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第二章 ひょう初任務、炎の神を封印せよ
第6話 復活しつつある火の神
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2つ目の支柱にオーラを込めるのを終えた俺は、3つの支柱の中心と思われる場所へと向かっていた。
向かう行程には住宅街が広がっていた。
俺がそこに到着したときは既に各所から火の手が上がっていた。
火が上がっていた場所にはオーラを宿した人型の炎が無数に見られる。
おそらくこの地を治める神『火の神ウラカン』の復活しつつあるオーラの影響で、具現化したこの地に怨念を抱く魂達の成れの果てなのだろう。
怨みの強い魂は人魂となり現世に残り浮遊し、死の原因になったであろうコカインの原料を栽培していたこの街に辿り着いたのだろう。
そして、ウラカンのオーラの影響を受け具現化し炎を宿す人型、炎人(えんじん)となりこの土地の者たちに復讐しているのだろう。
コカインが無かったら俺達はこんな事にはならなかったんだと思って怨念を抱いているのだろうが、全く八つ当たりもいいところだ。
コカインが目の前にあったとしても関わらなければ良かっただけ、コカインで得られる偽りの安らぎの誘惑に負けた弱い心の自分が悪いというのに。
しかもこの土地に住んでいるというだけの、全く関係のない者まで巻き込んで火に巻こうとするなんて、、。
なんて愚かなことか!
女性が『刺激的な格好をしているから襲ったんだ』と言っているような低俗人間と変わりないではないか。
コイツ等も、そいつらと同じ考えを持った低レベルの俗物だ。
死してもなお、現世に未練を残し、八つ当たりとも言えるような怨念を抱え、神の力を借りて更に業を積み重ねようとしているとは。
全くもって下劣な奴等だ。
しばらくその様子を眺めているとあることに気がついた。
人間は炎人が見えている者と見えていない者がいるようだ。見えている者はその炎人に恐怖し逃げ惑っている。
見えていないものは炎人の隣で消すことのできない炎を、必死で消そうとしているようだった。
炎人が見えている者の中にも勇敢な人間はいるようで、炎人に水を浴びせかける者や消火器を噴霧する者などがいるようだった。
だが焼け石に水のようだ。効果は全く見られていない。
見えていない者は今起きている現象をさぞ不思議に思っている事だろう。
見えた方がいいのか、見えない方がいいのか判断が難しいところだな。
多少なりとも霊感があるなら見えるのだろうが、神のオーラを宿して燃え上がっている炎が水や消化器で消える訳がない。
「凍結魔法!」
俺は住宅街に広がるように凍結魔法を放った。
神のオーラを感じ取り、神のオーラが影響してある場所へ向かって放つ。
「オーラは形の無いもの、自分が影響させたいものにのみ影響させることが出来る。魔法を放つときは影響させたいものの気配を感じ放つのじゃぞ」
師匠によくそう言われた。
その教えがあったから住宅街に向かって凍結魔法を放っても、この場にいる人間にも動植物にも建物にも支障がないように魔法が使える使い手になることが出来た。
それが出来ず炎人一つ一つに対処して回っていたら、助けられない命がいくつもあった事だろう。
改めて師匠の偉大さを感じる。
凍結魔法は住宅街を覆っていき、炎人はおろか街中の火が消されていった。
神のオーラに抵抗するように放つ。普通の人間には影響が出ないように放つ。
そして俺は一人の少女と青年の元へ歩み寄った。
炎人が壁を倒そうとして人を下敷きにさせ殺そうとしているのを、この者達が身を挺して助けようとしなければ、凍結魔法を放とうとは思わなかったことだろう。
素直に助けたいと思った。
ご老人を助け起こそうと必死になっている少女の姿を見て、またその助けの声を聞いて自分の足に絡みつき動きを封じようとしてくる炎人を必死で払い除け、少女を助けに行こうとした青年の姿を見て、素直に助けてやりたいと思った。
人々が助け合い苦難に立ち向かっている姿を見て、とてもこの街の住人全員を葬ろうとする神が正しいとは思えなかった。
この惨劇から守ってやりたいと思った。
だから炎人も火災も壁も吹き飛ばしてやった。
しかしこの街の住人達はコカインの栽培になんらかの関与をしている。
そのコカインによって人生を狂わされてしまった人達が、世界中にはたくさんいるということも歪めない。
そのことが神の怒りを招いたのだ。容易に看過する訳にはいかない。
さてどうしたものか。
取り敢えず俺は簡易的な荷台を作ると、息のあるものを乗せこの場所を移動することにした。
少し先の住宅街は火の手は上がってない。そこに行けば人がいるだろう。この人達の手当ても任せられるだろう。
救うべきか、捨て置くべきか判断しかねる段階だ。殺すのはいつでもできる。取り敢えず助けておくことにしよう。
しかし炎人は何故ここに集まっていたのだろう。
そう思って周りを見渡すと一際延焼の目立つ建物が目に入った。
工場?
もしかしてあの工場はコカインに関する工場、精製する工場とかだったのだろうか?
