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第十一章 地震の神を封印せよ
第2話 地震の神、ロキ神
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「ロキ神?」
その日、いつものようにソフロニアに呼び出された俺は、いつものようにいつもの場所に赴くといきなりその名を告げられた。
真城師匠から聞いたことあるような、ないような名前だった。誰だっけ?
「ひょう?真城は教えたと言っていたぞ。知ってるよな?」
眉間に皺を寄せ顎に手を当て右上を見上げるようにしていると、例のごとく冷たい視線を向けられてしまった。
俺の表情を覗き込むようにしてきたソフロニアは、コイツ絶対覚えてないなと思ったのだろう大きくため息を吐いた。
「全くお前って奴は、説明しているような時間がない緊急指令だったらどうするんじゃ」
呆れた様子でそう言われてしまった。なんか以前にも言われたようなセリフだな?
ていうか、しょうがないだろーが、ぜんぜん興味がないんだから、興味がない言葉ほど記憶に残らないものだろ。
「大丈夫ですよ。記憶に残らない程度の神ってことですから」
「開き直んな!いいかロキ神はな、地震を引き起こすと言われている巨人族の神じゃ。その者のせいである街は、頻発する地震にみまわれ住人達は不安な日々を送っている」
「巨人が理由もなく暴れ回って地震になってるんですか?」
「そうではない。人間がロキ神の守る大地に傷をつけてしまっているのじゃ」
大地に傷?なんか採掘でもしてんのかな?
「強欲な人間が神の大地のものを勝手に取って怒らせたんでしょ。なら怒らせとけばいいじゃないですか?」
そう言うとソフロニアはまた大きくため息を吐いた。
「神の怒りは自然の怒り、あまりにも規模が大きすぎて無関係の者にまで被害が及んでしまう。我々はそれを止めなくてはならない。何度言ったら分かるんじゃ、この戯けがっ!」
戯けって!何で俺が強欲な人間のせいで怒られないといけないんだよ。
「地下資源ちょっと取ったからってそんなに怒ることないじゃないですか?」
神なんだからケチケチしてないで資源くらい分けてやれよ。どーせお前等には必要のないものだろ。
「そういう問題ではない。地下深くまで掘削し、地殻に影響を及ぼしてしまうことを神は憂いでおられるのじゃ」
ち、か、く?近く?地下深くまで掘削すると神の近くに影響を及ぼすの?
「お前、今言った意味ぜんぜん理解してないだろ」
げっ!バレたっ!
「要するに人間が神の領域にまで手を及ぼそうとしているから怒ってるの」
なんか声を荒げられたんですけど。
「なら人間が悪いんだから、ほっときゃいいじゃないですか」
「だから!住人たちが困ってると言ったじゃろ」
また怒られたし。
「じゃあ採掘してる奴らを皆殺しにすればいいってこと?」
「何でお前はそういう考えになるんじゃ。極端過ぎるじゃろ」
じゃあどうすればいいんだよ。
「人間が悪さしているから神が怒ってるんでしょ。それなのに神様封じちゃうんですか?」
「そうではない。神の怒りを鎮めに行くのじゃ」
「仲裁に行けってことですか?めんどくさ!」
「私の指令を『めんどくさ』とは何事じゃ!この罰当たりメが!」
いや、普通に面倒くさいだろーが、何で俺がそんなことしなくちゃならないんだよ。
要するにあまり地下の方にまで手を出すなと言っている神が、人の行動を制限するために地震を頻発させ人が住めないような環境にしているってことだろ?
そんなのそっちで勝手に話合いさせろよ。
めんどくせーなー、ハッキリ地下に手を出すと怒りますよって言えばいいのに。
つーか神なんだから周辺に影響を及ぼすような力使わないで、採掘業者だけを神通力使って殺せよ。
「お前、今まーたよからぬこと考えているだろ」
げっ!また見抜かれてるし。
「採掘止めれば終わりじゃないですか?わざわざ行く必要あります?」
「神の理(ことわり)はもう分かりました。この後の方針は人間で決めるから、どうかお怒りをお鎮めになって下さいとお願いしてくるんじゃ」
??
