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妖編
7.賭け、征服♡
しおりを挟む嫋はほどいた紐を寝台の隅に置き、恥ずかしそうに朱鷹に背を向ける。中衣に手をかけると、戸惑うように指が止まった。
「俺は無理強いはしない」
「……っ」
朱鷹は優しげな声でそう囁きながら、嫋を後ろから抱きしめた。筋張った手が嫋の胸をまさぐり、悪戯に袍の内側に入り込む。
嫋は震えながら、ゆっくりと中衣を脱いだ。朱鷹はそれを舐め回すようにじっと見て、長い黒髪を掬うように取って前に避ける。姿をあらわした生白いうなじに歯を立てた。
首から下には朱鷹に愛された痕が色濃く残っている。朱鷹はそれを仄暗い気持ちで眺めながら、乱雑に下着を剥ぎ取って放り投げた。
「やっ、なに……!」
目を白黒させて慌てる嫋を後ろから押し倒し、尻に香油を塗る。
「嫋、イかないように頑張れよ♡」
「ぃやっ……」
ぬるり、と嫋の中に朱鷹の筋肉質な指が入る。嫋の腰が浮き、無意識のうちに足を開く。
中指と薬指を入れ、トントントン、と前立腺を叩いた。
「あっあっ……やぁ、んっ……んむぅ~ッ」
嫋は俯き、感じている表情を見せないようにと敷布に顔を押し付ける。朱鷹はそんな嫋が可愛くて仕方ない、とギラギラした目で嫋を見つめる。
柔い頬を鷲掴み、顔だけを己の方に向かせてべろりと嫋の唇を舐める。
頭を固定し、無理やり口の中を蹂躙すると、絡ませた唾液を嫋に飲ませる。こくこくと喉が動くのを確かめ、褒めるように耳を撫でて唇を離した。
ピストンを真似してヒダを掻き分けるような抜き挿しをする。すると嫋は太ももに力を入れ、尻をぶるぶると震わせて絶頂した。
奥歯をぐっと噛んで快楽をやり過ごそうすとすると、その隙間から唾液が溢れて敷布を濡らした。
ぬちゃっ…ぬちゃっ…ぬちゃっ…♡
「フーッ……フーッ……♡ いッ♡、ぃ、ぐぅ……ッ♡」
「たーお、イッたのか?」
「ぃ……ちが、い……てな、いっ♡」
「はは、どっちだよ」
朱鷹が指を動かす度に粘着質な音が部屋に響き、嫋はどんどん気分が高められていく。
いつもは性急に求められるのに、今日はやけに前戯が長い。
嫋は肩まで真っ赤にして、汗に濡れた額をぐりぐりと敷布に押し付ける。感覚を下半身以外に散らさないと、すぐにでも堕ちてしまいそうだった。
ゴリュッ♡ ゴリュゴリュッ♡
「はひゅっ♡ ぁ゛~~ッ♡」
不意に腹側を強く掻かれ、嫋は射精しながら朱の手を掴んで止めようとする。しかし力が入らず、朱鷹の腕に添えられているだけだ。
(いや……抵抗、したいのに……せめて、イッたって認めなければ、ここを出られるっ♡)
ぞくぞくと背中を駆け巡る痺れに勝てず、嫋は上体をそらして朱鷹の首に腕を回す。背面側位のような体勢になり、嫋は思わず尻穴の縁に引っかかる熱の存在を強く意識してしまう。
朱鷹は嫋の左太ももを持って足を開かせ、わざとらしく、ずり、と熱を持った肉棒を嫋の割れ目に擦りつけた。
我慢汁で濡れた亀頭が嫋の穴にちゅう、とキスをする。入るか入らないかの瀬戸際でくぷ、くぷ、と縁が淫猥に肉棒に吸い付き、嫋の目は己の恥部に釘付けになっていた。
「はっ、はっ、はっ……♡」
「ぁッ……」
(はやく、嫋の奥を殴って……!)
