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最終章
拾う神
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バスは高校の前で一旦降りて、警察署へ続く道ではなく、パソコン教室の方へ、小雪は歩いた。竹田がスーパーの前でテッシュ配りをしているので、呼び止める。
「竹田先生…夏海君が…また誤認逮捕されちゃって…これで三回目なんです…」
「えっ!今、仕事中だから手が離せないけど、昼休みになったら警察署を覗いてみるね」
「私は先に行ってます。多分またあの刑事さんに取調べ受けてると思うから…」
小雪ははやる気持ちを押さえて、どうすれば良いか考えながら警察署を目指す。中年の刑事が小雪を見るなりこう言った。
「また君か?松島さん、この子の相手してやって~」
松島と呼ばれた女性刑事が、小雪を別室に連れて行く。
「まさかあなたが、あの子と結婚するなんてね…。あなたのお母さんと私、同級生なんだけど、あの子の情報を教えろってしつこくて…」
「私、本気で夏海君が好きなんです!お母さんに情報を流さないでください…」
「私もね、何度もあの子と話してたら…だんだんわかって来たのよ…」
「松島さんでしたっけ。一体、何がわかったって言うんですか?」
「あの子が嘘をついてるんじゃなくて、周りが嘘をついてるんじゃないか…ってね」
「だから何度もそう言ってるじゃないですか?」
「先輩も調書を偽造してるし、もうかばいきれないわ。私までとばっちりを受けるのはたくさんよ!」
「松島さんも…夏海君の味方をしてくれるの?」
「味方をするってわけじゃなくて、真実を知りたいのよ」
「松島さんが他の人に本当の事を証言してください。あの刑事さんがしていた調書の偽造の事とか…」
「身内を売るような事をしたら上から何を言われるかわからないわ…」
「それでも刑事なんですか?正義感の欠片もない!」
「私だって最初は正義感で刑事を目指したの。でも現実はそんなに甘くなかった…」
「無実の罪で捕まった夏海君を…助けてください。お願いします」
「私もあの子には相当嫌われてしまってるから」
「夏海君はフェミニストだから、松島さんが反省してれば許してくれます」
「性格ドブス!とか言われたの初めてだったから傷ついたのよ?」
「夏海君、幼馴染の愛奈ちゃんにも、性格ドブスって言ってたけど、優しくしてましたよ?」
「あの子は口が悪いのが玉に瑕なのよね。根が良い子なのはわかってきたわ?」
「口が上手くても性格の悪い人よりは、百倍マシだと思いませんか?」
小雪が松島と押し問答をしているところに、竹田がやって来た。慌てて走って来たらしく息を切らしている。松島が竹田の話も聞く事になった。
「夏海君が誤認逮捕されたって聞いたんですが、事情を聞かせてもらえませんか?」
「先輩がまた証拠もないのに無理やり連行したんです。二度ある事は三度あるって言いますけど、今度こそ本当に私たちの首が飛びますよ?」
「夏海君が犯人だと疑われた理由は何ですか?」
「図書館の利用記録に名前が載ってたからなんです。でも同じ日に複数の人がパソコンを利用していたので、鑑識も特定は不可能でした」
「そのデータを見せてもらえませんか?パソコンには詳しいので何かわかるかもしれません」
「パソコン教室の先生だからパソコンには詳しいですよね!」
「申し訳ありませんが、機密情報なのでデータをお見せするわけにはいきません…」
「鑑識にもわからなかったと言う事は、メールを海外のアドレスを経由して送ったと言う事になりますよね?だとしたら夏海君には無理だと思います」
「流石パソコンの先生だけあってよくわかっていらっしゃいますね…。鑑識もパソコンに精通した者が犯人であると推測していて、おそらく犯人は大学またはコンピュータの専門学校を出ている専門知識のある者でしょう」
「じゃあ、夏海君は無関係なんじゃ…」
「ええ、私もそう思います…」
「犯人の特定が困難だった時に、市役所の方から通報があって、あの子が暴れてると聞いた先輩が、逮捕状も出ていないのに手錠をかけてしまって…」
