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第8話 心霊写真
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ここ最近霊感がついてしまったせいなのか何なのか、心霊写真がよく撮れてしまう。
オーブなんかはほぼ毎回のように写ってしまう。なので写真を撮るときは連写してオーブが写っていないものだけ保存して他はすぐ消去してしまう。
風景を撮るとありえない位置に人影が写っていたり、人を撮ると腕が無かったり、足が無かったりすることがしょっちゅうだった。
ある日、本部から店内の写真を撮影して提出してくださいとの課題がきていた。
自分の勤めている薬局は保険調剤薬局だ。だが本来の業務、処方箋を受け取りそれを元に調剤しお薬を交付するだけではなく、地域の方の健康をサポートしていくことや地域の需要に合わせた市販薬、漢方薬、健康食品、血圧計、体脂肪計なども販売しなければならない。
店舗によってはリラックス促進のためのアロマグッズを置いてみたり、心地よい気分になれるようにツボ押しグッズなどを置いて販売してみたりなど色々している。
新米である僕は今月はどのような業務に力を入れて働いたのか、などをまとめたレポートを提出しなくてはならない。
今月の課題はどういった物に需要があって、購買意欲をどのように刺激して、買おうかどうか迷っているような商品をどのようにアピールしているのか、店内のレイアウトを工夫しどれだけ目に留まりやすくしているか、どれだけ相談してみようという環境にしているかを報告せよ。とのことだった。
その課題を見たとき僕は、『うっわー、マジかよ。写真撮るの?撮りたくないんですけど、自分の勤めてる薬局に変なものが写ったら出勤しづらくなるじゃん』と思ってしまった。
気乗りはしなかったが課題なので仕方がないと思い、何も写るなよと心の中で唱えながら撮影をし始めた。
まず漢方薬の棚を撮影する。そこは特に何も変なものは写っていなかったのでホッとする。
続いて健康食品コーナー、健康器具コーナーと撮影していくが特に何もない状態が続きホッとしていたのだが、市販薬のコーナーを撮影したときにそれは写り込んでしまった。
ある商品に向かって無数の腕が伸びてきていて、手をヒラヒラとさせているような描写だった。
空中に腕の肘から先だけが浮き上がっていて、それが無数にあり、その腕どれもが競うように何かを掴もうとした感じで指を動かしているように見える描写が写り込んでいた。
「うわっ!!」
僕はそのあまりにも不気味な光景に思わず声を上げてしまった。
その声を聞いた先輩が心配したような感じで近寄ってくる。
「どうしたんだよ?」
先輩は不思議そうな感じで僕の顔を覗き込んでくる。僕はあれ、あれと声にならないような歯切れの悪い声で、思わず放り投げてしまったスマホの方を指差した。
先輩はスマホに近づき拾い上げると画面を見る。一瞬体をビクッとさせたようだったが、これまでに数多くの心霊体験をしてきているだけあって、すぐに冷静になって僕に近づいてくるとこう話しかけてきた。
「あー、これ大丈夫だよ。亡くなった方の霊じゃない」
その冷淡な反応に一瞬怒りを覚え、『はー?何でそんなこと分かるんだよ』と思ったが、僕は先輩ほど心霊に対する知識というものはないので、その先の言葉を黙って聴くことにした。
先輩が言うにはこの写真からは怒りとか恨みとか妬みとかそういう負の感情は感じられず、どちらかというと欲しいけど、今は我慢しなくてはいけないような名残惜しさを感じるような感情が伝わってくるとのことだった。
ちょっと何言っているのか意味が分からなかったので、さらに詳しい説明を求めると、要するに買おうかどうか迷ってるけど、とりあえず今回は我慢して後日よく考えた上で決めようとしている感情が伝わってくるような気がするのだとか。
僕がはてなマークを頭に浮かべているような顔をしていると、先輩はさらに続けた。
要するに負の感情は感じられないので、亡くなった方の念が残っていてその念が具現化して現れたものじゃなくて、欲求とか渇望しているような感情が感じられるので生きている人が物を欲しているんじゃないかってことだった。
「言ってる意味分かる?」
「はぁー、何となく」
「だからー、この腕が向いてる先にある物を見てみろよ」
よく見てみると無数の腕は一定方向に向かって伸びているようだった。その腕の先には解熱鎮痛剤が置いてあった。
先輩が言うには感染症が流行した時、解熱鎮痛剤が不足して入手することができなくて辛い思いをした。もしくは入手するのにかなり苦労し、しんどい思いをした方々がお前の作ったポップを見て買おうかどうか迷ってるが、買わずに帰ったのだろう。その念が残っていてこんな描写となっているんだろうとのことだった。
「良かったじゃん。お前の作ったポップは販売意欲を湧き立てる物だったっていうことだよ」
それは喜んで良いものなのだろうか。判断材料が先輩の言葉しかないので、本当なのかどうか確かめようがない。なのでそういうことにしようと思った。
お薬にも消費期限がある。何かあった時のための備蓄は必要だと思うが、今買うべきかどうか迷うとこだなーっと、判断に迷っている方々の腕なのだろーと取り敢えず思うことにした。