嫋は腰を揺らし、犬のように荒い息を吐く。
「嫋、我慢できないのか……? かわいい、かぁいいっ♡」
くぷ、ぬぷッ……ずぷぷっ ゴリュッ♡、ごちゅんッ♡
「ぉ─────~~~ッ♡♡ ぉ゛っ、きた、ぁっ♡」
肉を掻き分けて前立腺をカリで削り、結腸口を亀頭全体で叩く。
嫋の腹がビクビクと震え、射精を伴わないメスイキをしたことを察する。しかし、朱鷹は気づかないフリをしてごんごんと奥を殴った。
ごちゅっ、ごちゅっ、こちゅっ♡ ぐりゅう~っちゅぱっ♡
「あっあっ♡ ぁ゛へっ、うぐ、ぅ~~ッ♡」
朱鷹が腰をぐりぐりと押し付け、亀頭と結腸口が濃厚なキスをする。嫋は結腸から頭を駆け抜ける快楽に、体を震わせながらただ喘ぐことしかできない。
結腸口がちゅうちゅうと朱鷹の先端に吸い付き、雄の精を欲するように誘った。そのあまりの気持ちよさに朱鷹の肩が震える。
すんでのところで射精を我慢することができたが、朱鷹の美しいかんばせは真っ赤に染まり、そのこめかみにはダラダラと汗が流れている。
先程までの余裕はどこかへ消えてしまったようだった。
「……ッ、はぁっ」
「ぃ゛っ……うふっ、はぁっ……♡」
太ももを掴んでいた朱鷹の手に力が入り、骨が軋むような痛みが走る。それにすら被支配欲が満たされ、嫋は恍惚した笑みを浮かべながら、むっちりとした胸を荒く上下させた。
余裕を無くした朱鷹は、ゆるいストロークで奥を突きながら嫋の耳元で囁く。
「嫋、今日は相公ともっとえっちなことしような……」
「もっと……♡」
「娘子のここに相公のおちんちんを入れるんだ。ほら……」
嫋をうつ伏せのまま寝台に押し付け、足をカエルのようながに股に開かせる。
逃げられないように肩を掴み、後ろからのしかかって体重をかける。俗に言う寝バックだ。
「おも、ぃ゛ッ♡」
(潰されちゃう……っ♡)
嫋は朱鷹の体重を受け止めきれず、はふはふと息をする。
自重で背面側位より深くに朱鷹の肉棒が入っているのに、嫋は全く身じろぐことが出来ない。
自分の体に何が起こっても止めることができない───そう思った瞬間、嫋はピクピクと体を震わせて絶頂した。
「ふっ、ぅん~~ッ♡」
きゅうきゅうと朱鷹の肉棒を締め付け、より深くへと嫋の意思に反して誘う。
朱鷹はぐりぐりと亀頭を嫋の結腸口に引っ掛け、自重で少しづつ押し入っていく。
「娘子の子宮が吸い付いてくるぞ……ッかわいいなぁ、嫋♡」
「子宮じゃなぁ、ぉ゛っ♡」
「いいや、いつか嫋はここでっ、相公の子を産むんだよ」
にゅるぅ、めり……
メリメリと嫋の結腸口が広がる。嫋は目を見開き、ぶわりと流れる汗に身を震わせる。
「えっ? や、やめ、ひっ、ひッ」
まさか本当にこの奥を開かれるなど思っていなかったのだ。淵ですら怖がる嫋のために貫くのを我慢していた場所だ。
まだ人の手に渡っていない、体の持ち主である嫋ですら知らない場所。
バタバタと足を暴れさせるが、覆いかぶさっている男のせいで足首から先しか動かない。
嫋の心は恐怖で青く冷えきっているというのに、体はこれまでにないくらいガクガクと震え、身体中に力が入り、顔も、肩も、つま先ですら赤く染っている。
嫋の奥歯の隙間から、ふーッ、と期待したような熱い息が漏れた。
メリメリ……
(やだ、やだ……怖い!)
