

その喜びと、安堵感でいっぱいだった。
仲間達と喜びあって、久しぶりに心から笑い合った。
肩を抱き合い、俺が庇った仲間は俺にしがみついて泣いていた。

そして、この瞬間誰もが確信した！

"彼女は間違いなく神使い様だと"


俺は、群がる仲間を引き剥がし彼女の前に跪いた。

「この傷を、この呪いを解いて下さり、誠にありがとうございます。
このご恩、一生掛けてお返し致します」


そう宣言し、顔を上げるとキョトン！？とした顔の彼女と目が合った。

真っ黒の大きな瞳が不思議そうにこちらを捉えて瞬いていた。




◇　◇　◇

やばい・・・
全然、この雰囲気について行けない・・・


エデンによる、脳内社会科授業を聞き終えてふと周りに視線を送ると、なぜか騎士団の皆さんが大喜びして美人イケメンに抱きついていた。
よく見ると、みんな何故か笑いながら泣いている。その様子を、不思議に思っていると傷が消えた美人イケメンが近づいてきて、突然目の前で膝をついた。

そして、傷を治した事へご丁寧なお礼を言われた。

しかも、"一生掛けて恩を返す"とか…大げさな。

そう思い、どう反応しようか迷っていると、まさかのその場にいた騎士団全員が膝を突き、私に向かって深々と頭を下げた。
意味が分からず、思わず脳内で呟く。


『・・・勘弁してよ』


《あはは！！すごいじゃん！よかったね～》


目の前で頭をさげる騎士団と、脳内で大爆笑しているエデン。

このギャップに、もう頭がおかしくなりそうだった。