「夏海君が暴れてたって本当ですか?」
「見ていた人の証言では、市役所の対応がかなり酷かったらしく、怒ってアクリル板を割ったようなんですけど、それだけで逮捕する事はできないです…」
「アクリル板を弁償したら、釈放してくれますか?」
「被害はアクリル板だけで、誰かに危害を加えたわけではないので…」
小雪と竹田はアクリル板を弁償する事を条件に夏海を釈放してもらう事にした。三回も誤認逮捕した刑事が、上司から叱られている。いつもかばっていた松島もかばわなかったので懲戒免職が決定したようだ。歯軋りしながら夏海を睨み付けている。
「松島さんがあの嫌な刑事さんのしてた事を証言してくれたから、夏海君の無実が証明されたんだよ」
「そっか…。松島さんには後で礼を言わなきゃな…」
「竹田さんも夏海君の事を心配して来てくれたんだよ?」
「ありがとうございます!あっ、それとバウムクーヘン美味しかったです」
「後少しで昼休み終わるから私はもう帰るね?」
「て事は昼飯まだ食ってないんじゃ?」
「お昼は我慢する…。夏海君が無事で良かった」
それから数日後、夏海と小雪は店舗の掃除を終えて飾り付けをしていた。地味婚パーティーにはお世話になった人と、仲の良い友人だけを招いていたが、夏海の知り合いは春海と愛奈と竹田の三人だけだった。小雪の友達が大勢、祝いに来ている。
「小雪~、結婚おめでとう!」
「夏海君、おめでとう~」
春海と竹田は成人している大人なので、ご祝儀を奮発してくれた。小雪の友達は未成年者が多く、参加費として数千円しか持参していなかった。
「こんなにたくさん?ありがとうございます!」
パーティー会場のテーブルには猫の絵の描いてあるオムライスが並べられている。
「猫の絵が描いてある!食べるのがもったいな~い」
「猫カフェがオープンしたら、メニューになる予定なの」
「猫カフェ?絶対に遊びに来るよ」
「ああそれと小雪さんの作った肉じゃがもメニューに加えるつもりだから」
それを聞いた竹田が、嬉しそうにこう言った。
「肉じゃがもあるの?お年寄りが喜びそうね!」
「この街は子供より年寄りの方が多いから受けそうだなと思って」
「肉じゃがも作ってあるから後で持ってくるね」
「でも肝心の猫はどうするつもりなの?猫がいなきゃただの喫茶店だけど」
「保健所に電話したけど条件がめちゃくちゃ厳しくて…」
「それならうちの近所で子猫が生まれたから良かったらもらってくれる?」
「本当ですか?とりあえず一匹だけもらって試しに育ててみようと思ってるんです」
「多頭飼育崩壊だけはさせないように気をつけないとな」
「猫カフェの猫ちゃんは人懐っこい子が良いんだよね?人見知り激しい子は向いてないから」
「実家にも猫がいたけど、人見知りが激しかったな」
「子猫の頃から可愛がってたら人見知りはしなくなるよ」
「保護猫だと人間不信になってる子も多いよね」
「一度でも人間に虐待されると、心を開くまで時間がかかるからな…」
「虐待は一生消えない…心の傷になるからね…」
地味婚パーティーが終わって後片付けをしていると、市役所から知らない職員が様子を見にやって来た。心配してるアピールだけして、黙って帰ってしまう。
「あれ?いつの間にかいなくなってる」
「黙っていなくなるのはいつもの事さ?帰るなら帰るって言ってから帰れよな」
「お茶を出そうと思って用意してたのに、居なくなっちゃってるし…」
「障害者の家でお茶飲んだらダメな決まりらしくて、あいつら絶対に飲まないぞ?」
「えっ、どうして?」
「毒殺されるのが怖いんじゃねぇか?」
「夏海君が不良を毒殺しようとしたって、思ってるのかな?冤罪なのに…」
「いや、毒殺は前に何度かあったらしくてさ。毒殺されるような悪事をしてるって、自覚があるから飲まないのさ?」
「毒殺ってそんな簡単に出来るものなの?どこで手に入れるんだろ…」
「農薬を入れたら一発だろ?実家にも農薬があるだろうから、俺なら簡単に手に入るって警察に疑われたけど、残念ながらオカンの家庭菜園は無農薬栽培だったと言う」