「鎮めるって、封印してくるんでしょ。神を封印してしまったら、人間どもは増長してしまうんじゃないですか?」
「だからお前を派遣するんじゃろ。お前の目で見て神の神罰を受けなくてはならないような人間でないと判断したのなら、その神罰を止めるんじゃ」
「はーい、じゃあもう神罰受けても仕方ない奴と判断しましたー。全員死刑でいいと思いまーす」
「行ってもいないのに!分かる訳ないじゃろ!お前が行かぬなら、奏音に頼むまでじゃ」
うっ!そういえば引き受けると思いやがって、相変わらずイケすかないやろーだ。
「じゃあ見てみて救う価値のない人間と判断したのなら、ほっといて良いんですね?」
「好きにすればいい」
チッ!現地に赴けば流石に全員、神罰を受けるべき人間だったという判断にはならないだろう、と見越しているのだろう。
人間全てが悪い心を持っている訳でもないだろうし、採掘業者も悪気があって採掘しているのではないだろうし。
あー、面倒くさっ、神様が怒ってるから神の領域には手を出すなと言っても、人間なんて聞きゃーしないんだから。仲裁とか面倒くさいんだよなー。
「そうだ、今回はサディ、ジャメル、サイードを連れ行ってくれ」
「3人も同時にですか?危険すぎません?守り切れないかもしれないですよ?」
「最低限のことは教えてある。自分の身くらい自分で守れるはずじゃ、大丈夫じゃ」
最低限のことくらいで大丈夫なのかよ。
「その者達が早く成長してくれれば、お前も奏音も負担が減るだろう。それに今回は人間を全滅させようとしてくる神ではなく、人間の行為が神の怒りを買ってしまっているだけだ。人間の行為をとめれば神は鎮まるだろう。任せたぞ」
そんなに簡単にいくものなのだろうか?それに俺としては神の怒りを鎮めることより、人間の怒りを鎮める方が苦手なんですけど。
その日、いつものようにソフロニアに呼び出された俺は、いつものようにいつもの場所に赴くといきなりその名を告げられた。
真城師匠から聞いたことあるような、ないような名前だった。誰だっけ?
「ひょう?真城は教えたと言っていたぞ。知ってるよな?」
眉間に皺を寄せ顎に手を当て右上を見上げるようにしていると、例のごとく冷たい視線を向けられてしまった。
俺の表情を覗き込むようにしてきたソフロニアは、コイツ絶対覚えてないなと思ったのだろう大きくため息を吐いた。
「全くお前って奴は、説明しているような時間がない緊急指令だったらどうするんじゃ」
呆れた様子でそう言われてしまった。なんか以前にも言われたようなセリフだな?
ていうか、しょうがないだろーが、ぜんぜん興味がないんだから、興味がない言葉ほど記憶に残らないものだろ。
「大丈夫ですよ。記憶に残らない程度の神ってことですから」
「開き直んな!いいかロキ神はな、地震を引き起こすと言われている巨人族の神じゃ。その者のせいである街は、頻発する地震にみまわれ住人達は不安な日々を送っている」
「巨人が理由もなく暴れ回って地震になってるんですか?」
「そうではない。人間がロキ神の守る大地に傷をつけてしまっているのじゃ」
大地に傷?なんか採掘でもしてんのかな?
「強欲な人間が神の大地のものを勝手に取って怒らせたんでしょ。なら怒らせとけばいいじゃないですか?」
そう言うとソフロニアはまた大きくため息を吐いた。
「神の怒りは自然の怒り、あまりにも規模が大きすぎて無関係の者にまで被害が及んでしまう。我々はそれを止めなくてはならない。何度言ったら分かるんじゃ、この戯けがっ!」
戯けって!何で俺が強欲な人間のせいで怒られないといけないんだよ。
「地下資源ちょっと取ったからってそんなに怒ることないじゃないですか?」
神なんだからケチケチしてないで資源くらい分けてやれよ。どーせお前等には必要のないものだろ。
「そういう問題ではない。地下深くまで掘削し、地殻に影響を及ぼしてしまうことを神は憂いでおられるのじゃ」
ち、か、く?近く?地下深くまで掘削すると神の近くに影響を及ぼすの?
