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第9話「一歩進む」
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後ろに回されたフードの中から、見慣れた栗色の髪が現れる。
首を振る動きと連動して、風に流れる。
「もし分かってくれたなら、言おうと思っていた事があります」
「なに、かな?」
霜降は浮かび上がる期待を、押さえつける。
ダメだ、大人しく聞くんだ。
「わたしと結婚してくれませんか?」
「は?」
「もう成人しました。親の同意無しでも」
「いやいや、待って。
まだ付き合ってもいないよね!?」
皐月は距離を詰め、霜降をきつく腕の中にしまい込む。
呼吸が困難になる程。
「わたしには、あなただけです」
鼓膜を打つ囁きは、甘さだけでなく
固い決意も秘めていた。
時間は永遠ではない。いつ終わりを告げるか分からない。
(アンタはうまくやれよ)
復讐者の言葉を思い返す。
霜降に、返事を迷う必要は無かった。
役場までの道を、手を繋いで歩く。
人並みに見えるようになった訳じゃない。問題はきっと山のようにある。
それでも、少しでも長く、一緒に居たい。
首を振る動きと連動して、風に流れる。
「もし分かってくれたなら、言おうと思っていた事があります」
「なに、かな?」
霜降は浮かび上がる期待を、押さえつける。
ダメだ、大人しく聞くんだ。
「わたしと結婚してくれませんか?」
「は?」
「もう成人しました。親の同意無しでも」
「いやいや、待って。
まだ付き合ってもいないよね!?」
皐月は距離を詰め、霜降をきつく腕の中にしまい込む。
呼吸が困難になる程。
「わたしには、あなただけです」
鼓膜を打つ囁きは、甘さだけでなく
固い決意も秘めていた。
時間は永遠ではない。いつ終わりを告げるか分からない。
(アンタはうまくやれよ)
復讐者の言葉を思い返す。
霜降に、返事を迷う必要は無かった。
役場までの道を、手を繋いで歩く。
人並みに見えるようになった訳じゃない。問題はきっと山のようにある。
それでも、少しでも長く、一緒に居たい。
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