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第十一章 地震の神を封印せよ

第6話 ロキ神の刺客

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「よし!じゃあ早速、ロキ神に会いにいってみるか?」

 俺がそう言うと3人は固まってしまっていた。周辺にこれだけ巨大なオーラが張り巡らされているんだ、二の足を踏むのも当然か。

「近づくだけなら何もして来ないだろうから、ビビってないで行くぞ」」

「誰がビビってんだよ!」

「あのウラガーンみたいなのがいるんでしょ。そりゃービビるわよ」

「神とはどれほどの存在なのだろうか?」

 俺の言葉に三者三様の反応だった。

「よーし、じゃあ張り切って行くぞー」

「お、おー」

「張り切れないわよ」

 ジャメルはロキ神のいる方向を見つめ押し黙っていた。住民達は震源地は街から数十キロの位置にあると言っていた。

 震源地はロキ神のオーラが感じられる場所と一致しているようだ。震源地に向かう、それはロキ神がいる場所に向かうことと同じということのようだ
 
 その周りの3箇所から先人のオーラを感じることができる。

 敵?なのだろう。3本の支柱の前にオーラを持った者達がいるのが感じられた。

「!!」
 
 それと何かこちらに向かってくるものがいる?

 ロキ神が俺達の存在に気付き、刺客を送ってきたのだろうか?

『我々は冥界の戦士、ヘル様のご加護により再び人間界に降り立つ事が出来た。乱れた心を持つ人間などいかがなものか。皆殺しにしてやる』

「!!」

 敵の声が聞こえたと思った瞬間サディの表情が強張った。

「サディ?今の声、聞こえたのか?」

「ええ、聞こえたわ?今の何?」

「は?は?何だ声って?」

「静かに!」

 サイードの問いかけにサディは声を荒げた。ジャメルはその言葉を聞いて耳を澄ませ、周辺を注視する。

「サディ、あれが見えるか?と言うより感じれるか?」

「ええ、分かる。何かが近づいてきている」

「サイードとジャメルは?」

 サイードは全然分かってない様子で、ジャメルも首を横に振っていた。

「何あれ!?」

 だいぶ近づいてきたところでサディが声を上げた。

 目の前に半透明の鎧を纏った兵士達が行進してきている。

 足並みを揃え行進しているが足音が聞こえない。口を動かし何か言葉を発しているようだが音としては何も聞こえてこない。

 分かるのは明らかな敵意を持っているということだ。どうやら本気でこの地の人間たちを皆殺しにしようとしているらしい。

 それに気になるのはこの位置だ。

 俺達は裁判所から真っ直ぐロキ神に向かって行っていた。ここで鉢合うということは、こいつ等?裁判所にいた人間を皆殺しにするつもりで進軍しているってことか?

 俺達ではなく、この地の人間を皆殺しにするべく送り込んできたのか?

