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第四章 準決勝 甲子園常連校
第9話 このままで大丈夫なの?
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ベンチに帰ってスコアボードを改めて見直すと、3点と表示されていた。5点までは良いとは言われていたがやはり責任を感じてしまう。
このまま終わってしまったらやはり僕のせいになるんだろーなー。
「ふっふっふ、遂に時は来たり、我が真の姿を見せる時が来た」
そう思って下を向いていたら、次の回の先頭バッターのキャプテンが訳の分からないことを言いながらバッターボックスに向かっていく。
「何言ってんだお前は?いいから早く行けよ!」
当然ナインからはキツめのツッコミが飛んでいた。
「豆腐の角に頭ぶつけろ!」
「うどんで首吊れ!」
皆んなのツッコミのセンスに、思わず笑みが溢れてしまう。
「相変わらずウチのキャプテン酷い言われようだなー」
「アイツが元気なうちは負けムードにならないから助かるよ」
キャプテンを見て思った感想をポロッと口に出すと、吉田コーチはそんな事を言ってきた。
『打ったー、三遊間破ったー、レフト前ヒットー、耶麻高校反撃開始です』
「第一進化達成じゃー!」
第一進化?
「何だ?第一進化って?アイツはゲームのキャラにでもなった気でいるのか?」
「なんか知らねーけど、いいぞー、アホアホ打法ー」
「アホアホ打法炸裂じゃー!」
「変な命名すんなー!」
ホントうちのキャプテンは面白いよなー、逆転されて重々しいムードだったのに一気に一変したよ。
わざとやってんのかなー?僕の沈んでいる顔を見てわざとやってるのかなー?
天然だとしても、計算だとしてもあの愛され力は本当に凄い。僕があんな事を言ったら皆んな同じように突っ込んでくれるのだろうか?
「よーし、僕も続くぞー」
キャプテンに触発されたのか、山下君も気合い十分でバッターボックスに向かっていく。
『ストライーク』
相変わらずえげつないボール投げてくるなー。あんなのまともに打ったら骨折れそうなんだけどと思ったが、山下君はファールで粘るだけ粘っているようだった。
『打ったー、セカンドの頭を越えてセンター前ヒットー、バットの先端に当たった打球が内野の頭を越えてセンター前に落ちましたー、ノーアウトでランナー1、2塁です。耶麻高校同点のランナーを出しましたー』
「見たかー、アホアホ打法ツー」
「隼人、ナイバッチィ、つーかその名前でいいんかい!」
「アイツもアホだからな」
「皆んな真面目にやろーぜ」
「無理だろ、良太と隼人だぜ」
「山下君も酷い言われようですね」
「それでもヒットを打つんだから不思議な奴らだ」
そこで僕にも打順回ってくるかもと思い、バットを手に取り集中力を高める。打たれた分は打ち返すしかないと思い祈りを捧げる。
『西口選手送りバントを決め、ワンナウトでランナー2、3塁です』
『先ほどは見事なバントエンドランを決められてしまいましたからねー、ここはきっちりランナーの動きを見てから送球しました』
『そして再三好返球を見せている太田選手を迎えます。ワンヒットで同点の場面です。どちらに軍配が上がるか』
ワンナウトでランナー2、3塁。スクイズも考えられる場面なのだが、吉田コーチはサインを送る様子はないようだった。
太田君の打力に任せるという事なのだろうか?太田君もピッチャーなので僕と一緒で打つ練習はそんなにしてきていない。
だからと言ってバントの練習も多くしてきている訳ではないのだが。
『ストライーク』
ストライクを取られた時点でサインが変わるのかと思ったが、スクイズのサインを出す様子は全く見られなかった。
『さんしーん』
結局何のサインも出る事なく太田君は三振に倒れてしまう結果となった。
「柳ちゃん、甘いボール見逃さないようにね」
「了解です」
すれ違いざまにそう声をかけられた。
「晃ちゃん、振り遅れてるよ」
「ごめーん、ってか速すぎだよ」
「もっとコンパクトに振り抜くんだよ」
「貴洋、今日ヒット打ったっけ?」
「うっ!」
「打ててねークセに人に偉そうにアドバイスしてんじゃねーよ。お前はアホアホ打法以下じゃねーか!」
「すいません、、」
後方からそんな声が聞こえてきたので思わず噴き出してしまった。皆んな僕のせいで負けているというのに何でそんなに元気なんだろうか?
よし、やはりここは自分のバットで何とかするしかない。向こうだって失投は必ずあるはず、そこを狙うんだ。
フォークは振らない、2ストライクまで厳しいコースは振らない。
頭の中で攻略法を復唱し、ピッチャーを睨みつける。
くぅー、前に飛ばない。なんて重いストレートなんだ!
2球連続で甘いコースに来たので振り抜いたが、どちらもフェアゾーンには飛んでくれなかった。
3、4球とフォークがきたが、なんとかバットを振ることなく、止めることができた。
2ボール、2ストライクとなった5球目だった、、。
「!!」
えっ!今の何?
クサイところに投げ込まれたフォークだと思ったのに鋭く落ちたような感じではなくやや落ちたそんな感じだった。バットの芯を完全に外されてしまい、勢いのない打球がピッチャー前に転がり、ファーストに送球されアウトとなってしまった。
マジかー、やっぱり僕が流れを止めて、足引っ張っているような感じになっているのだが、このままで大丈夫なのだろうか?