「本当によく調べてから逮捕して欲しいよね?」
「そのうち中山も誰かに刺されて怪我するかもしれねぇけど、自業自得だから犯人の方が可哀想だ…」
「夏海君はそんな事しないでよ?」
「小雪さんの為に踏みとどまってるよ」
「結局、あの時の毒殺の犯人も捕まってないし」
「兵庫県警冤罪で調べてたら、色々とわかったんだ」
「兵庫県警って冤罪が多いの?この街だけで三回も誤認逮捕してるし」
「障害者を冤罪で逮捕してた。しかもその証拠が明らかなでっち上げで、素人の俺でもおかしいってわかるのに、警察はいまだに冤罪を認めてない…」
「そんな事件があったんだ…。隠蔽する事ばっかり考えてるもんね?」
「なんで仲良しの幼女を滅多刺しにして殺した挙句、自分の名前の入った診察券と唾液の付いた吸い殻を、一緒にゴミ袋に入れて近所の山に遺棄するんだよ?」
「あっ、その事件ニュースで見た事あるかも?」
「いくら知的障害があったからって馬鹿にし過ぎだろ?て言うか知的障害がある人とよく話してるけど、良い意味で小学生みたいな人だから、幼女を滅多刺しなんかにしないよ」
「確かにそうだよね…。日本の警察って本当に捜査が杜撰と言うか…」
「診察券と吸殻を簡単に手に入れられるのは市役所の連中さ?犯人は間違いなくあいつらの中の誰かだな」
「勝手に家の中に上がり込んで黙って帰っちゃったもんね?すごく失礼な人たちだなって思ったよ…」
「そのうち中山の奴も逮捕されると思うけど、あいつはサイコパスだから、良い人ぶりながら上手い事、誤魔化して逃げ続けてるが、いつか中山を潰してやろうと思ってる」
「夏海君が逮捕されちゃったら嫌だから、中山さんを包丁で刺したりしないでね?」
「ペンは剣よりも強しって言うだろ?小説に書いて奴の悪事をバラしてやるのが、俺の夢だ」
「本当にそれで逮捕されたら良いけど、市役所の人たちが口裏合わせてるから難しいだろな」
「松島さんみたいに勇気を持って、内部告発してくれる人がいれば良いんだがな…」
完
ご愛読ありがとうございました。この物語は事実を元にしたフィクションです。実在の人物に似たような名前の人がいるかもしれませんが、もしかしたらその人がモデルの可能性はあります。ご了承ください。
「竹田先生…夏海君が…また誤認逮捕されちゃって…これで三回目なんです…」
「えっ!今、仕事中だから手が離せないけど、昼休みになったら警察署を覗いてみるね」
「私は先に行ってます。多分またあの刑事さんに取調べ受けてると思うから…」
小雪ははやる気持ちを押さえて、どうすれば良いか考えながら警察署を目指す。中年の刑事が小雪を見るなりこう言った。
「また君か?松島さん、この子の相手してやって~」
松島と呼ばれた女性刑事が、小雪を別室に連れて行く。
「まさかあなたが、あの子と結婚するなんてね…。あなたのお母さんと私、同級生なんだけど、あの子の情報を教えろってしつこくて…」
「私、本気で夏海君が好きなんです!お母さんに情報を流さないでください…」
「私もね、何度もあの子と話してたら…だんだんわかって来たのよ…」
「松島さんでしたっけ。一体、何がわかったって言うんですか?」
「あの子が嘘をついてるんじゃなくて、周りが嘘をついてるんじゃないか…ってね」
「だから何度もそう言ってるじゃないですか?」
「先輩も調書を偽造してるし、もうかばいきれないわ。私までとばっちりを受けるのはたくさんよ!」
「松島さんも…夏海君の味方をしてくれるの?」
「味方をするってわけじゃなくて、真実を知りたいのよ」
「松島さんが他の人に本当の事を証言してください。あの刑事さんがしていた調書の偽造の事とか…」
「身内を売るような事をしたら上から何を言われるかわからないわ…」
「それでも刑事なんですか?正義感の欠片もない!」
「私だって最初は正義感で刑事を目指したの。でも現実はそんなに甘くなかった…」
「無実の罪で捕まった夏海君を…助けてください。お願いします」
「私もあの子には相当嫌われてしまってるから」
「夏海君はフェミニストだから、松島さんが反省してれば許してくれます」
「性格ドブス!とか言われたの初めてだったから傷ついたのよ?」