「何だあの気色の悪いのは?あんなの俺が蹴散らしてやる」

 かなりの至近距離まで近づいたところでサイードはようやく気づいたようで、そう言って飛び出して行った。

 生まれた土地に古来から伝わるという槍を振り上げ襲いかかった。

 サイードの槍は最前列にいる兵士を薙ぎ払った、、。

 と、思ったが空を切っていた。というより兵士の体をすり抜けていっていた。

 振り抜いた槍の遠心力でサイードはバランスを崩し倒れこむ、、。

 次の瞬間、一人の兵士が剣を振り上げサイードの脳天に振り下ろした。

 直撃した!と思ったが、切られておらず、剣は体をすり抜け地面へと到達する。

「ビックリしたー!死んだかと思った!!」

 平気そうな顔をしていたサイードだったが、眩暈に襲われたのだろうか、立ち上がったと思ったら地面にへたり込んでしまった。

 兵士達は次々と剣を振り上げサイードに襲いかかっていく。

 それを見たサディは、移動魔法を使い俺達の元へサイードの身体を引き寄せた。

「何だよ!?どうなってんだ!?」

「何だよじゃない!勝手に飛び出していくな!」

 サディに凄まれサイードは縮こまってしまっていた。

「相手は実体を持たない冥界の戦士だ。闇雲に突っ込むな」

「実体を持たないって、じゃあなんであいらの攻撃は俺にダメージを与えてんだよ!」

「オーラだ」

「オーラ?」

「実体を攻撃するのではなく、オーラで相手のオーラに衝撃を与えているんだ」

「くっそー、肝心なこと忘れてたぜ、槍にオーラを込めるの忘れてた」

 そう言うと再びサディに怒られていた。

「時間がない。一掃させてもらうぞ」

 雑魚だが数が多い、あんなの一匹一匹相手にしていたらキリがないと思った俺はオーラを手に集中させる。

「凍結魔法!」


『何だ!実体を持たない我々の体が凍える!?』


 兵士達は凍結魔法に包まれ光の点へと変わって次々と空中の塵と化していく、、。

「なっ!す、すげー!!」

 その光景にサイードは度肝を抜かれ、ジャメルも茫然自失になってしまっていた。

「剣だけの勝負でも足元にも及ばないというのに、これほどの魔法を使えるのか?」

「何言っているのよ。あなた達ひょうのこと全然知らないのね」

「お前等、悠長に会話している場合ではないぞ、本番はこれからだぞ」

 兵士が消えたその先に半身は煌びやか、半身は禍々しい姿の女性が立っていた。

 兵士を消され怒りの表情を浮かべ威圧的なオーラを放ってきていた。

「な、何だあれ!?」

 サイードはその禍々しい姿に驚きの声を上げる。ジャメルもその姿を見て冷や汗を流しているようだった。

「あれが今回の中ボス?」

 サディは余裕からなのだろうか、面白い表現を使ってきた。

「ああ、いいか。俺たちの戦いはオーラだ。相手がどんな技、どんな魔法を使おうがオーラが全てものをいう。自分のオーラを盾とし剣とせよ。それを忘れなければアイツとも互角に戦えるはずだ。敵の姿に惑わされるな、いつも通りの訓練通りの実力を発揮しアイツを倒してみせろ」

「獅子は我が子を谷底に落とすというやつですね。分かりました。その試練引き受けましょう」

 ジャメルは一歩前に出るとオーラを右手に集中し出す。

「我の手刀は修行を経て鋭く磨き上げられた、参る、、」

 走り出したジャメルに抵抗するように禍々しい女性は魔法を放ってきた、渦を巻くように放たれた煙状のものは地上の草花をしならせ、変色させていく、、。

 ジャメルは臆せず煙を切り上げた、、。

 煙を切り裂きその勢いのままに女性に手刀を振り上げ襲いかかる。

 女性は手のような触手のようなものを突き出し斬撃を受け止めると、オーラが手に集中しだす、、。

 攻撃魔法を放とうとしているのは明らかだった。

 ジャメルも行動を起こしていた。攻撃魔法の影響が及んでいない頭上に飛び上がると手刀を脳天へ振り下ろそうとしてきた、、。

 それだけじゃなかった。サイードも走っていて、女性を槍で薙ぎ払おうと振り上げた、、。

「我のオーラを得て、エネルギーよ活性化せよ!」

「フラシティー!」

 女性から放たれた光はジャメル、サイードの体ごと吹き飛ばした。

「火炎魔法!」

 今度はサディが火炎魔法を放った。

 炎は轟音をあげ襲いかかる。女性は光を集中させサディの炎と衝突させた、、。

 女性の活性化されたエネルギーのオーラとサディの火炎のオーラがぶつかり合う、、。

 衝突し一度は止まった炎だったが、サディのオーラの高まりとともに燃え上がり、光を呑み込み女性へと襲いかかった、、。

「ぎゃーーっ!!」

 サディの火炎魔法の方が勝っていたようだ。女性を呑み込み燃えあがり消失させていく、、。

『お、おのれ、人間め、、』

 断末魔の叫びとともに消失していった、、。

「チッ!美味しいとこ持っていきやがって」

 サイードは悔しそうにサディを睨みつけていた。

「まだまだ俺たちの刃は未熟だということだ」

 ジャメルも悔しそうにしていたがサイードの事を嗜めていた。

「凄い!予想以上の善戦っぷりだったな、皆んなこんなに強くなっていたのか!俺は驚いたぞ!」

「お前等3人に任務を与える。これから3方向に向かって支柱を復活させるんだ。支柱にはそれぞれ守護しているものがいる。心して行くんだぞ」

「私達がそれぞれ支柱に向かうの?ひょうはどうするの?」

「俺はこのままロキ神の元まで行きそのオーラを消耗させる」

「えっ!ちょっと!一人で大丈夫なの?」

「サディちゃん、そんなに心配なら早く支柱復活させて、俺の元に来てちょうだいね」

 俺がそう言うとサディは呆れた顔をしていた。

「言っておくけど神の世界には死という概念はない。今の女性もいつか、復活してくるだろう。これからは時間との戦いだ」

「早々に支柱を復活させ、この地に結界を張るぞ」

「はっ」

「分かったわ」

「了解」

「誰が一番早く復活させれるか競争だな」

「負けないわよー」

「愚問だ」

 そう言って3人はそれぞれの場所に向かって走って行った。
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