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カラスがひとつ鳴いたら、

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 �����名無しの語り部さん.
 これは私がこれまで経験した話です。
その日は母と口論になって、へそを曲げて小さな小さな家出をしました。
 その時、私はまだ小学生で、行くアテなんてあるはずもなくて、フラフラと歩くまま近場の林に入ってしまったんです。そこで、不思議な青年と出会いました。
 青年は私に迷子か?と問い、私はううん、家出。と返したと思います。まぁ、半分はもう迷子みたいなものでした。青年は私に手遊びなどを教えてくれ、いつの間にか夕暮れ時、カラスが1つ鳴くと彼は帰るように、と促しました。
 彼は渋る私に観念したかと思いきや、おもむろに鈴を取りだし、こう言いました。「カラスが鳴くと、ここは別の世界の領域になる。故に明日、またここに来るといい」そして、風に揺られた鈴がチリンと鳴ると、私は瞬きの間に林の外、舗装された道に放り出されたのです。あの時の驚きは今でも忘れられません。
 それから毎日彼に会いに行きました。いつからか、彼の友人を紹介されることもありました。
父や母からは取り憑かれているのではないかと疑われるなど、問題は幾度となく起こりましたが私は自分の意思で彼と会うことを選んでいましたし、彼らと共に生きることを選びました。
 中学、高校、就職。歳を重ねる度に痛感したこと。
 どうやら私は 人として生きることが向いていなかったのです。
 
これからは私は彼らと同じものを食べ、過ごし、同じ世界で生きていきます。
 
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