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第五話
友達と勉強会
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ニコはカレッジの講義が終わり、帰宅の準備を済ませるとキャンパスを後にした。校門の脇で待っていたペニーが話しかけて来る。
「ニコ、ちょっと良い?」
「どうしたの…。ペニー」
「私、ニコに避けられてるのかな?と思ってたの…」
「えっ…僕は誰も…避けてないと…思うけど…」
「この前、ちょっと気まずい雰囲気になってしまって…ニコが怒ってるんじゃないかと思って…」
「そうだったかな…。ごめん…。よく覚えてない…。忘れてしまったよ…」
「私があの時、キスを拒否してしまったから…」
「ああ、その事か…。僕の方が…ペニーに嫌われたかと思ってたよ…」
「今朝、私を見ても知らんぷりしてなかった?」
「気のせいだよ…。朝の挨拶はしてたと思う…」
「ううん。私が朝の挨拶をしたら、ニコはそっぽを向いて行ってしまったでしょ?」
「多分…それはペニーに嫌われてると思ってたから…あまり僕がそばにいない方が良いと思ったんだよ…」
「そう…私の思い違いだったなら良いのだけど」
「ところで…僕に何か…用?」
「実は今日の講義で、わからないところがあって、私より成績が良いのってニコだけだから…」
「ああ…ペニーは学年二位だから…すごいね?」
「一位のあなたに言われても皮肉にしか聞こえないわ…」
「あれ?僕…またペニーを…怒らせるような事…言ってしまったのかな…」
「あなたって本当に…頭が良い癖に馬鹿なのね」
「うん…馬鹿なのはわかってる…」
「勉強はできる癖に人の心がわかってないわ…」
「勉強は頑張ってるけど…人の心は難しいよ…」
「これから図書館で勉強会をしない?」
「勉強会か…良いよ…?」
図書館に来るとニコの周りに女子大生が集まって来た。図書館の管理人が不機嫌そうに睨み付けている。
「エマーソン君にこんなところで逢えるなんてラッキー」
「ねぇ、図書館で何をしてるの?」
「ペニーと勉強会をしようと思って…」
「ムーアさん、ニコ君と勉強会なんて抜け駆けは許さないわよ?」
「そうよ、そうよ!私も勉強会に参加させて?」
ペニーは居心地が悪くなって、図書館を出て行ってしまった。ニコは慌てて、ペニーを追いかける。
「勉強会は…しないの?」
「あの子たちがいたら邪魔されて勉強会どころじゃなくなるわ!それに周りの迷惑になってたし」
「そっか…。じゃあ僕の部屋に来て…勉強会する?」
「えっ…あなたの部屋って…」
「僕は…この近くのアパートで…ひとり暮らし…してるんだよ…」
「ふ、不純異性交遊は…校則違反よ?」
「不純異性交遊…?何それ…」
「キスとか他にも…いやらしい事をする事よ!」
「キスは…不純異性交遊なの?ただの…挨拶だと思ってた…」
ペニーは少し考え込むと、決心したように口を開いた。
「絶対に変な事しないって…約束してくれる?」
「ん?変な事って…どんな事だろ」
「キスはしちゃダメよ?」
「うん…わかった…」
長い階段を何段も昇りきるとニコの部屋に着いた。部屋のドアを開けて入ってすぐのところでペニーはへたり込んでいる。
「ちょっと…こんな階段…魔術師見習いの私にはキツいわ…」
「僕も一応…魔術師見習いだけど…平気だよ…」
「あなた…どう言う体力してるのよ…。剣術か体術でも…やったら?」
「僕も…剣術カレッジに…通いたかったけど…母さんが…魔術カレッジにしなさい…って言うから…」
「あなた、マザコンなのね…。お母さんの言う通りにしか生きられないわけ?」
「マザコン…って、何?」
「お母さんの事が好き過ぎて、離れられない人の事よ?」
「それなら…僕は…間違いなく…マザコンだ…」
「ソレナラボクハ、マチガイナク、マザコンダ」
青い鸚鵡が鳥籠の中で、ニコの発言の真似をしている。
「肯定しないでよ!恥ずかしいと思わないの?」
「コウテイシナイデヨ!ハズカシイト、オモワナイノ?」
「別に…恥ずかしくは…ないよ…」
「ベツニ、ハズカシクハ、ナイヨ…」