そう考えると怨みを持った炎人がここに集まっていたのも納得がいく。
向かう行程には住宅街が広がっていた。
俺がそこに到着したときは既に各所から火の手が上がっていた。
火が上がっていた場所にはオーラを宿した人型の炎が無数に見られる。
おそらくこの地を治める神『火の神ウラカン』の復活しつつあるオーラの影響で、具現化したこの地に怨念を抱く魂達の成れの果てなのだろう。
怨みの強い魂は人魂となり現世に残り浮遊し、死の原因になったであろうコカインの原料を栽培していたこの街に辿り着いたのだろう。
そして、ウラカンのオーラの影響を受け具現化し炎を宿す人型、炎人(えんじん)となりこの土地の者たちに復讐しているのだろう。
コカインが無かったら俺達はこんな事にはならなかったんだと思って怨念を抱いているのだろうが、全く八つ当たりもいいところだ。
コカインが目の前にあったとしても関わらなければ良かっただけ、コカインで得られる偽りの安らぎの誘惑に負けた弱い心の自分が悪いというのに。
しかもこの土地に住んでいるというだけの、全く関係のない者まで巻き込んで火に巻こうとするなんて、、。
なんて愚かなことか!
女性が『刺激的な格好をしているから襲ったんだ』と言っているような低俗人間と変わりないではないか。
コイツ等も、そいつらと同じ考えを持った低レベルの俗物だ。
死してもなお、現世に未練を残し、八つ当たりとも言えるような怨念を抱え、神の力を借りて更に業を積み重ねようとしているとは。
全くもって下劣な奴等だ。
しばらくその様子を眺めているとあることに気がついた。
人間は炎人が見えている者と見えていない者がいるようだ。見えている者はその炎人に恐怖し逃げ惑っている。
見えていないものは炎人の隣で消すことのできない炎を、必死で消そうとしているようだった。
炎人が見えている者の中にも勇敢な人間はいるようで、炎人に水を浴びせかける者や消火器を噴霧する者などがいるようだった。
だが焼け石に水のようだ。効果は全く見られていない。
見えていない者は今起きている現象をさぞ不思議に思っている事だろう。
見えた方がいいのか、見えない方がいいのか判断が難しいところだな。
多少なりとも霊感があるなら見えるのだろうが、神のオーラを宿して燃え上がっている炎が水や消化器で消える訳がない。
「凍結魔法!」
俺は住宅街に広がるように凍結魔法を放った。
神のオーラを感じ取り、神のオーラが影響してある場所へ向かって放つ。
「オーラは形の無いもの、自分が影響させたいものにのみ影響させることが出来る。魔法を放つときは影響させたいものの気配を感じ放つのじゃぞ」
師匠によくそう言われた。
その教えがあったから住宅街に向かって凍結魔法を放っても、この場にいる人間にも動植物にも建物にも支障がないように魔法が使える使い手になることが出来た。
それが出来ず炎人一つ一つに対処して回っていたら、助けられない命がいくつもあった事だろう。
改めて師匠の偉大さを感じる。
凍結魔法は住宅街を覆っていき、炎人はおろか街中の火が消されていった。
神のオーラに抵抗するように放つ。普通の人間には影響が出ないように放つ。
そして俺は一人の少女と青年の元へ歩み寄った。
炎人が壁を倒そうとして人を下敷きにさせ殺そうとしているのを、この者達が身を挺して助けようとしなければ、凍結魔法を放とうとは思わなかったことだろう。
素直に助けたいと思った。
ご老人を助け起こそうと必死になっている少女の姿を見て、またその助けの声を聞いて自分の足に絡みつき動きを封じようとしてくる炎人を必死で払い除け、少女を助けに行こうとした青年の姿を見て、素直に助けてやりたいと思った。
人々が助け合い苦難に立ち向かっている姿を見て、とてもこの街の住人全員を葬ろうとする神が正しいとは思えなかった。
この惨劇から守ってやりたいと思った。
だから炎人も火災も壁も吹き飛ばしてやった。
しかしこの街の住人達はコカインの栽培になんらかの関与をしている。
そのコカインによって人生を狂わされてしまった人達が、世界中にはたくさんいるということも歪めない。
そのことが神の怒りを招いたのだ。容易に看過する訳にはいかない。
さてどうしたものか。
取り敢えず俺は簡易的な荷台を作ると、息のあるものを乗せこの場所を移動することにした。
少し先の住宅街は火の手は上がってない。そこに行けば人がいるだろう。この人達の手当ても任せられるだろう。
救うべきか、捨て置くべきか判断しかねる段階だ。殺すのはいつでもできる。取り敢えず助けておくことにしよう。
しかし炎人は何故ここに集まっていたのだろう。
そう思って周りを見渡すと一際延焼の目立つ建物が目に入った。
工場?
もしかしてあの工場はコカインに関する工場、精製する工場とかだったのだろうか?
そう考えると怨みを持った炎人がここに集まっていたのも納得がいく。
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