「嫋の子宮っ……はやく開け、ほらッ♡」
「ぃ゛っ、やぁっ♡……ひらかな、でッ♡ いや……おね゛がッ♡……んぐ、ぅ゛~~~っ♡♡」
林檎のように赤い顔からぼろぼろと涙と鼻水をこぼす。目の前の敷布を掴もうとするも力が入らない。ぐるぐると頭が回り、自身を組み敷いている男に助けを求めた。
ぐぅッ……
「たすけ、てっ♡ こわ、こわい……ッ……ひらいちゃう、ッ♡」
「嫋……♡ 大丈夫、お前の相公が気持ちよくしてあげるからな」
ぷしゅ、ぷしゅ、と嫋が潮をふく。初めての快楽に脅え、開かないで、と懇願するさまが哀れで仕方がない。朱鷹はニタニタと顔を歪め、嫋が怯えるさまを脳に焼きつけながら優しく嫋の髪を梳いた。
ダメ押しとばかりに、かたい結腸口を解すように腰を回す。すると結腸口はビクビクと震え、目の前の雄にそこを明け渡した。
ぐぽぉ……♡ ぐぽんッ♡♡
「は、へッ? ───~~~~ッッッ♡♡」
(はいっちゃっ……た……)
股から下がガクガクと痙攣し、嫋は目を見開いたまま絶頂する。嫋の性器は壊れたように透明な液を出すだけで、もうなんの機能もしていない。
へその少し上、結腸に朱鷹の亀頭がハメられている。
「はぁっ……嫋の子宮に出す……ッ」
「ぁっ、あ───?」
びゅーっ♡ びゅるるるッ♡
朱鷹は嫋の結腸に我が物顔で踏み入り、種を撒き散らした。
嫋は呆然とした表情で濁流のように流し込まれる精液を受け止める。嫋の肉襞は絶頂時のように痙攣しているが、嫋はそれを知らず、ただ惚けながら鼻水を垂らしている。
敷布はありとあらゆる体液で濡れており、もはや使い物にはならない。朱鷹はひとしきり精をだし終えると、奥へ擦り付けるようにゆるく腰を動かした。
「はーっ……はーっ……嫋、嫋……」
「ぁ、あう、ぁ……?♡」
トンッ……トンッ……♡
じゃり、と毛と肉が擦れる音がした。朱鷹の体温が直に感じられる。そこで初めて嫋は「今まで全ては入っていなかったんだ」と理解し、その恐ろしさに身を震わせる。
遠のいていた意識がゆっくりと自分の中に戻り、嫋はこれからされるであろうことを想像して顔を青くした。
(ダメ、抵抗なんて出来るわけない! 今だって意識が飛んでたのに───こうなるってわかってて嫋の奥まで入ってきたんだ……!)
「ヒッ、ひっ」
嫋が滝のような冷や汗を流しながら目の前の敷布を掴む。少しでも離れたくて足元の布も蹴り、前へ前へと這うように進もうとする。無様なその姿を、朱鷹は目を細めて見守っている。
ほんの少しだけ己の中から抜けていく肉棒に安堵すると、腰を強く掴まれた。
「ぁっ……」
「───こんなに奥を突かれてイかないなんて偉いなぁ、嫋は我慢強いんだな♡」
ぬろぉ~ッ♡……ぬぷぷッ、ゴリュッ♡ ぐぽんッ!♡ ぬ゛ちゅんッ どちゅッ どちゅんッ♡
「ん、ぉ……ふぎゅッ────~~~~っ♡♡♡ あ、あッ♡ イ゛っへまず、ぅッ♡♡」
「あ?」
ギリギリまで肉棒を浅くし、嫋が息を吐いた瞬間に腰を打ち付ける。前立腺をカリ首で殴りながら、亀頭で結腸口をぶち破った。
嫋の黒目はぐるりと上を向き、ぽかんと開けられた口元から唾液がぽたぽたと流れている。腹が痙攣し、あまりの気持ちよさにバチバチと頭が真っ白になっている。
(しらない、しらない、こんなの……! もうイきたくない……ッ!)
