廃校が決まった母校の名前を、高校野球史に刻め!

加藤 佑一

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第四章 準決勝 甲子園常連校

第14話 メインキャラ登場

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「ついに時は来たり、我の実力見せてやろうぞ」

「おー、康ちゃん、見せてやれー」

「康誠くーん、後は頼んだぞー」

「高校生にもなって何言ってんだよー!」

「恥ずかしいからそういうこと言うの止めろー!」

 6回表、遂に僕の出番が回ってきた。この回の先頭バッターは柳澤先輩だったが、交代する事になり打席から参戦することになった。皆んなの活躍を見て、自分も早く出たくてウズウズしていた。

 見てろー、ここからはお前等の見せ場なし。僕達の独壇場にしてやる。

「コラー、康誠。散々ヤジ飛ばしておいて、打てなかったらどうなるか分かってんだろうなー」

「OK、OKー、打てなかったらどうにでもしちゃって下さい。つーか、変化球の打ち方ってもんを見せてやるからちゃんと見とけよー。モブキャラども」

「うぉー、なんかメッチャ強気ー」

「調子乗ってんなー、テメーがそういう時は、大体三振なんだから集中しろー」


『カキーーン』

『弾き返したー、センター前ー、耶麻校打線、この回も先頭バッターを出しましたー』


「どーだーっ!これがメインキャラの実力じゃー、引き立て役どもー、足引っ張んじゃねーぞー!」

「あんにゃろー、可愛くねーヤローだな!」

「康誠くーん、ナイバッチィ」

「コラー、ポット出のサブキャラのクセに俺より目立つなー!」

「松井せんぱーい、誰が三振だってー?」

「何ーっ!可愛くねーヤローだな!」





『おっと、今日3打数3安打の久保選手にバントさせましたー、確実に送ってきましたー』

『耶麻高校はバッティング強いですが、こういうプレイも確実にこなしてきますねー。次は2安打の藤井選手、タイムリーを打った松井選手と続きますからこれでいいんじゃないでしょうか』


「藤井せんぱーい、ヤジ飛ばしておいて、打てなかったらどうなるか分かってんだろうなー」

 2塁上からヤジが飛ぶ。

 あんにゃろー、可愛くねーヤローだな!人の真似しやがって!

 アイツはどうでもいいが、竜二のバントを無駄にする訳にはいかない。

 ここは絶対に打つ!

 って!ヤバっ!今のがカットボールか?

 少し変化して芯を外される感じだな!あっぶねー、ファールになって良かった。

「コラー、後輩にあんな事言わせたままでいいのかー?」

「うっせーわ、今打つから、黙ってろボケ!」

 貴洋のヤロー、人が対策考えている時に余計なこと言ってきやがって、次の打席の時覚えてろよ。

 しかし康誠のヤロー、簡単に弾き返しやがって!メッチャ打ちづらいじゃねーか!
 外れたがスライダーは鋭く変化していた。そしてストレートはカットボールが頭にあったせいもあり、擦りもせずに空振ってしまった。

 バットを額に当て集中し直そうと思った時、頑張ろうの文字が目についた。

 そうだ、ヒット打てるようにと竜二とお互いのバットに書き合ったんだっけ。なんか急に体から熱いものが込み上げてきた気がする。

 打てる。絶対に打てる。打てると信じバットを振り抜いた、、。


『カキーーン』

『レフトへーー!レフトオーバー、フェンス直撃ー、2塁ランナー、ホームイン。勝ち越しー、勝ち越しです。1点勝ち越しー、6対5となりましたー。ガッツポーズ、藤井選手、2塁ベース上で高々と拳を突き上げましたーー』


「せんぱーい、カッコいいー」

「翔ちゃーーん、ナイバッチィ」

「うぉーー!ナイバッチィー」

「見たかーっ!貴洋ー、次はテメーだぞー!打ち取られたらタダじゃおかねーぞー!」





 怖っ!よーし、俺も続くぞー。アイツらが打てるんだ。俺が打てない訳がない。

「!!」

 えっ!オイ!今のがストライク!?

 すごく遠くから直角に曲がるような感じでストライクゾーンに入ってきた気がしたんですけど?これがアイツのスライダーか?

 翔真の時よりキレ良くなってないか?あとコイツはキレの良いカットボールを投げるんだったよな?

 ちっきしょー!打ち取られてたまるかー!


『さんしーん』


 ヤバっ!外角にカーブを投げられた後の内角を抉るようなストレートに対応することができず、俺のバットは空を切ってしまった。

 ここでストレートかよ!?カットボールじゃねーのかよ、完全に裏掻かれたー。ちっくしょー、やっちまったー。

「コラー、いい流れになってんのに三振してんじゃねーよ」

「ほーら、調子に乗ってるからー!」

「自分が三振してんじゃねーかよ!」

「すいません、、」

 あー、俺だけダッさ、返す言葉もない、、。





『フォアボール』


「今日は将大君徹底的にマークされてますね。またストレート2、3キロ速かったです」

「まあそれが4番の宿命なんだろうが、でもこの打席は意地を見せてたな。粘りに粘ってフォアボール勝ち取ったんだから上々だろう」





「良ちゃーん、もう1点、もう1点、公言通り僕より目立てよー」

「おー、任せろー、ヒーローキャラの登場じゃー」

「元祖、調子乗りー、打てよー」

「年中、調子乗りー、打てよー」

「天性の調子乗りー、打てよー」

「もっとテンション上げて声上げろよ!応援になってねーわ!打席前に調子狂うようなこと言うなー!」

 なんか色々ゴチャゴチャした変化球があるみたいだけど、天才には関係ない。来た球を強く弾き返すのみ。
 康ちゃんがマウンドに上がるからには、大親友である俺が打たないとダメだ。前回のような醜態は見せられない。

 どんなボールが来ようが、俺は天才だから打てるはずだ。


『カキーーン』

『センター、落ちた、落ちたー、タイムリーヒットー、さらに1点追加しましたー』


「どーだー、見たかー、ミラクルスラッカーのミラクル打法をー!」

「何がミラクル打法だー、ポテンヒットじゃねーかー!」

「ミラクル打法のミラクルは、たまたま落ちたって意味なのかー?」

「たまたま良いところに落ちるからミラクル打法なのかー?」

「まーだ、スラッカー言ってるし、アイツの頭の中がミラクルだな」

「コラー、ちゃんと応援しろー!」

「ちゃんとしてねーのは、てめーだよ!」


『セカンド前進しファースト送球ー、アウトー、耶麻高校2点追加しましたが、2者残塁となりスリーアウトチェンジです』

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