「ああもう…うるさいなぁ…。あっちへ…行け」
ニコはまた鸚鵡を鳥籠から出して外に逃してしまった。
「あれは、何?喋る鳥なんて、初めて見たけど」
「あれは…伝書鳩専門店で…母さんが買ってくれた…鸚鵡だよ…」
「伝書鳩なら知ってるけど、めちゃくちゃ高いでしょ?鸚鵡なんて持ってる人、見た事ないわ」
「鸚鵡は確か…金貨四十枚くらいだったかな…」
「高過ぎるわ!普通の伝書鳩なら金貨十枚以下でしょ?」
「カレッジでも…僕しか…持ってないのかな?」
「多分ね。裕福な家の生徒が多いけど、みんな伝書鳩よ」
「ペニーは…伝書鳩を…持ってるの?」
「持ってないわよ?私は奨学金でカレッジに通ってるし」
「奨学金って…何?」
「あんた本当に何も知らないのね?貧しい生まれでも成績さえ良ければ国から支援金が出るのよ」
「そうなんだ…。知らなかった…」
「奨学金は国王様からの借金だから、卒業して魔術師になったら、返さないとダメなの」
「なんだか…国王様って…ケチだね?」
「私もそう思ったけど仕方ないわよ?」
しばらく黙々と勉強を続けたが、ペニーの腹の虫が盛大に鳴る。
「あっ!今日はお昼抜きだったからお腹空いちゃって…」
「何か…作ろうか?」
「ニコは料理もできるの?私は料理って苦手…」
「一通りのものは…何でも作れるよ…」
「オムレツは作れる?」
「オムレツ…得意料理だよ」
ニコはキッチンに立つと、じゃがいも、玉ねぎ、ピーマン、ハムを一口サイズに刻んで、火打ち石や薪は使わずに指から青い炎を出して、フライパンで材料をよく炒めて、トマトに軽く火を通して溶き卵を回しかけると、手首をトントンしながらフライパンを器用に回してオムレツを作った。
「すごい!本格的な料理ね?」
「母さんも…オムレツが好きだから…、よく作ってた…」
「これならレストランでアルバイトもできるわよ?」
「アルバイトは…した事ないな…」
「学費はお母さんが出してくれてるんでしょ。家賃くらいは自分で稼いだらどう?」
「母さんに…聞いてみるよ…」
「自分で決めなさいよ?あなた、私と同じで今年で十九歳なんでしょ!子供じゃないんだから…」
「勝手な事をして…母さんに…怒られないかな…?」
「稼いだお金で、お母さんにプレゼントでも買ったら?きっと喜ぶと思うわよ」
「それは名案だね…。母さんの喜ぶ顔が見たい…!」
「私が今アルバイトしてるレストランで、あなたも働いてみる?」
「ペニーもレストランで…働いてるの…?それなら安心だ…」
「私はウエイトレスとしてだけどね?この料理の腕なら厨房に入れるわ!」
「今から僕を…そのレストランに…連れて行ってくれる…?」
「良いけど…あの長い階段を、また降りるのが、面倒だわ!」
「ペニー…。出掛ける支度をして…。近道で外に出る…。階段は使わないから…、一瞬だよ」
「このアパート、近道があるの?それを早く言ってよ!」
ペニーが勉強道具一式をキャンパスバッグに仕舞うと、ニコにお姫様抱っこされ、ベランダの窓を開けて、ニコは体を乗り出した。
「ちょ、ちょっと…!何、するのよ?」
「しっかり僕に…掴まってて…?」
ニコがペニーをお姫様抱っこしたままでジャンプして、ふわっと宙に舞ったかと思うと、あっという間に地面に到着した。
「風の魔法?こんなすごい魔法使える男子学生、初めて見た」
「うん…。風の魔法で…一時的に重力の負荷を…なくした…」
「あんたって…天才ね?」
「ペニーは…魔法の四元素は…何を取得してるの?」
「私は今のところ水属性だけよ?回復魔法師になりたいの!こんな事なら、風の魔法も取っておけば良かったわ…」
「ヒーラーなら…僕の死んだ母さんが…教会のシスターだったから…光魔法で回復してくれたよ」
「でも教会のシスターは、未婚じゃなきゃダメなんでしょ?」
「うん…僕を孕って…すぐに教会を…破門にされてる…」
「それじゃ、私について来て?レストランに案内するわ」
ニコはペニーに案内されてレストランの厨房の裏の路地に来ると、シェフが出て来ました。
「彼がここで働きたいって?厨房より接客として店に出てくれないかな。人手が足りない…」
「僕は…別に…どっちでも…良いです…」