このまま終わってしまったらやはり僕のせいになるんだろーなー。
「ふっふっふ、遂に時は来たり、我が真の姿を見せる時が来た」
そう思って下を向いていたら、次の回の先頭バッターのキャプテンが訳の分からないことを言いながらバッターボックスに向かっていく。
「何言ってんだお前は?いいから早く行けよ!」
当然ナインからはキツめのツッコミが飛んでいた。
「豆腐の角に頭ぶつけろ!」
「うどんで首吊れ!」
皆んなのツッコミのセンスに、思わず笑みが溢れてしまう。
「相変わらずウチのキャプテン酷い言われようだなー」
「アイツが元気なうちは負けムードにならないから助かるよ」
キャプテンを見て思った感想をポロッと口に出すと、吉田コーチはそんな事を言ってきた。
『打ったー、三遊間破ったー、レフト前ヒットー、耶麻高校反撃開始です』
「第一進化達成じゃー!」
第一進化?
「何だ?第一進化って?アイツはゲームのキャラにでもなった気でいるのか?」
「なんか知らねーけど、いいぞー、アホアホ打法ー」
「アホアホ打法炸裂じゃー!」
「変な命名すんなー!」
ホントうちのキャプテンは面白いよなー、逆転されて重々しいムードだったのに一気に一変したよ。
わざとやってんのかなー?僕の沈んでいる顔を見てわざとやってるのかなー?
天然だとしても、計算だとしてもあの愛され力は本当に凄い。僕があんな事を言ったら皆んな同じように突っ込んでくれるのだろうか?
「よーし、僕も続くぞー」
キャプテンに触発されたのか、山下君も気合い十分でバッターボックスに向かっていく。
『ストライーク』
相変わらずえげつないボール投げてくるなー。あんなのまともに打ったら骨折れそうなんだけどと思ったが、山下君はファールで粘るだけ粘っているようだった。
『打ったー、セカンドの頭を越えてセンター前ヒットー、バットの先端に当たった打球が内野の頭を越えてセンター前に落ちましたー、ノーアウトでランナー1、2塁です。耶麻高校同点のランナーを出しましたー』
「見たかー、アホアホ打法ツー」
「隼人、ナイバッチィ、つーかその名前でいいんかい!」
「アイツもアホだからな」
「皆んな真面目にやろーぜ」
「無理だろ、良太と隼人だぜ」
「山下君も酷い言われようですね」
「それでもヒットを打つんだから不思議な奴らだ」
そこで僕にも打順回ってくるかもと思い、バットを手に取り集中力を高める。打たれた分は打ち返すしかないと思い祈りを捧げる。
『西口選手送りバントを決め、ワンナウトでランナー2、3塁です』
『先ほどは見事なバントエンドランを決められてしまいましたからねー、ここはきっちりランナーの動きを見てから送球しました』
『そして再三好返球を見せている太田選手を迎えます。ワンヒットで同点の場面です。どちらに軍配が上がるか』
ワンナウトでランナー2、3塁。スクイズも考えられる場面なのだが、吉田コーチはサインを送る様子はないようだった。
太田君の打力に任せるという事なのだろうか?太田君もピッチャーなので僕と一緒で打つ練習はそんなにしてきていない。
だからと言ってバントの練習も多くしてきている訳ではないのだが。
『ストライーク』
ストライクを取られた時点でサインが変わるのかと思ったが、スクイズのサインを出す様子は全く見られなかった。
『さんしーん』
結局何のサインも出る事なく太田君は三振に倒れてしまう結果となった。
「柳ちゃん、甘いボール見逃さないようにね」
「了解です」
すれ違いざまにそう声をかけられた。
「晃ちゃん、振り遅れてるよ」
「ごめーん、ってか速すぎだよ」
「もっとコンパクトに振り抜くんだよ」
「貴洋、今日ヒット打ったっけ?」
「うっ!」
「打ててねークセに人に偉そうにアドバイスしてんじゃねーよ。お前はアホアホ打法以下じゃねーか!」
「すいません、、」
後方からそんな声が聞こえてきたので思わず噴き出してしまった。皆んな僕のせいで負けているというのに何でそんなに元気なんだろうか?
よし、やはりここは自分のバットで何とかするしかない。向こうだって失投は必ずあるはず、そこを狙うんだ。
フォークは振らない、2ストライクまで厳しいコースは振らない。
頭の中で攻略法を復唱し、ピッチャーを睨みつける。
くぅー、前に飛ばない。なんて重いストレートなんだ!
2球連続で甘いコースに来たので振り抜いたが、どちらもフェアゾーンには飛んでくれなかった。
3、4球とフォークがきたが、なんとかバットを振ることなく、止めることができた。
2ボール、2ストライクとなった5球目だった、、。
「!!」
えっ!今の何?
クサイところに投げ込まれたフォークだと思ったのに鋭く落ちたような感じではなくやや落ちたそんな感じだった。バットの芯を完全に外されてしまい、勢いのない打球がピッチャー前に転がり、ファーストに送球されアウトとなってしまった。
マジかー、やっぱり僕が流れを止めて、足引っ張っているような感じになっているのだが、このままで大丈夫なのだろうか?
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