嫋の言葉を聞いた朱鷹は、舌なめずりをしながら問いかけた。
「嫋? イッてないよなぁ? 嫋はここから出たいんだもんな、俺の聞き間違いかなぁッ」
「ち、ちがっ ♡、ぉ、ほぉ~っ♡もうイッだぁっ♡ い゛っ、あへッ♡ またい゛ぐぅっ♡♡」
どちゅんッ どちゅんッ♡ ずろろぉ~~ッ♡
嫋は喉をのけぞらせ、ピンと足を伸ばす。少しでも快楽を逃そうと必死になっていた。
必死に訴える嫋を無視して、朱鷹は自分本位にピストンを続ける。穴の隅々までマーキングのように朱鷹の子種を塗りこまれており、鼻の効くものなら近寄りもしたくないほど性のにおいが漂っている。
ずぷんっ♡ どちゅんっ♡ トンットンッ♡ ぬ゛ぽぉッ♡
「ふうん、でも最後まで抵抗したら帰れるぞ? 良かったなぁ、嫋……ッ。チャンスはまだあるんだ」
「ぃい、いいからぁッ♡、ぅぎゅっ♡ ていこ、じない゛っ♡」
「ははッ、じゃあ俺の勝ちだなぁ……にゃんずぅ、もう相公に、はっ、逆らわないよな?」
「さっ♡ さからい、ませんっ♡ ぉ゛ッ♡ しゃんごん、ッ、のいうことにッ、あ゛へッ♡ したがいまず、ぅ゛────~~~~ッッ♡♡♡」
朱鷹はギラギラとした目で嫋を見下ろす。嫋の薄い腹に手を回し、へその上をトントンと優しく叩く。
「嫋、逃げ出そうなんて……考えない方がいいぞ……ッ。結局捕まって、あへあへ喘ぐんだからっ」
優しく諭すように耳元で囁く。少し前、嫋に「屋敷から出たら危ない」と言った時と同じ口調だ。嫋はこれに騙され、屋敷で過ごしている間に養父を殺されたのだ。
(この人に嫋の全部、支配、されてる……ッ♡)
嫋の胸はキュンキュンと高鳴り、目の前の雄への服従心に似た何かが芽生え始める。
「ごめ、ごめんなひゃいッ♡……ぁっ!? しゅよ、さま! やめへ、ぇっ♡ やぁ、あんッあんッ♡」
「……あ?」
ふと横を見れば、人に化けた妖が扉の外に立っていた。
たしか、鳥の妖のうちの一人で、最近やっと幼子への変化ができるようになったのだ。
声帯は作れていないのか、人の言葉はまだ喋れない。ただそこにきょとんと立っているだけだ。
ぬぽっ♡ どちゅんッ♡ こちゅッこちゅッ♡
「ああ、こいつ、媽媽みたいに嫋に懐いてたからなぁッ。子供放ったらかしで……はっ、相公と交尾してるとこ見られちまったな、ぁっ。謝らないとな、嫋ッ?」
「ごめっ♡ こんな、ぉ゛ッ♡ えっちがだいすき、なっ♡ まぁまで、ぇっ♡、ごめんなざいっ♡」
胎を亀頭で殴られながら、額を敷布に擦り付けて目の前の幼子に謝罪する。腰をゆさゆさと揺さぶられ、言葉を紡ぐこともままならない。
「ほら、嫋が種付けされてるとこじっと見てるぞ。はは、ちゃんと弟か妹つくってやらないとな、ッ」
妖は朱鷹と嫋の結合部分をじっと見ている。ぬちゃぬちゃと糸を引きながら嫋の体から朱鷹の一部が出てくることが不思議なようで、きょとりと首を傾げている。
「ぁ、出る……ッ嫋、にゃんず……好きだ、好き……ッ」
獣のような呻き声が聞こえたその瞬間、嫋は頭を枕の中に突っ込まれた。朱鷹に頭を鷲掴みにされ、枕に押し付けられているのだ。
ふと暖かいものが嫋の肌をくすぐった。朱鷹の黒い羽毛だ。興奮のあまり姿を人間のままにとどめることができず、半妖の姿になっている。
嫋はむき出しになった項を朱鷹に噛まれた。ぶち、と嫌な音がする。
ぐ、ぽんッ♡ びゅるっ、びゅるるッ♡ びゅーーッ♡
「ん゛~~~───ッ!♡♡ ンッ、んぶッ♡♡」
半妖の姿で結腸に射精され、人の姿の射精とは比べ物にならないほどの量の精液がタプタプと胎に溜まっていく。腹が破れるのではというほどの量に、恐怖で嫋が手足をばたつかせた。
苦しそうに藻掻く嫋に妖は驚き、どこかへと走り去っていった。
嫋は酸欠で段々意識が遠のいていく。最後に覚えているのは、体の骨が軋むほど強く抱きしめられたことである。
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