「じゃあ、このポップは自信持って本部に報告して良いってことですよね?でもこの写真絶対送っちゃダメなヤツですよね?」
「だな」
オーブなんかはほぼ毎回のように写ってしまう。なので写真を撮るときは連写してオーブが写っていないものだけ保存して他はすぐ消去してしまう。
風景を撮るとありえない位置に人影が写っていたり、人を撮ると腕が無かったり、足が無かったりすることがしょっちゅうだった。
ある日、本部から店内の写真を撮影して提出してくださいとの課題がきていた。
自分の勤めている薬局は保険調剤薬局だ。だが本来の業務、処方箋を受け取りそれを元に調剤しお薬を交付するだけではなく、地域の方の健康をサポートしていくことや地域の需要に合わせた市販薬、漢方薬、健康食品、血圧計、体脂肪計なども販売しなければならない。
店舗によってはリラックス促進のためのアロマグッズを置いてみたり、心地よい気分になれるようにツボ押しグッズなどを置いて販売してみたりなど色々している。
新米である僕は今月はどのような業務に力を入れて働いたのか、などをまとめたレポートを提出しなくてはならない。
今月の課題はどういった物に需要があって、購買意欲をどのように刺激して、買おうかどうか迷っているような商品をどのようにアピールしているのか、店内のレイアウトを工夫しどれだけ目に留まりやすくしているか、どれだけ相談してみようという環境にしているかを報告せよ。とのことだった。
その課題を見たとき僕は、『うっわー、マジかよ。写真撮るの?撮りたくないんですけど、自分の勤めてる薬局に変なものが写ったら出勤しづらくなるじゃん』と思ってしまった。
気乗りはしなかったが課題なので仕方がないと思い、何も写るなよと心の中で唱えながら撮影をし始めた。
まず漢方薬の棚を撮影する。そこは特に何も変なものは写っていなかったのでホッとする。
続いて健康食品コーナー、健康器具コーナーと撮影していくが特に何もない状態が続きホッとしていたのだが、市販薬のコーナーを撮影したときにそれは写り込んでしまった。
ある商品に向かって無数の腕が伸びてきていて、手をヒラヒラとさせているような描写だった。
空中に腕の肘から先だけが浮き上がっていて、それが無数にあり、その腕どれもが競うように何かを掴もうとした感じで指を動かしているように見える描写が写り込んでいた。
「うわっ!!」
僕はそのあまりにも不気味な光景に思わず声を上げてしまった。
その声を聞いた先輩が心配したような感じで近寄ってくる。
「どうしたんだよ?」
先輩は不思議そうな感じで僕の顔を覗き込んでくる。僕はあれ、あれと声にならないような歯切れの悪い声で、思わず放り投げてしまったスマホの方を指差した。
先輩はスマホに近づき拾い上げると画面を見る。一瞬体をビクッとさせたようだったが、これまでに数多くの心霊体験をしてきているだけあって、すぐに冷静になって僕に近づいてくるとこう話しかけてきた。
「あー、これ大丈夫だよ。亡くなった方の霊じゃない」
その冷淡な反応に一瞬怒りを覚え、『はー?何でそんなこと分かるんだよ』と思ったが、僕は先輩ほど心霊に対する知識というものはないので、その先の言葉を黙って聴くことにした。
先輩が言うにはこの写真からは怒りとか恨みとか妬みとかそういう負の感情は感じられず、どちらかというと欲しいけど、今は我慢しなくてはいけないような名残惜しさを感じるような感情が伝わってくるとのことだった。
ちょっと何言っているのか意味が分からなかったので、さらに詳しい説明を求めると、要するに買おうかどうか迷ってるけど、とりあえず今回は我慢して後日よく考えた上で決めようとしている感情が伝わってくるような気がするのだとか。
僕がはてなマークを頭に浮かべているような顔をしていると、先輩はさらに続けた。
要するに負の感情は感じられないので、亡くなった方の念が残っていてその念が具現化して現れたものじゃなくて、欲求とか渇望しているような感情が感じられるので生きている人が物を欲しているんじゃないかってことだった。
「言ってる意味分かる?」
「はぁー、何となく」
「だからー、この腕が向いてる先にある物を見てみろよ」
よく見てみると無数の腕は一定方向に向かって伸びているようだった。その腕の先には解熱鎮痛剤が置いてあった。
先輩が言うには感染症が流行した時、解熱鎮痛剤が不足して入手することができなくて辛い思いをした。もしくは入手するのにかなり苦労し、しんどい思いをした方々がお前の作ったポップを見て買おうかどうか迷ってるが、買わずに帰ったのだろう。その念が残っていてこんな描写となっているんだろうとのことだった。
「良かったじゃん。お前の作ったポップは販売意欲を湧き立てる物だったっていうことだよ」
それは喜んで良いものなのだろうか。判断材料が先輩の言葉しかないので、本当なのかどうか確かめようがない。なのでそういうことにしようと思った。
お薬にも消費期限がある。何かあった時のための備蓄は必要だと思うが、今買うべきかどうか迷うとこだなーっと、判断に迷っている方々の腕なのだろーと取り敢えず思うことにした。
「じゃあ、このポップは自信持って本部に報告して良いってことですよね?でもこの写真絶対送っちゃダメなヤツですよね?」
「だな」
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