「お前、今言った意味ぜんぜん理解してないだろ」
げっ!バレたっ!
「要するに人間が神の領域にまで手を及ぼそうとしているから怒ってるの」
なんか声を荒げられたんですけど。
「なら人間が悪いんだから、ほっときゃいいじゃないですか」
「だから!住人たちが困ってると言ったじゃろ」
また怒られたし。
「じゃあ採掘してる奴らを皆殺しにすればいいってこと?」
「何でお前はそういう考えになるんじゃ。極端過ぎるじゃろ」
じゃあどうすればいいんだよ。
「人間が悪さしているから神が怒ってるんでしょ。それなのに神様封じちゃうんですか?」
「そうではない。神の怒りを鎮めに行くのじゃ」
「仲裁に行けってことですか?めんどくさ!」
「私の指令を『めんどくさ』とは何事じゃ!この罰当たりメが!」
いや、普通に面倒くさいだろーが、何で俺がそんなことしなくちゃならないんだよ。
要するにあまり地下の方にまで手を出すなと言っている神が、人の行動を制限するために地震を頻発させ人が住めないような環境にしているってことだろ?
そんなのそっちで勝手に話合いさせろよ。
めんどくせーなー、ハッキリ地下に手を出すと怒りますよって言えばいいのに。
つーか神なんだから周辺に影響を及ぼすような力使わないで、採掘業者だけを神通力使って殺せよ。
「お前、今まーたよからぬこと考えているだろ」
げっ!また見抜かれてるし。
「採掘止めれば終わりじゃないですか?わざわざ行く必要あります?」
「神の理(ことわり)はもう分かりました。この後の方針は人間で決めるから、どうかお怒りをお鎮めになって下さいとお願いしてくるんじゃ」
??
「鎮めるって、封印してくるんでしょ。神を封印してしまったら、人間どもは増長してしまうんじゃないですか?」
「だからお前を派遣するんじゃろ。お前の目で見て神の神罰を受けなくてはならないような人間でないと判断したのなら、その神罰を止めるんじゃ」
「はーい、じゃあもう神罰受けても仕方ない奴と判断しましたー。全員死刑でいいと思いまーす」
「行ってもいないのに!分かる訳ないじゃろ!お前が行かぬなら、奏音に頼むまでじゃ」
うっ!そういえば引き受けると思いやがって、相変わらずイケすかないやろーだ。
「じゃあ見てみて救う価値のない人間と判断したのなら、ほっといて良いんですね?」
「好きにすればいい」
チッ!現地に赴けば流石に全員、神罰を受けるべき人間だったという判断にはならないだろう、と見越しているのだろう。
人間全てが悪い心を持っている訳でもないだろうし、採掘業者も悪気があって採掘しているのではないだろうし。
あー、面倒くさっ、神様が怒ってるから神の領域には手を出すなと言っても、人間なんて聞きゃーしないんだから。仲裁とか面倒くさいんだよなー。
「そうだ、今回はサディ、ジャメル、サイードを連れ行ってくれ」
「3人も同時にですか?危険すぎません?守り切れないかもしれないですよ?」
「最低限のことは教えてある。自分の身くらい自分で守れるはずじゃ、大丈夫じゃ」
最低限のことくらいで大丈夫なのかよ。
「その者達が早く成長してくれれば、お前も奏音も負担が減るだろう。それに今回は人間を全滅させようとしてくる神ではなく、人間の行為が神の怒りを買ってしまっているだけだ。人間の行為をとめれば神は鎮まるだろう。任せたぞ」
そんなに簡単にいくものなのだろうか?それに俺としては神の怒りを鎮めることより、人間の怒りを鎮める方が苦手なんですけど。
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