「夏海君、幼馴染の愛奈ちゃんにも、性格ドブスって言ってたけど、優しくしてましたよ?」
「あの子は口が悪いのが玉に瑕なのよね。根が良い子なのはわかってきたわ?」
「口が上手くても性格の悪い人よりは、百倍マシだと思いませんか?」
小雪が松島と押し問答をしているところに、竹田がやって来た。慌てて走って来たらしく息を切らしている。松島が竹田の話も聞く事になった。
「夏海君が誤認逮捕されたって聞いたんですが、事情を聞かせてもらえませんか?」
「先輩がまた証拠もないのに無理やり連行したんです。二度ある事は三度あるって言いますけど、今度こそ本当に私たちの首が飛びますよ?」
「夏海君が犯人だと疑われた理由は何ですか?」
「図書館の利用記録に名前が載ってたからなんです。でも同じ日に複数の人がパソコンを利用していたので、鑑識も特定は不可能でした」
「そのデータを見せてもらえませんか?パソコンには詳しいので何かわかるかもしれません」
「パソコン教室の先生だからパソコンには詳しいですよね!」
「申し訳ありませんが、機密情報なのでデータをお見せするわけにはいきません…」
「鑑識にもわからなかったと言う事は、メールを海外のアドレスを経由して送ったと言う事になりますよね?だとしたら夏海君には無理だと思います」
「流石パソコンの先生だけあってよくわかっていらっしゃいますね…。鑑識もパソコンに精通した者が犯人であると推測していて、おそらく犯人は大学またはコンピュータの専門学校を出ている専門知識のある者でしょう」
「じゃあ、夏海君は無関係なんじゃ…」
「ええ、私もそう思います…」
「犯人の特定が困難だった時に、市役所の方から通報があって、あの子が暴れてると聞いた先輩が、逮捕状も出ていないのに手錠をかけてしまって…」
「夏海君が暴れてたって本当ですか?」
「見ていた人の証言では、市役所の対応がかなり酷かったらしく、怒ってアクリル板を割ったようなんですけど、それだけで逮捕する事はできないです…」
「アクリル板を弁償したら、釈放してくれますか?」
「被害はアクリル板だけで、誰かに危害を加えたわけではないので…」
小雪と竹田はアクリル板を弁償する事を条件に夏海を釈放してもらう事にした。三回も誤認逮捕した刑事が、上司から叱られている。いつもかばっていた松島もかばわなかったので懲戒免職が決定したようだ。歯軋りしながら夏海を睨み付けている。
「松島さんがあの嫌な刑事さんのしてた事を証言してくれたから、夏海君の無実が証明されたんだよ」
「そっか…。松島さんには後で礼を言わなきゃな…」
「竹田さんも夏海君の事を心配して来てくれたんだよ?」
「ありがとうございます!あっ、それとバウムクーヘン美味しかったです」
「後少しで昼休み終わるから私はもう帰るね?」
「て事は昼飯まだ食ってないんじゃ?」
「お昼は我慢する…。夏海君が無事で良かった」
それから数日後、夏海と小雪は店舗の掃除を終えて飾り付けをしていた。地味婚パーティーにはお世話になった人と、仲の良い友人だけを招いていたが、夏海の知り合いは春海と愛奈と竹田の三人だけだった。小雪の友達が大勢、祝いに来ている。
「小雪~、結婚おめでとう!」
「夏海君、おめでとう~」
春海と竹田は成人している大人なので、ご祝儀を奮発してくれた。小雪の友達は未成年者が多く、参加費として数千円しか持参していなかった。
「こんなにたくさん?ありがとうございます!」
パーティー会場のテーブルには猫の絵の描いてあるオムライスが並べられている。
「猫の絵が描いてある!食べるのがもったいな~い」
「猫カフェがオープンしたら、メニューになる予定なの」
「猫カフェ?絶対に遊びに来るよ」
「ああそれと小雪さんの作った肉じゃがもメニューに加えるつもりだから」
それを聞いた竹田が、嬉しそうにこう言った。
「肉じゃがもあるの?お年寄りが喜びそうね!」
「この街は子供より年寄りの方が多いから受けそうだなと思って」
「肉じゃがも作ってあるから後で持ってくるね」
「でも肝心の猫はどうするつもりなの?猫がいなきゃただの喫茶店だけど」