「厨房は顔が悪くてもできる仕事だけど、接客は顔が良くないと出来ないから」
「雇ってもらえるなら…何でもします」
「よし!それじゃウエイターの服に着替えて研修生の腕章を付けて店に出てくれ。接客についてはムーアさんがエマーソン君に教えてやれ?」
「ニコ、ちょっと良い?」
「どうしたの…。ペニー」
「私、ニコに避けられてるのかな?と思ってたの…」
「えっ…僕は誰も…避けてないと…思うけど…」
「この前、ちょっと気まずい雰囲気になってしまって…ニコが怒ってるんじゃないかと思って…」
「そうだったかな…。ごめん…。よく覚えてない…。忘れてしまったよ…」
「私があの時、キスを拒否してしまったから…」
「ああ、その事か…。僕の方が…ペニーに嫌われたかと思ってたよ…」
「今朝、私を見ても知らんぷりしてなかった?」
「気のせいだよ…。朝の挨拶はしてたと思う…」
「ううん。私が朝の挨拶をしたら、ニコはそっぽを向いて行ってしまったでしょ?」
「多分…それはペニーに嫌われてると思ってたから…あまり僕がそばにいない方が良いと思ったんだよ…」
「そう…私の思い違いだったなら良いのだけど」
「ところで…僕に何か…用?」
「実は今日の講義で、わからないところがあって、私より成績が良いのってニコだけだから…」
「ああ…ペニーは学年二位だから…すごいね?」
「一位のあなたに言われても皮肉にしか聞こえないわ…」
「あれ?僕…またペニーを…怒らせるような事…言ってしまったのかな…」
「あなたって本当に…頭が良い癖に馬鹿なのね」
「うん…馬鹿なのはわかってる…」
「勉強はできる癖に人の心がわかってないわ…」
「勉強は頑張ってるけど…人の心は難しいよ…」
「これから図書館で勉強会をしない?」
「勉強会か…良いよ…?」
図書館に来るとニコの周りに女子大生が集まって来た。図書館の管理人が不機嫌そうに睨み付けている。
「エマーソン君にこんなところで逢えるなんてラッキー」
「ねぇ、図書館で何をしてるの?」
「ペニーと勉強会をしようと思って…」
「ムーアさん、ニコ君と勉強会なんて抜け駆けは許さないわよ?」
「そうよ、そうよ!私も勉強会に参加させて?」
ペニーは居心地が悪くなって、図書館を出て行ってしまった。ニコは慌てて、ペニーを追いかける。
「勉強会は…しないの?」
「あの子たちがいたら邪魔されて勉強会どころじゃなくなるわ!それに周りの迷惑になってたし」
「そっか…。じゃあ僕の部屋に来て…勉強会する?」
「えっ…あなたの部屋って…」
「僕は…この近くのアパートで…ひとり暮らし…してるんだよ…」
「ふ、不純異性交遊は…校則違反よ?」
「不純異性交遊…?何それ…」
「キスとか他にも…いやらしい事をする事よ!」
「キスは…不純異性交遊なの?ただの…挨拶だと思ってた…」
ペニーは少し考え込むと、決心したように口を開いた。
「絶対に変な事しないって…約束してくれる?」
「ん?変な事って…どんな事だろ」
「キスはしちゃダメよ?」
「うん…わかった…」
長い階段を何段も昇りきるとニコの部屋に着いた。部屋のドアを開けて入ってすぐのところでペニーはへたり込んでいる。
「ちょっと…こんな階段…魔術師見習いの私にはキツいわ…」
「僕も一応…魔術師見習いだけど…平気だよ…」
「あなた…どう言う体力してるのよ…。剣術か体術でも…やったら?」
「僕も…剣術カレッジに…通いたかったけど…母さんが…魔術カレッジにしなさい…って言うから…」
「あなた、マザコンなのね…。お母さんの言う通りにしか生きられないわけ?」
「マザコン…って、何?」
「お母さんの事が好き過ぎて、離れられない人の事よ?」
「それなら…僕は…間違いなく…マザコンだ…」
「ソレナラボクハ、マチガイナク、マザコンダ」
青い鸚鵡が鳥籠の中で、ニコの発言の真似をしている。
「肯定しないでよ!恥ずかしいと思わないの?」
「コウテイシナイデヨ!ハズカシイト、オモワナイノ?」
「別に…恥ずかしくは…ないよ…」
「ベツニ、ハズカシクハ、ナイヨ…」
「ああもう…うるさいなぁ…。あっちへ…行け」
ニコはまた鸚鵡を鳥籠から出して外に逃してしまった。
「あれは、何?喋る鳥なんて、初めて見たけど」
