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第七章 悪魔祓いの手伝いをさせられた天才少女
第11話 理不尽に命を奪われた人達
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「お姫さん。まだ終わってなんかいないわよ」
いつからこの場にいたのだろうか?後ろの壁に背を預けながら立っている女性がいた。
みたこともない女性だ。
きっと学校の関係者ではないだろう。親しげに姫妃さんを呼んでいることから、姫妃さんの知り合いなのだろうとは思うが。
「何んなの?この感じは?」
寒い!昼間だというのに急に夜にでもなったかのように暗くなり、空気が冷たくなってきた。
姫妃さんも何事か分かっていないのか、しきりにあたりを見渡している。
そして、呻き声ともとれるような低く、不気味な音のようなものが響き渡り出した。
「今度は何!」
目の前を何かが通り過ぎたような気がしたので、目で追ってみるがそこには何も見当たらなかった。
「!!」
また目の前を何かが横切って行った。
「何これ!」
心霊番組で見るような光の玉状のものだった。今度は消えずにそのまま空中を漂い出していた。
「えーっ!」
一つの玉を目で追いかけていたら、玉が空中に無数に浮いているのに気がついた!
なんなのよこれ!
「あ、、あ、、う、、う、、」
呻き声のようなものがハッキリ聞こえるようになってきた。
呻き声は光の玉が動くたびに聞こえてきているようだった。無数に浮いている光の玉からそれぞれ違うトーンの呻き声が響いてきている。
そして、光の玉はどんどん増えていき、呻き声が幾重にも重なり耳へ不快音となって響いてきた。
私は耐えられなくなり耳を塞ぎ、頭を抱え込み踞るように床に体をつける。
舞っていた光の玉は速度を増し不規則に宙を漂い始める。その度に四方八方から不快音が耳に流れ込んでくるものだから堪らない。
姫妃さんは赤い霧を教室中に広げた。赤い霧が広がると不快音はまだ聞こえてきてはいるが体は楽になり耳を塞がずとも立ち上がれるようになった。
「咄嗟に血の結界を張りコイツ等をこの場に封じ込めたのはいいけど、これからどうするつもり?」
壁に背を預けていた女性がそんな言葉を発した。
その言葉からすると姫妃さんは教室から光の玉が出ないように、結界を張り巡らせこの場に封じ込めたらしいが、どういう意味があることなのだろうか?
「何なのこれ?」
私は姫妃さんにそう尋ねた。
「この人達は先程の堕天使ルシファーによって、理不尽に命を奪われた人達の成れの果て。俊介少年が亡くなってしまう原因を作った人達ならともかく、あのルシファーはここで勉強していた生徒、教師及びその家族達を皆殺しにしてしまったんだ。そりゃあ怒りもするよ」
姫妃さんではなく壁際の女性がそう答えてきた。人達?この光の玉のことを人達と呼んだ。
命を奪われた成れの果て?怒りもする?どう言うこと?
「そりゃあ自分がなぜ呪い殺されることになったのか、分からない奴もいるだろうし、納得していない奴もいる。それどころか自分が死んだことすら分かってない奴もいるようだ。自分達を押さえ込んでいたルシファーが浄化したことで、自分達の意思を表面に出せるようになり怨み、辛みの声を出し始めたんだよ」
私が全然意味が分かってないと思ったのかそう続けてきた。
「だからそれが何だって言うのよ!つーか、あなた誰?」
「あたいかい?あたいはグレース。うーん、まあ、お姫さんの先輩みたいなものかな」
そう歯切れ悪く答えたが、姫妃さんが否定してこないって事はあながち間違ってもいないのだろう。
「どうすればいいのよ?」
「あたいが浄化してあげてもいいけど?」
「出来るんなら早くやりなさいよ」
「ダメよ」
私がグレースに凄んでいると、姫妃さんは私を制してきた。
「言うと思ったよ。じゃあ。どうすの?コイツ等、全員一人一人説得してあの世に送るの?」
「そうするしかないでしょ」
「バカ言わないの!結界敷いたままで、できると思ってるの?どんだけ体力使うと思ってるのよ。こんだけの数、説得し終わる前にあなたの体力が尽きてしまうわよ」
「あなた先輩ならグダグダ言ってないで手伝いなさいよ」
「悪いわねお嬢ちゃん。あたいはお姫さんと違って、慈しみの心ってのを持ち合わせてないんだよ。説得して成仏させるなんて無理、無理」
私が凄むとグレースは軽く流すような感じで手を振ってきた。
「どういうことなの?」
二人の会話が何を元にしているものなのか全く分からないので全然状況が見えてこない。
私が不思議そうに顔をしかめてると、姫妃さんが死んだらあの世で裁判を受けることになること、良ければ天国、悪ければ地獄行き。
この人達をこのままあの世に送ってしまったら間違いなく地獄行きになることだろう。とのことだった。
でもそれは仕方のないことで私にはどうすることもできないことだが、ただ地獄行きでも生前の悪行を生前のうちに反省し、行いを改めようと努力した者と、してないものとでは差が出るという事を教えてくれた。
つまり、このまま強制的に浄化すれば、この人達は恐らく重い地獄行きになる。ただ、自分のした行為の何が悪かったのかを気付かせて、浄化したのならいくらかはかるい地獄行きとなる。とそういうことなのだそうだ。
だから、姫妃さんは手間が掛かってもキチンと自分達の罪を認識させてから浄化したいので、直ぐには浄化したくないと主張しているようなのだ。
優しい姫妃さんらしい。
いつからこの場にいたのだろうか?後ろの壁に背を預けながら立っている女性がいた。
みたこともない女性だ。
きっと学校の関係者ではないだろう。親しげに姫妃さんを呼んでいることから、姫妃さんの知り合いなのだろうとは思うが。
「何んなの?この感じは?」
寒い!昼間だというのに急に夜にでもなったかのように暗くなり、空気が冷たくなってきた。
姫妃さんも何事か分かっていないのか、しきりにあたりを見渡している。
そして、呻き声ともとれるような低く、不気味な音のようなものが響き渡り出した。
「今度は何!」
目の前を何かが通り過ぎたような気がしたので、目で追ってみるがそこには何も見当たらなかった。
「!!」
また目の前を何かが横切って行った。
「何これ!」
心霊番組で見るような光の玉状のものだった。今度は消えずにそのまま空中を漂い出していた。
「えーっ!」
一つの玉を目で追いかけていたら、玉が空中に無数に浮いているのに気がついた!