「保健所に電話したけど条件がめちゃくちゃ厳しくて…」
「それならうちの近所で子猫が生まれたから良かったらもらってくれる?」
「本当ですか?とりあえず一匹だけもらって試しに育ててみようと思ってるんです」
「多頭飼育崩壊だけはさせないように気をつけないとな」
「猫カフェの猫ちゃんは人懐っこい子が良いんだよね?人見知り激しい子は向いてないから」
「実家にも猫がいたけど、人見知りが激しかったな」
「子猫の頃から可愛がってたら人見知りはしなくなるよ」
「保護猫だと人間不信になってる子も多いよね」
「一度でも人間に虐待されると、心を開くまで時間がかかるからな…」
「虐待は一生消えない…心の傷になるからね…」
地味婚パーティーが終わって後片付けをしていると、市役所から知らない職員が様子を見にやって来た。心配してるアピールだけして、黙って帰ってしまう。
「あれ?いつの間にかいなくなってる」
「黙っていなくなるのはいつもの事さ?帰るなら帰るって言ってから帰れよな」
「お茶を出そうと思って用意してたのに、居なくなっちゃってるし…」
「障害者の家でお茶飲んだらダメな決まりらしくて、あいつら絶対に飲まないぞ?」
「えっ、どうして?」
「毒殺されるのが怖いんじゃねぇか?」
「夏海君が不良を毒殺しようとしたって、思ってるのかな?冤罪なのに…」
「いや、毒殺は前に何度かあったらしくてさ。毒殺されるような悪事をしてるって、自覚があるから飲まないのさ?」
「毒殺ってそんな簡単に出来るものなの?どこで手に入れるんだろ…」
「農薬を入れたら一発だろ?実家にも農薬があるだろうから、俺なら簡単に手に入るって警察に疑われたけど、残念ながらオカンの家庭菜園は無農薬栽培だったと言う」
「本当によく調べてから逮捕して欲しいよね?」
「そのうち中山も誰かに刺されて怪我するかもしれねぇけど、自業自得だから犯人の方が可哀想だ…」
「夏海君はそんな事しないでよ?」
「小雪さんの為に踏みとどまってるよ」
「結局、あの時の毒殺の犯人も捕まってないし」
「兵庫県警冤罪で調べてたら、色々とわかったんだ」
「兵庫県警って冤罪が多いの?この街だけで三回も誤認逮捕してるし」
「障害者を冤罪で逮捕してた。しかもその証拠が明らかなでっち上げで、素人の俺でもおかしいってわかるのに、警察はいまだに冤罪を認めてない…」
「そんな事件があったんだ…。隠蔽する事ばっかり考えてるもんね?」
「なんで仲良しの幼女を滅多刺しにして殺した挙句、自分の名前の入った診察券と唾液の付いた吸い殻を、一緒にゴミ袋に入れて近所の山に遺棄するんだよ?」
「あっ、その事件ニュースで見た事あるかも?」
「いくら知的障害があったからって馬鹿にし過ぎだろ?て言うか知的障害がある人とよく話してるけど、良い意味で小学生みたいな人だから、幼女を滅多刺しなんかにしないよ」
「確かにそうだよね…。日本の警察って本当に捜査が杜撰と言うか…」
「診察券と吸殻を簡単に手に入れられるのは市役所の連中さ?犯人は間違いなくあいつらの中の誰かだな」
「勝手に家の中に上がり込んで黙って帰っちゃったもんね?すごく失礼な人たちだなって思ったよ…」
「そのうち中山の奴も逮捕されると思うけど、あいつはサイコパスだから、良い人ぶりながら上手い事、誤魔化して逃げ続けてるが、いつか中山を潰してやろうと思ってる」
「夏海君が逮捕されちゃったら嫌だから、中山さんを包丁で刺したりしないでね?」
「ペンは剣よりも強しって言うだろ?小説に書いて奴の悪事をバラしてやるのが、俺の夢だ」
「本当にそれで逮捕されたら良いけど、市役所の人たちが口裏合わせてるから難しいだろな」
「松島さんみたいに勇気を持って、内部告発してくれる人がいれば良いんだがな…」
完
ご愛読ありがとうございました。この物語は事実を元にしたフィクションです。実在の人物に似たような名前の人がいるかもしれませんが、もしかしたらその人がモデルの可能性はあります。ご了承ください。
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