「あれは…伝書鳩専門店で…母さんが買ってくれた…鸚鵡だよ…」
「伝書鳩なら知ってるけど、めちゃくちゃ高いでしょ?鸚鵡なんて持ってる人、見た事ないわ」
「鸚鵡は確か…金貨四十枚くらいだったかな…」
「高過ぎるわ!普通の伝書鳩なら金貨十枚以下でしょ?」
「カレッジでも…僕しか…持ってないのかな?」
「多分ね。裕福な家の生徒が多いけど、みんな伝書鳩よ」
「ペニーは…伝書鳩を…持ってるの?」
「持ってないわよ?私は奨学金でカレッジに通ってるし」
「奨学金って…何?」
「あんた本当に何も知らないのね?貧しい生まれでも成績さえ良ければ国から支援金が出るのよ」
「そうなんだ…。知らなかった…」
「奨学金は国王様からの借金だから、卒業して魔術師になったら、返さないとダメなの」
「なんだか…国王様って…ケチだね?」
「私もそう思ったけど仕方ないわよ?」
しばらく黙々と勉強を続けたが、ペニーの腹の虫が盛大に鳴る。
「あっ!今日はお昼抜きだったからお腹空いちゃって…」
「何か…作ろうか?」
「ニコは料理もできるの?私は料理って苦手…」
「一通りのものは…何でも作れるよ…」
「オムレツは作れる?」
「オムレツ…得意料理だよ」
ニコはキッチンに立つと、じゃがいも、玉ねぎ、ピーマン、ハムを一口サイズに刻んで、火打ち石や薪は使わずに指から青い炎を出して、フライパンで材料をよく炒めて、トマトに軽く火を通して溶き卵を回しかけると、手首をトントンしながらフライパンを器用に回してオムレツを作った。
「すごい!本格的な料理ね?」
「母さんも…オムレツが好きだから…、よく作ってた…」
「これならレストランでアルバイトもできるわよ?」
「アルバイトは…した事ないな…」
「学費はお母さんが出してくれてるんでしょ。家賃くらいは自分で稼いだらどう?」
「母さんに…聞いてみるよ…」
「自分で決めなさいよ?あなた、私と同じで今年で十九歳なんでしょ!子供じゃないんだから…」
「勝手な事をして…母さんに…怒られないかな…?」
「稼いだお金で、お母さんにプレゼントでも買ったら?きっと喜ぶと思うわよ」
「それは名案だね…。母さんの喜ぶ顔が見たい…!」
「私が今アルバイトしてるレストランで、あなたも働いてみる?」
「ペニーもレストランで…働いてるの…?それなら安心だ…」
「私はウエイトレスとしてだけどね?この料理の腕なら厨房に入れるわ!」
「今から僕を…そのレストランに…連れて行ってくれる…?」
「良いけど…あの長い階段を、また降りるのが、面倒だわ!」
「ペニー…。出掛ける支度をして…。近道で外に出る…。階段は使わないから…、一瞬だよ」
「このアパート、近道があるの?それを早く言ってよ!」
ペニーが勉強道具一式をキャンパスバッグに仕舞うと、ニコにお姫様抱っこされ、ベランダの窓を開けて、ニコは体を乗り出した。
「ちょ、ちょっと…!何、するのよ?」
「しっかり僕に…掴まってて…?」
ニコがペニーをお姫様抱っこしたままでジャンプして、ふわっと宙に舞ったかと思うと、あっという間に地面に到着した。
「風の魔法?こんなすごい魔法使える男子学生、初めて見た」
「うん…。風の魔法で…一時的に重力の負荷を…なくした…」
「あんたって…天才ね?」
「ペニーは…魔法の四元素は…何を取得してるの?」
「私は今のところ水属性だけよ?回復魔法師になりたいの!こんな事なら、風の魔法も取っておけば良かったわ…」
「ヒーラーなら…僕の死んだ母さんが…教会のシスターだったから…光魔法で回復してくれたよ」
「でも教会のシスターは、未婚じゃなきゃダメなんでしょ?」
「うん…僕を孕って…すぐに教会を…破門にされてる…」
「それじゃ、私について来て?レストランに案内するわ」
ニコはペニーに案内されてレストランの厨房の裏の路地に来ると、シェフが出て来ました。
「彼がここで働きたいって?厨房より接客として店に出てくれないかな。人手が足りない…」
「僕は…別に…どっちでも…良いです…」
「厨房は顔が悪くてもできる仕事だけど、接客は顔が良くないと出来ないから」
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