なんなのよこれ!
「あ、、あ、、う、、う、、」
呻き声のようなものがハッキリ聞こえるようになってきた。
呻き声は光の玉が動くたびに聞こえてきているようだった。無数に浮いている光の玉からそれぞれ違うトーンの呻き声が響いてきている。
そして、光の玉はどんどん増えていき、呻き声が幾重にも重なり耳へ不快音となって響いてきた。
私は耐えられなくなり耳を塞ぎ、頭を抱え込み踞るように床に体をつける。
舞っていた光の玉は速度を増し不規則に宙を漂い始める。その度に四方八方から不快音が耳に流れ込んでくるものだから堪らない。
姫妃さんは赤い霧を教室中に広げた。赤い霧が広がると不快音はまだ聞こえてきてはいるが体は楽になり耳を塞がずとも立ち上がれるようになった。
「咄嗟に血の結界を張りコイツ等をこの場に封じ込めたのはいいけど、これからどうするつもり?」
壁に背を預けていた女性がそんな言葉を発した。
その言葉からすると姫妃さんは教室から光の玉が出ないように、結界を張り巡らせこの場に封じ込めたらしいが、どういう意味があることなのだろうか?
「何なのこれ?」
私は姫妃さんにそう尋ねた。
「この人達は先程の堕天使ルシファーによって、理不尽に命を奪われた人達の成れの果て。俊介少年が亡くなってしまう原因を作った人達ならともかく、あのルシファーはここで勉強していた生徒、教師及びその家族達を皆殺しにしてしまったんだ。そりゃあ怒りもするよ」
姫妃さんではなく壁際の女性がそう答えてきた。人達?この光の玉のことを人達と呼んだ。
命を奪われた成れの果て?怒りもする?どう言うこと?
「そりゃあ自分がなぜ呪い殺されることになったのか、分からない奴もいるだろうし、納得していない奴もいる。それどころか自分が死んだことすら分かってない奴もいるようだ。自分達を押さえ込んでいたルシファーが浄化したことで、自分達の意思を表面に出せるようになり怨み、辛みの声を出し始めたんだよ」
私が全然意味が分かってないと思ったのかそう続けてきた。
「だからそれが何だって言うのよ!つーか、あなた誰?」
「あたいかい?あたいはグレース。うーん、まあ、お姫さんの先輩みたいなものかな」
そう歯切れ悪く答えたが、姫妃さんが否定してこないって事はあながち間違ってもいないのだろう。
「どうすればいいのよ?」
「あたいが浄化してあげてもいいけど?」
「出来るんなら早くやりなさいよ」
「ダメよ」
私がグレースに凄んでいると、姫妃さんは私を制してきた。
「言うと思ったよ。じゃあ。どうすの?コイツ等、全員一人一人説得してあの世に送るの?」
「そうするしかないでしょ」
「バカ言わないの!結界敷いたままで、できると思ってるの?どんだけ体力使うと思ってるのよ。こんだけの数、説得し終わる前にあなたの体力が尽きてしまうわよ」
「あなた先輩ならグダグダ言ってないで手伝いなさいよ」
「悪いわねお嬢ちゃん。あたいはお姫さんと違って、慈しみの心ってのを持ち合わせてないんだよ。説得して成仏させるなんて無理、無理」
私が凄むとグレースは軽く流すような感じで手を振ってきた。
「どういうことなの?」
二人の会話が何を元にしているものなのか全く分からないので全然状況が見えてこない。
私が不思議そうに顔をしかめてると、姫妃さんが死んだらあの世で裁判を受けることになること、良ければ天国、悪ければ地獄行き。
この人達をこのままあの世に送ってしまったら間違いなく地獄行きになることだろう。とのことだった。
でもそれは仕方のないことで私にはどうすることもできないことだが、ただ地獄行きでも生前の悪行を生前のうちに反省し、行いを改めようと努力した者と、してないものとでは差が出るという事を教えてくれた。
つまり、このまま強制的に浄化すれば、この人達は恐らく重い地獄行きになる。ただ、自分のした行為の何が悪かったのかを気付かせて、浄化したのならいくらかはかるい地獄行きとなる。とそういうことなのだそうだ。
だから、姫妃さんは手間が掛かってもキチンと自分達の罪を認識させてから浄化したいので、直ぐには浄化したくないと主張しているようなのだ。
優しい姫妃さんらしい。
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