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後宮編

20.筆降ろし♡

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(酷い目にあった……)

翌朝、げっそりとした顔で呂苑りょえんに乳をやる。

「はい、おしまい……んッ」
たお、今夜も来るから……」
「ふふ、お待ちしておりますね」

嫋はひらひらと手を振り、重い足取りで去っていく呂苑を見送る。
情事の残り香を落とし、縁側でぼんやりとしていると、昨日と同じ人の気配を感じた。

「殿下、こんにちは」
「嫋妃……」

呂楼りょろうは頬を染めながら嫋に近づき、そっと腰を下ろす。

「嫋妃、嫋妃、聞いてください」
「はいはい、なんですか?」
「宦官が教えてくれたのですが……都に、妖が出たと」
「……ッ!」

息を飲む。間違いなく朱鷹しゅようだろう。

「その妖は、どうなったのですか?」
「ううん、何でも神として崇めている町もあるみたいで、扱いに困っているのだとか……暴れたと思ったらやけに大人しくなって、地下に繋がれていると聞きました」
「陛下は、それをご存知なのですか?」
「勿論。祭礼の日も近いので、混乱を防ぐためにも無闇に触れることはしない、と」

(牢……どこにあるんだろう)

呂楼はこの話の興味をなくしたようで、そうだ、と話を変えた。

じり、と呂楼が嫋に腰を近づける。嫋はそれに気づき、片眉を上げた。

「一昨日も昨日も、父上は嫋妃のもとに通っていましたね。嫋妃は美しいですから」

嫌味のような言葉だが、その声色は明るい。心の底から喜んでいるのだ。
彼は皇后の息子であるため、呂苑の足が皇后から遠のくことは喜ばしくないはずだが。

「ありがたいことです。私には何の取り柄もありませんから、嫋がいつ陛下に飽きられるかと思うと、少し怖いのですが……」
「そんな!」

ガタ、と呂楼が立ち上がる。顔を俯かせた嫋の肩を掴み、声を荒らげた。

「嫋妃はどんな妃より美しく、華やかで、優しい女性です! 父上からの寵愛を失うなど、有り得ません」
「そうでしょうか……」
「ええ! 私だって、父上のお立場であれば……あ、あなたを……」

呂楼にとって、女とは与えられるものだった。それが今、壊れようとしている恐怖に口を噤む。

袍を翻し、嫋に背を向ける。

「殿下……?」
「いえ……あなたは、父上の妻だと言うのに」
「お待ちください」

嫋は視線を巡らして、周りに人がいないことを確認する。侍女たちは宮の掃除をしており、気を利かせているのか声ひとつ聞こえない。

そっと嫋が呂楼の胸にしなだれかかる。15くらいの青年でありながら、その背は既に嫋よりも高い。

甘い香りが鼻腔をくすぐる。なるほど医局の人間が言っていた例の香を好む人というのは呂楼だったのか、と納得する。

それと同時に、呂楼が愛用していながら「初めて嗅いだ」などと言った呂苑を思い出し、どれだけ息子に興味が無いのか、と呆れてしまう。

呂楼は戸惑ったような表情をする。手は上がったり下がったりと忙しく、父への裏切りと嫋への欲で揺れ動いている。

「嫋を、愛してくださるのですね……嬉しい」
「な、あ、愛など、あなたは父上以外の男に言っては……」

嫋は何も言わずに微笑み、ちょん、と呂楼の袖を引っ張る。呂楼は戸惑いながらも、僅かな期待を孕ませたまま嫋の後ろに着いて行った。

侍女に、呂楼が嫋の出身の町を知りたがっている、と適当な嘘を付き、部屋の人払いをする。市井について記された書物を隅に置き、嫋は呂楼の首に腕を回して床に仰向けに倒れた。

引っ張られるような形で嫋を押し倒した呂楼は、ゆっくりと嫋にキスをする。

数回触れるだけのキスをした後、嫋の腕を優しく振り払って上体を起こした。
その顔は苦しげに歪められている。

「嫋妃……やはりダメです。父上を裏切ることなど、私には……」

そう言いながらも下半身は熱を持ち、嫋の太ももには硬さを持ったそれが当たっている。

嫋は目を細めて内衣を脱ぎ、玉のような肌を呂楼に見せる。

嫋の下半身に男性器が付いているのを見て、呂楼は目を見開く。

「え……おと、こ……」
「……私が、寵愛を失うことを恐れている理由が分かるでしょう?」
「わ、私は男を抱くのは初めてです」
「大丈夫、嫋が導いて差し上げます」

遠くから侍女たちの声が聞こえる中、声を漏らさぬよう深く口付ける。締め切った部屋の中、衣擦れとボソボソとした話し声は空気に溶ける。

嫋はゆっくりと呂楼の肉棒を握り、ピストンのように手で扱く。

呂楼は肩をピクピクと跳ねさせたまま、嫋が自身の性器を扱くのを信じられない気持ちで見つめていた。

(だめだ、だめ、なのに……)

「かわいいおちんちんですね……♡」

第二次成長期を終え、呂楼の性器は既に大人のものとほぼ同じサイズである。しかし、まだ使い込まれていないそれは可愛らしいピンク色が残っている。

「ほら、嫋のここに入れるのですよ」

嫋が白魚のような指で肉棒を扱いたまま、ぷちゅ、と嫋の下半身に熱をあてがう。

「香油は、必要ないのですか……?」
「嫋は濡れる体質なのです。ほら、楼様のおちんちんと嫋の穴がちゅうしてますよ……♡」
「ぁ、うッ……」

呂楼は射精しそうになるのをグッと堪え、涙目で嫋を見た。嫋は呂楼の目の端に口付けをして、ぎゅっと呂楼の体を抱きしめた。

ちゅぷッ♡ ぬぷ……ッ♡ 

「は、はいってしまうッ」
「きて……♡」

呂楼は押しつぶすように嫋の体に乗り上げ、ぬぷぬぷと嫋の中に肉棒を入れる。

ぬぷ、こちゅんッ♡

「ぁ、あっ♡ 父上の妃、なのに……っごめんなさい、んっ」

呂楼は無我夢中に腰を振り、嫋のナカを蹂躙する。
ボロボロと混乱して涙を零し、ひたすら誰に対してかわからぬまま謝罪を繰り返す。

どちゅッ ごちゅッ どちゅんッ♡

「ぉ゛っ♡、ッ、ぁ~……ッ♡ じょうず、ですね……ッ♡ きゃんっ♡ 」

嫋は呂楼の自分本位のピストンに子宮口を押し潰され、ガクガクと腰を跳ねさせた。呂楼の腰の後ろで足を組み、奥深くで呂楼の肉棒を食もうとする。

「あぅっ、嫋妃、わたしの陽物が、溶けてしまいそうです……!」
「ぉ、んっ♡……でんか、嫋の中にっ、はぁっ、精をだしたい、のですかっ……♡」
「はいっ、ぁっ、だしたいですっ、嫋、嫋ッ、愛しています……っ♡」

そっと嫋が若い皇太子の背をなぞりあげ、その快感を高める。呂楼の呼吸が犬のように荒くなったのを見て、彼の絶頂が近いことを悟り、耳元でそっと囁いた。

「でしたら、───……お願い、できますかっ?♡」

ダメ押しとばかりに、赤く染った耳朶をくちゅくちゅと舐める。

少し後、呂楼は嫋の最奥に子種をまいた。
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